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第1話 君に届けたいものがあるんです。

 君は天才だけど(大)馬鹿だった。


 君に届けたいものがあるんです。

 君に伝えたいことがあるんです。

 とってもとっても大切なことです。

 受け取ってくれますか?

 ちゃんと聞いてくれますか?(走ってきた息をゆっくりとととのえながら)


 小さなころからずっと勉強ができた。あんまり勉強はまじめにしなかったけど、自然といろんなことがわかったし、テストの問題もとっても簡単に解くことができた。(いつも百点ばっかりだった)

 みんなからは頭がいいね、天才だねって言われたけど、私はそんなことを思ったことはなかった。なぜなら私にはお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんは『本当の天才』だったからだ。

 お兄ちゃんを見ていると、私は自分が天才ではないことがよくわかった。(もともと天才になりたかったわけじゃないから、別になんとも思わなかったけど)

 私は初等部、中等部とお兄ちゃんと同じ名門の進学校に通っていて、とても優秀な成績をとって、お兄ちゃんと同じ高等部に進学した。

 そしてとっても驚いた。

 天才のお兄ちゃんはずっと成績が一番だったのだけど、高等部ではお兄ちゃんの成績は『三位』だった。つまりお兄ちゃんよりも頭のいい人がこの高等部には二人いるのだ。

 そのことが信じられなかった。(本当にびっくりした)

 私が高等部で一番の成績をとっている『お兄ちゃんじゃない天才の人』と出会ったのは、高等部一年生のころの夏のことだった。

 その日はとても暑い日で、私は『ある理由があって』、高等部の図書室に一冊の本を借りに行った。でも、その本は貸し出し中になっていた。それはとっても珍しいことだった。(有名な本じゃなくて、誰かがこの本を私と同じときに偶然借りていることは、ほとんどないことだと思った。実際にほかの同じような境遇にある本たちの貸し出し時期は、一年前とか、三年前とか、長い本だと十年前とか、そんな本ばっかりだった)

 その本を借りていたのが、成績が一番の天才の人だった。(貸出記録の名前を見てそれがわかった)

 私はその人に本を借りようと思って、図書室を少し慌てながら出て行こうとした。

 そのとき、私に「ぼくにようがあるの?」って声をかけてきた男子生徒がいた。

 それが私と君の初めての出会いだった。

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