68話 夏休みと兄妹仲直り
「えへへ、お兄ちゃん」
「何だよ、愛香」
「え、何あれ?うっざ」
1時間前に本当に喧嘩してたのかと、疑うぐらいに、今では暑苦しい程仲がいい兄妹を見て七海は、私の努力を返せと言わんばかりの顔になっていた。
「若そろそろ夕食の時間ですが、ここで済ませるのでしょうか?」
「そうだな、今から買い物して作るのも夜になっちゃうし、ここで済ませるよ。どれ、俺も調理場に向かうよ。愛香達の好き嫌いもあるし」
「では、私もご一緒に」
「悪い、俺ちょっと夕食を作りに行くよ。おい、ジジィはいつまで嘘泣きをしてるんだ。早く自分の部屋に戻れ」
「シクシク...ちっ」
「おい!舌打ち聞こえてんだぞ!」
俺と源八郎と少し歪みあってから、俺は調理場に向かって行った。
そして、客の間に取り残されたのは愛香達と源八郎だ。
「よぉし、千秋も居なくなった事だし。聞きたい事がある。お主らは千秋に惚れてるじゃろ?」
千秋が居なくなった瞬間、源八郎はとんでもない質問を灯里達に訪ねた。
灯里達は、どうしようと顔を赤らめて困っていたのだった。
「おー、良い良い。口に出さなくても、お主らの反応を見れば、ある程度はわかる。どうせ、奴は鈍い所もあるかのう。手を焼いてるやろ?」
源八郎はニヤつきながら尋ねると、灯里達はウンウンと頷いていた。
「なら、お主らはライバル同士なのか?」
「「「「....」」」」
源八郎からライバル同士と言われると、何て答えるべきが黙ってしまった。あの事を話すべきかと、目線を送り合った。
みんなは、コクリと頷いたので自分達の計画を伝えた。
「その、私たち争う気がなく。本人はまだ知らないけど、私たち全員ちー君と付き合う予定です」
「ほーう、」
「...私たちって可笑しな事をしてますよね」
ご時世にハーレムを作るって他の人が聞けば、可笑しいと思われるのが仕方なく、灯里はその事をどう思ったか気になっていた。
「んー、別に良いのではないのか?ワシは別に悪いとは思わないのじゃ、お主らが考えたことじゃからのう。まぁ、問題はそれが本人が承諾するかどうかじゃ」
「「「「そうですよね...」」」」
「してや、先程から気になっていたのじゃが、そちらの妹さんも千秋の事が好意を抱いているのか?お主は感情を隠す事が上手く、分からないのじゃ」
「え?...まぁ、はい」
兄妹なのに、結婚するとか聞かれると引かれるかも知れないと、愛香は少し暗い表情で答えた。
「おっと、勘違いするではない。別にお主らは血の繋がって居ないからのう、倫理的には大丈夫じゃろ?少しお主の千秋に対するお主の想いを教えて欲しいのじゃ、どうもお主だけ、感情を隠しきれてるから本気で好きなのか分からないのじゃ、兄妹愛なのか、男女愛なのか」
「...そうですね。私はお兄ち...兄の事が好きです。家族としてでもありますが、男性として愛してます。兄妹なのに、こんな想いが芽生えるのは可笑しいと思われますが、私は本気で兄の事が愛してます」
愛香の真剣な眼差しに、源八郎は心を打たれたのかここまで自分の孫を想いってくれる事に感動をして居た。
「良いじゃないか。兄妹と言うのは、1番近い存在だが、恋愛的に言うと1番遠い存在、妹さんよ..いや、愛香よ必ず奴の心を射抜くんじゃぞ?ワシは応援してる」
「あ、ありがとございます」
応援すると言われ愛香は嬉しそうに頭を下げた。
何分か待つと吾郎から夕食の準備が出来たと伝えられ、愛香達は部屋を移動した。
源八郎は一緒に食べるかと誘われたが、やる事があると客の間に残ったのだ。
「...愛香よ、安心するが良い。奴は常にお主の事が――」




