第23話《クルネリア》
大変遅くなりすみませんでした!
現実の生活の方が忙しくて、という言い訳をさせてください。
これからは2日〜5日に一度の更新になりますのでご了承ください。
追記と謝罪:この小説はここでストップとなります。以後更新されることはございません。理由はモチベーションの低下と、もう次の内容が思い付かないというものです。待っていてくださった方がいらっしゃったかもしれないのにこの様な結果になってしまい大変申し訳なく思っています。申し訳ございません。
今は別の新作小説を執筆しておりますのでよろしければそちらの方もよろしくお願い致します。
「だ、誰?」
驚きで声が出ない中、やっとそれだけ絞り出す。
「驚かせしまい、すみませんでした。私は神界からの遣いです。念の為確認ですが谷崎真白さんでお間違いないですよね?」
「…はい…」
しんかいからのつかい?深海?いやこの子見た目的に空だけど…。
「それにしても、まさかこんなに早く残りたいって言って貰えると思わなかったので嬉しくてついはしゃいでしまいました…」
「あのー…ちょっと話が見えないんですけど…」
反省してるのか、ただでさえ小さな体を更に小さくする少女を見てやっと普通に話せるようになる。
「あぁ…そうですよね、すみません。順を追って話をするので聞いて貰えますか?」
「はい」
「まず私は先程言った通り神界からの遣いです。名はクルネリアと言います」
その後の少女──クルネリアの話の五割くらいが愚痴に近かったので要点だけ掻い摘んでまとめるとこうだ。
・深海ではなく神界からの遣い。
・世界の名前はその星の名で呼ばれるらしく、私が居た世界は地球、この世界はリティシードと言うらしい。
・クルネリアは食を司る神様(ヘレスケティア様って名前らしい)の遣い(天使)で、最近その神様が転移担当になった。
・神界では様々な世界を管理していて、それぞれ一応滅ばないようにしている。
・未発展の世界の文明発展の為に数十年から数百年に一度、発展してる世界から一人適応者を探して異世界転移させている。
・さすがに神界の都合すぎるので転移者には元々ある才能の開花と、転移先の世界で良い感じのレア職とスキルを授けている。(あと全体的なステータス強化)
・転移者が心から帰りたいと願ったらちゃんと元の世界に返すし、残りたいと思ったらそのままサポート役を付ける。
・サポート役は転移者が心から帰りたいと思うか転移先に留まりたいと思うまで姿を見せないまま見張らなければならない。
「…つまり、私は無作為に選ばれて了承も得ない内に飛ばされた、と…」
「む、無作為ではないです、ちゃんと選んでますから。転移先に発展をもたらしてくれる人、転移先でも生きていける人、転移先の方が自分らしく生きていける人…最低限この三つを満たしてなければ転移はしませんし、させません」
いやいや適応者の中から無作為にだろう、と思ったがさすがに嫌味要素が強かったので口には出さない。
「それに、この世界の食文化を発達させる為に貴女が選ばれたんです。貴女が類を見ない料理の才能を秘めていたから」
「いやぁ、そんな事は無いと…」
「ヘレスケティア様は食を司る神様でありながら、余りこの世界に干渉出来ないのでどうしたものかと悩んでおられました。そんな時、ヘレスケティア様に久々の転移担当が回ってきたのです!」
クルネリアは意気揚々と話を続ける。
「ヘレスケティア様は『異世界の者を送り込めばやっとこれまで以上に食文化を発展させられる!』と意気込み、発展した世界で適応者を探しました。探して探して探して、そして見付けたのが貴女だったのです」
「はぁ」
嬉しそうに話すクルネリアとは対照的に生返事しか出来ない私。
いきなりそんな壮大な事言われてもついていけませーん。
「貴女の性格、生活環境、そしてその才能…。総合して考えた結果、こちらの世界に転移するとの決定が下りました」
何と、知らない内にそんな事をされていたのか…怖すぎる。神様にプライバシー保護などないらしい。
「そして、結果として貴女はこの世界の方が良いと感じてくれました。ヘレスケティア様の判断は間違っていなかったのです」
誇らしげに語り終えたクルネリアを見ながら、私は口を開く。
「うーん…いきなり話がかなり遡るんですけど、戻りたいと願ったら戻れるって事ですか?」
「はい、一応。………って、えぇっ!?まさか戻りたいんですか!?どうして!!」
「うわっ、ビックリした。聞いてみただけですよ」
この生活が嫌なわけではない、むしろ本当に幸せだと思っている。けど…何だろう、勝手にそちらの都合で連れてきておいて「ほら転移して良かったろ?」みたいなのが気に食わない。
「一応戻れますけど…出来ればここに居て欲し…いや、転移者様の意見を尊重するのが基本ですから…でも…うーん…」
「あの、本当に聞いてみただけですから…」
予想以上の悩みぶりについフォローを入れてしまった。
「ホントですか?それなら良かった。ではこれから先、全身全霊を持って貴女様のお手伝いをしますのでよろしくお願いします。あ、この世界に習ってマシロ様とお呼びしても良いですかね?」
フォローを入れた瞬間コロッと元に戻りそんな事を言うクルネリア。
「良いですけど…」
それだったら最初から出てきて色々説明してくれれば良かったのに…。チュートリアル無しは辛すぎるって。
若干恨みを込めた視線を向けてもクルネリアはどこ吹く風で次の話に入ろうとしている。
「魔導書使用方法が分かっているのは別冊だけで本体の方はまだでしたよね?」
「はい」
「本体はマシロ様が魔導書に書かれた料理を作る事によって、料理名や写真が追加されていきます。料理名はマシロ様が名付けたモノが、写真はマシロ様が作った料理を良い感じのアングルで撮ったモノが追加されます。自動ですのでご安心を」
何か近未来的?だなぁ、異世界なのに。いや異世界だから?
