ゆるふわサブヒロインは、幼馴染たちの調査をするのである。 その5
宏美は、授業を終えて、郁人の所に真っ先に向かうと、授業中に書いた、途中報告をまとめた、ルーズリーフを一枚渡すのである。
「郁人様…任せてくださいね~!! あと、今日の放課後は予定をあけておいてくださいね~!! きちんと、アイドル活動してもらいますからね~!!」
自信満々にドヤ顔で、腰に手を当ててそう言い放つ宏美は、やはり、ぺったんな胸を張っているのである。
「お、おい…ゆるふわ…本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ~!! わたしぃにお任せですよ~!!」
そう言って、郁人に手を振って、教室を飛び出す宏美を、不安に眼差しで見ていた郁人に、清楚な振る舞いで近寄って来る梨緒なのである。
「郁人君…今、宏美ちゃんから、何かもらってなかったぁ?」
「あ…ああ…まぁ…手紙みたいなもんだ」
郁人はそう言って、机の中に、ルーズリーフに、可愛い丸文字で書かれた報告書をしまうのである。その様子を、疑いの眼差しで見ている梨緒なのである。
「ふ~ん…手紙なんだぁ…郁人君…他の女の子からは、プレゼントボックス越しにしか手紙受け取らないよねぇ…宏美ちゃんからは、直接貰うんだねぇ」
「な…なんの話だ…だいたい…あれ、作ったのは、ゆるふわだからな」
「…そっかぁ…そうだよねぇ…フフフ、そうだったねぇ」
瞳のハイライトが消えて、ニッコリ笑いながら、ぼそぼそ言っている梨緒に、冷や汗ダラダラになりながら、心の中で、ゆるふわ宏美に謝る郁人なのであった。
ゆるふわ宏美は、決意に満ちた表情で、ズンズンと7組教室に向けて歩くのである。そのただならぬゆるふわに、すれ違う生徒達は、訝しげに宏美を見るのであった。
7組教室前にたどり着いた宏美は、いつもの必殺の偵察術を繰り出すのである。7組教室の扉から、少し顔を出して、中の様子を窺う宏美である。
(美月さんは…相変わらず不機嫌そうですね~…覇道さんは、とても嬉しそうですね~…永田さんは…なにやら、険しい表情ですね~…何かあったのでしょうか~?)
様子を窺う宏美は、一度引っ込んで、考えるのである。
(美月さんは、やはり、覇道さん達の事はあまり好きそうではありませんね~…どちらかと言うと嫌っているみたいですね~…女子生徒からは、相変わらず睨まれているみたいですね~)
美月の状況を心の中で整理して、再度、ひょっこりと教室内を覗く宏美は、ばっちり、美月と目が合うのである。
(美月さん!? こっちを見てはいけませんよ~!! ばれてしまいますからね~!!)
ゆるふわ宏美は、ジッとこちらを見つめる美月に両手でバッテンを作って、首を振って、こちらを見てはいけませんアピールをするのである。
(ひろみん…あ…なるほど…わかったよ…ひろみん!!)
