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第11話《姉妹でお風呂》

「ちょっちょっちょっ止まって!止まらない!助けっ…エマさっ…お、お姉ちゃん!お姉ちゃーーん!」


 風呂場のすぐ上にリリーお姉ちゃんの部屋が位置していることを思い出した私は叫んだ。ここままじゃ異世界早々風邪を引いてしまう。そんなの真っ平御免だ。慌てながらどうにか扉を開けて脱衣所に出る。


「マシロ!?どうしたの!?もっ、もしかして魔物が出たの!?大変!!マシロ死なないで!!」


 すぐにリリーお姉ちゃんの慌てた声がした。死にはしないけどこのままでは風邪を引くので助けて欲しい。


 バンッ!!


「マシロ!!」


 脱衣所のドアを勢いよく開けて血相を変えたお姉ちゃんが飛び込んで来た。何故かは分からないが至る所に葉を付けている。


「お、お姉ちゃん…水が止まらなくて…寒い…」

「わぁぁっ!?ちょっ、貴女水浸しじゃないの!風邪引いちゃうわ!」


 お姉ちゃんは置かれていたタオルを取り私を包むようにして優しくタオルで拭いてくれた。


「ところで何があったの?見た感じだと魔物は居なかったけれど…」


 心配そうに私を見るリリーお姉ちゃん。


「ご、ごめんお姉ちゃん心配かけて…あの、水が止まらなくて…しかも冷水で…」

「水?あぁ、良かった…怪我は無いのね?」

「それは大丈夫…」

「はぁ〜〜っ、本当に良かった…。そうよね、最初は分からないわよ。これは先にこっちの火の魔石に魔力を流して温めなきゃいけないの。そしたら連動して水の魔石を原動力にして温かいウォーターシャワーが発動するから。止める時はこっちの魔石に魔力を流してアンチマジックを発動させてね」


 お姉ちゃんは丁寧に使用方法を教えてくれた。


「ありがとうお姉ちゃん…ところでどうしてそんなに葉っぱまみれなの…?」


 それから、ここに来てくれるまでの時間が10秒も無かったような気がするんだけど。


「え?あぁ、これは…二階から飛び降りた時にクッションにした葉っぱがちょっとね」


 え?今何て?二階から?飛び降りる?


「そっ、そんな危ないことしたの!?いや私のせいだねごめんなさい!」

「あら、危なくないわよ?火魔法は苦手だけど地魔法は得意だからね」

「え?お姉ちゃん、地属性?もあるの?」

「言ってなかったかしら?そうなのよ。ちなみに上の姉二人も属性二つ持ちよ」

「そうだったんだ…」

「私も葉まみれになってしまったし、一緒にお風呂入ろうかしら…いい?」

「へ?あ、もちろんだよ!私のせいでこんなになったんだし…」

「気にしないで。マシロが無事で良かったわ」


 エマさんに続き、リリーお姉ちゃんも良い人過ぎるよ…。


「じゃあ服脱いじゃうから、先に浴槽にお湯入れてもらってもいい?あ、浴槽の上の魔石にさっきの手順で魔力を流すのよ」

「わかった」


 さすがにそろそろ寒いのもあって素早く風呂場に戻り言われた通りにやってみる。すると魔石の少し前に直径20cmくらいの水球が現れ浴槽に落ちていった。それが止め処無く続いている。


「おぉ〜…面白い…」


 出てきた水球の一つに指を入れると丁度いい感じのお湯だった。魔法ってすごい。楽しくてこの様子を見ていたらお姉ちゃんが風呂場に入ってきた。


「マシロ?何してるの?」

「あ、お姉ちゃん。この水球が出てくるのが面白く…て…」

「?どうしたの?」


 …大きい。かなり大きい。そしてスタイル抜群に良い。

 服越しでもスタイル良いんだろうなとは思っていたけど、それでも着痩せしてたのだろうか。出るとこはこれでもかと主張しているし、引っ込むところはさっき食べたの何処行った?と言いたくなるほどだ。


「いや…何でもない…」


 不思議そうな顔をするお姉ちゃん、その一方で私は自分を見る。それなりだとは思うがお姉ちゃんを見ると泣きたくなるので止めた。いや、あれはどう考えても規格外だと思う。私は悪くない。


「そう?じゃあさっさと洗って温まりましょ!風邪引いたら大変なんだから」

「う、うん」


 言われるままに頭と体を洗う。お姉ちゃんは先程の布で泡立てていたので、間私の判断は間違いではなかったみたいだ。


「あ〜サッパリした」


 今度はちゃんと温かいシャワーを浴びて体の泡を流すと、そんな言葉が自然と口から出た。


「うふふ、じゃあ今度はお湯に浸かりましょ」


 すっかりお湯の溜まった浴槽に片足を入れながらお姉ちゃんはそう言った。


「お湯に浸かるなんて久々だから何か嬉しいな」


 孤児院では人数も多いし水道代も節約しなきゃだったし、残念ながら近くに銭湯等も無かった。だからいつもお風呂と言えばシャワーだけだったのである。


「じゃあ今日はお花でも浮かべてみようかしらね」


 微笑を浮かべて一旦お湯から足を出すと、お姉ちゃんは手を壁の上方にある小窓にかざした。すると窓から木の枝が入り込んできた。

 私が驚いて目を丸くしている内に、お姉ちゃんは枝に咲いている白い花を摘んで、その花弁をお湯に浮かべた。


「いい匂い…」

「ふふ、でしょでしょ?さ、早く入って」


 ここの浴槽は私たちが入っても狭いとは感じない程度の広さがある。だから遠慮なく先に入ったお姉ちゃんに手招きされてお湯に浸かった。


「ふぁぁ…あ〜…気持ちいい…それにホントにいい匂い…。…というかさっきのアレ…お姉ちゃんの魔法?」

「そうよ〜」

「こんなことも出来るんだ…凄い!」

「そ、そうかしら?皆やってるけど…そう?凄い?えへへ…」


 嬉し恥ずかし照れ笑いをするお姉ちゃんはやっぱり可愛い。

 私達は色々な話をしながらお風呂を満喫した。

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