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自分と世界を救うには  作者: あるつま
第3章 百年祭と白金級冒険者
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第3章おまけ 思春期聖女と深夜の○○ 

あけましておめでとうございます。

お正月特別編として、短いですがおまけの小話を更新します。

ただし、やや下ネタ的要素を含むので嫌だなーという方はご注意ください!

なおお正月要素は一切ありません。

(うん、この店アタリね!)


日の出から数時間も立たない時刻。ある飲食店で、マリアは朝食をとっていた。

この数週間で初めて自分の意思による行動ができるようになった彼女にとって、朝食に新しい飲食店を開拓することは最高の楽しみの一つだ。


連れの二人は彼女に比べると起きるのが遅く、朝食は軽く済ませる傾向にあったこともあり、一人での朝の飲食店巡りは彼女の日課となっていた。


(……それにしても最近、二人とも起きるのが遅くなった気がするわ)


特に変わったこともない朝の時間。

そうなるはずだった。


「なあおい、知ってるか?あの二人の話」

「ああ、あれだろ?百年祭で結婚したっていう……」


(あら?)


百年祭で結婚した二人。

間違いなく自分の知り合いについて話す他の客の話に、マリアは視線を向けないようにしつつ聞き耳を立てた。


「夜の公園で……シテるんだろ?」

「新婚だからな、多少遊びたくもなっちまうんだろ。本人たちはうまく隠せてるつもりかもしれねえがな」


(!?!?)


夜の公園でシテる。

新婚が。

遊びたくなっちまう。


自分の顔が熱くなるのを感じる。

マリアは思春期真っ盛り少女だった。


(まさか……二人が〇〇で△△かつ××なことを!?それも外!?外でシテるっていうの!?あ、最近起きてくるのが遅かったのはそういうこと!?)


「球とか、棒とかをつかった遊びだろ?」

「まったく、若いってのはいいよなあ」


(球!!!棒!!!!)


友人夫婦の生々しい事情を聴きたくないという心理と、どこからか無限にあふれ出てくる興味が葛藤となり、結局聞き耳を立てることをやめられないという事態に陥っていた。


間もなくその会話をしていた二人は去っていったが、マリアの頭にはその話ばかりが残っていた。


(……大変なことを聞いちゃったわ。まさか二人が……)


(いや、新婚だもの、そういうことくらいするわよね。いやでも外はまずいでしょ!そういうことは外でしちゃだめって言うべき?いやいや言えるわけないでしょ、どんな顔してそんなこと言うのよ!いやいやでもでも……)







そして、夜。


「まずは事実関係の確認ね!!!」


マリアはおかしな行動力を持つ少女だった。

どこからか買ってきたらしい真っ黒な服を身にまとい、自室から聞き耳を立てる。

あの二人が出てくる瞬間を見計らい、後からこっそり後をつけて事実関係を確認するのだ。


「そう、これは事実確認、事実確認なのよ。友達のために必要なことなの。決して出歯亀行為とかじゃないし、あたしは変態じゃないわ」


誰に向かってかわからないごまかしの言葉をつぶやきつつ、頬を染め、息を荒げて自室の扉に耳を付けているマリア。まごうことなき変態であった。


しばらくの後、向かいの部屋の扉が開く音と、二人分の足音が聞こえてきた。


(来た!!)


徐々に遠ざかる足音。

それが完全に消える前にマリアはそっと部屋を抜け出し、二人の後をつけていった。




(ほ、本当に夜の公園に来ちゃったわ)


後をつけること数分。朝の二人組が言っていた通り、宿からほど近い公園についてしまった。

ひとまず藪の中に隠れて様子をうかがう。


(ど、どこでするつもりかしら。結構開けた公園だけど……)


「よし、じゃあ今日もこのへんでするか」

「はい!」


(このへんで!?公園のど真ん中じゃない!ちょ、いくら夜だからってもうちょっと人目をはばかりなさいよ!)


場所は決まったようだ。ショウがポーチの中から何かを取り出す。


(い、いよいよだわ。でもこれは必要なこと、必要なことだから!そう、必要だから見届けるのよ!なにか悪い!?)


「じゃあいくぞハルカ」

「はい!はい!はやく!」


ハルカはもう待ちきれないようだ。ちぎれんばかりに尻尾が揺れる。


「よーし……取ってこい!」

「アオーン!」


「は?」


なにかが曲線を描きつつマリアの方に飛んでくる。

あれは……ボール?


「わふん!!」

「きゃあ!」


マリアの隠れる藪に向かって飛来したボールが彼女に当たる少し前でハルカにキャッチされ、ハルカはそのまま藪に突っ込んできた。

至近距離に満面の笑みを浮かべた犬耳少女の顔が広がる。


「……え、マリアさん、何してるんです?」

「こっちの台詞よ!!」


顔を見合わせる二人の元にやってきたショウが声をかける。


「ああなんだ、マリアだったのか。何やら邪な視線でこっちを見てる奴がいると思ったんだが」

「よこしまなんですか?」

「よ、邪な気持ちなんてないわよ!あんたたちが心配で仕方なく様子を見に来たんだから!」


嘘つけ……と思いつつショウはマリアを追求する。


「まあいいんだけどな。でもどうしてわざわざ後をつけてきたんだ?気になったなら普通に聞けばいいのに」

「き、聞けるわけないでしょ!あんな噂聞いて……」

「噂?噂ってなんです?」

「え?そ、それは……」





「球と棒、ね。これのことだな。投げて取ってくる遊びをしてたんだ」

「楽しいですよ!」


案の定というか、木製のボールと棒をポーチから取り出す。

マリアは既に脱力していた。


「はあ、あたしはてっきり……これじゃあバカみたいじゃない」

「実際バカだろ……」

「うっさい!!」


思い違いによる脱力感で口の軽くなったマリアが続ける。


「結局二人にまだそういう関係はないってことね。なんか安心したようながっかりしたような……」

「え?」

「え?……って何?」

「いやそれとこれは話が別だよなーと」

「ちょっとショウさん?」

「あ、すいません……」


うっかり口を滑らせた夫が妻を怒らせている。

マリアはショウの言葉を反芻し、一瞬の後に意味を理解した。

今日何度目か、顔を真っ赤にする。


「あ、へぇー……ふうーん……」

「ショウさん、正直なら何を言ってもいいわけじゃないんですよ?」

「ご、ごめん。悪かった……」


笑顔のまま顔に闇をにじませるハルカと、縮こまって謝るしかないショウ。

夜の公園で起きた、ちょっとした珍事。


なおこの後数日マリアが眠れなくなり、ハルカが風魔術を応用した消音魔術の研究を行うようになるのだが……。それはまた、別のお話。


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