「そんな感じでマシロ様には魔導書を全ページ埋めてほしいのです。その魔導書が後にこの世界への貢献になりますから」
なるほど。
「それからお店も開くんですよね?そのお手伝いもします。目指せ、早急な自立!です」
「お〜。それは助かります、稼がないといけないので…」
「しっかりサポートするので安心してください!」
「…ところでクルネリアさん」
「クルネリアで良いですよ、敬語も結構です。あ、それで、何でしょう?」
「そろそろお湯から出ないと、逆上せて…」
そう言いかけて目の前の景色が歪む。
「う…」
グラリ、と支えていた頭が項垂れるのが分かった。
遠くでクルネリアの声が聞こえた気がしたがよく聞こえない。そこで私の意識は途切れた。
▶••┈┈┈┈••◀▶••┈┈┈┈••◀
「───う…ん…」
涼しい。優しい風がそよそよと頬や首筋をなぞっていく。
…何だかデジャブを感じる。が、今回瞼を持ち上げた時に視界に映ったのは整った顔立ちの可憐な女性。
「マシロ!母さんマシロが目を覚ましたわ!」
「お、姉…ちゃん…」
「大丈夫?どこか変なところはない?」
「大丈夫…」
どうやらあのまま逆上せて意識を失ったらしい。寝かされているこのシンプルな部屋は…私の部屋だ。
「こんな逆上せるまで何してたの?大きな物音がしたから今度こそ魔物かと思ってヒヤヒヤしたわ…」
「えっ…と、ちょっと考え事してて?」
「何で疑問形なのよ」
「いやその…それより!ここまで運んでくれたの?あと…これ、パジャマとか」
私は買ってもらったばかりのパジャマを来ていた。
「母さんが運んで私が着せたの」
「あー…ありがとう。お騒がせしました」
「全く、逆上せて気を失うまで何を考えてたの?」
「えっ!いや、そんな大した事じゃないよ。ほとんどボーッとしてたのと変わらないし…」
「ふぅん?まぁいいわ。本当に気を付けてね」
「うん、ごめんなさい」
そこでふとお姉ちゃんの手元を見ると葉が握られている事に気付いた。
「お姉ちゃんそれ何?」
「これ?さっきまでマシロのこと扇いでた葉っぱよ」
なるほど、さっき感じた風はこれだったらしい。
「それにしても母さん来ないわね。ちょっと見てくるから待ってて」
「わかった」
お姉ちゃんはそう言って部屋を出ていった。
「ふー…」
ここまであった事を思い出して深い溜息をつく。
そういえばあの子はどこだろうか。
「おはようございますマシロ様」
「うわっ!」
「そんな叫ぶ事ないじゃないですか」
タイミングを見計らったように出てきたクルネリアに驚いて声を上げてしまった。
「どこから出てきたんですか…」
「そこのカーテンの裏です。体調は大丈夫ですか?」
「それは大丈夫です」
私は起き上がらないままでクルネリアと会話をする。
「良かったぁ…。私では助ける事が出来ないので近くの物を片っ端から倒して音で人を呼んだのですが、大丈夫でしたかね?」
お姉ちゃんが言ってた”大きな物音”の元はクルネリアだったようだ。助けを呼んでくれたのはありがたいが何か大切な物があったらどうしよう、と少し心配になった。というかキミがあんなに長話しなければこんな事にはならなかったと言いたい。
若干のジト目でクルネリアを見るが、相変わらず何処吹く風でクルネリアは念を押すようにこう言った。
「あと敬語無しで大丈夫ですからね」
「あぁ、はい…じゃあ…改めてよろしく、クルネリア」
「はい、よろしくお願いします!まだまだ未熟者ですが精一杯サポートしますから」
微笑を浮かべてそう言うクルネリア。
「今日はもうお休みになります?」
「うーん…そうする。一日動きっぱなしで疲れたし。おやすみクルネリア」
「分かりました、おやすみなさいませ」
明日からまた大変になりそうだと思いながら私は瞼を閉じ、そのまま眠りについた。




