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第9話《白紙の理由→魔法って難しい!》

「ごちそうさま!」

「ごちそうさまでした」


 二人ほぼ同時に食べ終わる。


「はぁ~…美味しかった!」

「口に合ってくれたみたいでよかったよ」

「今度是非作り方を教えてください」

「もちろん大歓迎さ」

「マシロ!早くー!」


 お姉ちゃんは早々に食器類を片してリビングを出て行こうとしていた。


「あっ、待ってお姉ちゃんすぐ行くから」

「おやまぁ、いつの間にそんな仲良くなって。マシロ、あたしにも敬語なんて使わなくていいんだよ?」

「えっと…善処します」


 さすがに恩人に敬語無しはアウトだと思う。


「そうかい?」

「マシロ~~先行ってるからね!」

「わわわ、もうちょっと待ってて!」


 お姉ちゃんに急かされ、急いで食器を片付け部屋を出た。

 二階に上がると既に私の部屋の前で待機していたお姉ちゃん。


「お姉ちゃん…」


 そんなに見たいの?


「あっマシロ!待ってたわ!早く早く!」


 …何だかリリーお姉ちゃんの方が妹みたいだ。いや、別にいいんだけどね。可愛いし。


 私は部屋のドアを開け、お姉ちゃんを中に入れる。

 机の上には相変わらず淡く発光している魔導書があった。

 近付いて手に取り、お姉ちゃんの元に戻る。


「はい、これ」


 そう言ってお姉ちゃんに手渡した。


「これが白紙の魔導書(ホワイトグリモワール)…本当に中身は真っ白なのね」


 お姉ちゃんは本を受け取ると、パラパラと軽くめくりながらそう答えた。


「でもおかしいわね」

「え?何が?」


 何やら少し怪訝な表情で本を見つめるお姉ちゃん。


「魔導書っていうのはね、その人のレベルが1でも何かしら()()1ページ目に書いてあるものなのよ。あ、表紙めくったとこのタイトルとかは別よ?一冊につき、必ず一行。なのにこの魔導書にはタイトルしか………ん?マシロ、貴女もしかしてまだ魔力を通してないの?」

「え?え?どういうこと?」


 一気に新情報が入ってきて軽く混乱する私。それを察してくれたお姉ちゃんが説明をしてくれた。


「魔導書……というより白紙の魔導書(ホワイトグリモワール)はね、出現したまま放っておいたら何の変化も起きないのよ」


 続けてお姉ちゃんは言う。


白紙の魔導書(ホワイトグリモワール)は、所持者の魔力を帯びて初めて魔導書としての活動を始めるのよ。今の状態だと本当に白紙のままなの」


 これじゃノートと変わらないわね、と言ってお姉ちゃんは笑った。


「へぇ…そうだったんだ…全然知らなかった…。教えてくれてありがとう、お姉ちゃん」

「これくらい全然よ!可愛い妹のためですもの!」

「…ところでお姉ちゃん」

「なぁに?どうしたの?」

「私、魔力の使い方がわからないんだけど…」


 変だと思うかな。いや、でもほんとにわからないし…。


「あら、そうだったの。大丈夫よぅ、そんなに小さくならなくても!私だって15歳まで全然使えなかったんだから!」


 アハハ、と笑ってお姉ちゃんは自分の手を私の前にかざし、人差し指だけ立てた。


「いい?よく見ていてね。”リトルファイアー”」


 そう唱えたお姉ちゃんが先程立てた指の先には、小さな炎が灯っていた。


「わぁ!お姉ちゃんは火?属性なんだね」

「そうなの。仕事柄、本当は水属性が良かったんだけど…まぁ言ってても仕方ないわね」

「??そうなんだ」

「えぇ。あ、そんなことより今やった感じでやってみて!マシロは可愛からきっとすぐにできるわ!」


 いやその理論はよくわからないですお姉ちゃん。魔法のセンスと容姿は関係ないよ!…多分?


「具体的にはどうやれば…」

「うーん、そうねぇ…。目を瞑って、心臓の辺りから…今はとりあえず手の方に向かって魔力を流すイメージをするの。それから『魔力魔力〜!』ってひたすら念じるのよ」

「わかった、やってみる」


 とりあえず目を瞑ってイメージしてみる。


「ん〜…魔力…」

「そうそう、そんな感じでね」


 およ?確かに何となぁ〜く温かいものが身体を巡ってる感じがする……気がする。いや、血液のことじゃないからね。


「うーん…何か手が温かい気がする…」

「そう!そんな感じがするのよ!それが魔力。そしたら今度は空気中から魔素を集める感じで……ところでマシロは何属性なの?」

「えーっと、確か…水とか…」


 あと風とか、火とか…あと何だっけ?


「水ね。じゃあ水の魔素を空気中から集めてみて」

「え、どうやって?」

「そう言われると難しいわね…感じろとしか言い様がないし」


 ま、マジですか…


「とりあえず水魔素〜ってひたすら念じつつ体内魔力を集めた手に水魔素を纒わり付かせる感じで…」


 えぇ〜…何それ難しい…


「とにかく練習あるのみよ!」


 いや、いい笑顔で親指立ててるけど…全然やり方がわからないよお姉ちゃん。


「う〜ん…魔法って難しいんだね…」

「そうねぇ…コツさえ掴めば意外に何でも出来るようになるのだけれど。私はそのコツを掴むのに何年もかかったのよね〜」


 やっぱり魔法のセンスないのかしら?とお姉ちゃんは苦笑する。


「センスかぁ…とりあえず練習してみるよ。教えてくれてありがとう、お姉ちゃん」

「いーえ!魔法使えるようになったら教えてね!」


 お姉ちゃんはヒラリと手を振ってそのまま部屋を出ていった。


 魔素かぁ…今度街に出るついでに誰か得意そうな人に聞いてみよっと。

魔導書、使えるようになりませんでした…

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