美月は、両手で丸を作って、宏美に全てわかったとアピールするのである。そんな美月の様子に疑問を感じる政宗と浩二は、美月の視線の方を見ようとするが、美月が、それに気がついて、わたわたしだすのである。
「あ!! ああ~!! 窓の外!! 窓の外にあれだよ!! えっと、あれ…えっと…何かいるよ!! UFOとか!!」
窓の外を指でさして、そう言う美月に、困惑しながらも、窓の外を見る政宗と浩二である。
「み、美月ちゃん…窓の外なんにもねーぜ」
「美月…さすがにUFOはないんじゃないかい?」
「あ…う、うん…そうだね…な、何かいたような気がするんだけどね」
呆れるイケメン二人に、笑ってごまかす美月なのである。その様子をジッと見る宏美は、美月が何をやっているか理解できないのである。
(み、美月さん…急にどうしたのでしょうか~? これは、郁人様にご報告ですね~)
ゆるふわ宏美は、顔を引っ込めて、スマホのメモに、美月さんが突如奇妙な行動を起こしていると残す宏美は、郁人からメッセージが届いていることに気がつくのである。
ゆるふわ…すまない。という、郁人からのメッセージに首を傾げて疑問顔の宏美なのである。
(郁人様…謝るなら、わたしぃに対しての扱いの改善をお願いしますよ~)
宏美は、心の中で、郁人の自分に対しての扱い改善を求めた後に、再度教室内を覗いて監視するのである。
そして、やはり、ばっちり美月と目が合う宏美なのである。美月は、あからさまに動揺しだして、わたわたと慌てる様子に、宏美は、何をしているのかと疑問に思うのである。
「美月…どうかしたのかい?」
「美月ちゃん…大丈夫かよ!?」
「だ、大丈夫、大丈夫だよ!! あ、て、天気いいよね!! 窓の外の方を見ようね!!」
ばっちり、美月の方から見えている宏美の姿を見せないために、政宗と浩二の視線を教室の扉の方に向けないため、必死な美月である。
「美月…さっきからどうかしたのかい? 何やら、窓の方を見せたがるが…こちらに何かあるのかい?」
「な、何にもないよ!! 何にもないから!! 窓の方!! 窓の方を見ようよ!!」
あからさまに挙動不審な美月を不審に思った政宗と浩二は、教室の扉の方を見るのである。美月が必死に、宏美に隠れて、隠れてとジェスチャーするのである。
「…何もないな…美月…本当にどうかしたのかい?」
「いや…政宗…美月ちゃんは何かを僕達に伝えたいんだと思うぜ」
「そうなのかい!? 美月の想い…必ず、受け取ってみせるよ!!」
窓の外を必死に見て、考え込むイケメン二人に、ホッと胸をなでおろす美月なのである。そして、ひょっこり再度顔を出す宏美なのである。
(ひろみん!! 危険だから…見つからないうちに帰った方がいいよ)
(任せてください~!! 美月さんのことは、きちんと郁人様に報告しておきますからね~)
ジェスチャーで、何とか会話しようとする美月と宏美だが、全く伝わっていないのである。
「美月…すまない…君が何を伝えたいのか…わからない…すまないが教えてくれないかい?」
「だな…美月ちゃん…何が言いたかったんだ?」
必死に考えていたイケメン二人はお手上げとばかり、美月の方を見て、そう尋ねるが、尋ねられた美月も、答えがある訳じゃないので、困るのである。
「え…えっと…そ、そう言うのは本人に答えを聞くのは良くないよ!! うん…だから、外を見よう!!」
必死に窓の外を指さす美月に、宏美は、メモを取るのである。そして、ジッとその様子を見ていると、何者かに肩を叩かれる宏美は、ゆっくり振り返ると、ニッコリ笑顔の梨緒がそこに居たのである。
「宏美ちゃん…7組の教室前で、何をしてるのかなぁ?」
圧の込められた笑顔と声に、恐怖に震えあがる宏美は、郁人が自分に送ったメッセージの内容を思い出したのである。
(いくとさまぁ~!! 恨みますからね~!!)
心の中で絶叫する宏美に、さすがの7組教室内も、注目するのである。そして、その様子に、政宗と浩二も、教室の扉の方を見るのである。慌てる美月だが、時すでに遅しである。
「また…あいつか」
「細田と…三橋のヤツじゃねーか!!」
物凄く不機嫌になる二人と、慌てる美月に、恐怖でペタンと地面に座りこむ宏美を、ニッコリ見下ろす梨緒というカオスな状況が生まれてしまったのであった。
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さて、宏美の行動を不審に思った梨緒に見つかってしまいましたね。しかし、疑惑の二人が一緒に揃う絶好の好機ともいえる状況で、恐怖に負けずに宏美は頑張れるのだろうか?
次回は、絶体絶命のピンチを、どう乗り切るのか!? 頑張れひろみん!! 負けるなひろみん!! 圧倒的ヤンデレ達の圧に屈してはいけない!!
では、次回の更新もよろしくお願いしますね。




