学園編 80話 最悪の出会い
勘がいい人はわかっちゃうでしょうな…ははは!はは…は…はぁ…
目が覚めてから数日後、健康状態が確認されやっと授業を受けられるようになった。久しぶりに教室に入ると、多くの生徒が声をかけてきた。普通に心配された「大丈夫なのですか?」などが多かったが、そのあとは「魔族に襲われた」「ディルとエルフの少女は死んだ」などの話を聞かされた。一瞬驚いたが、すぐに根も葉もない噂だと理解できた。しかし、事実もあった。シリウスは悪魔が学園で暴れ多くの人が着込まれたことの責任を問われ、学園長を辞職。その後、どこかの冒険者ギルドのギルド長になったそうだ。多くの生徒に適当に返事をしながら、席に座るとすぐにケルが近づいてくる。
「カフ様!ご無事で何よりです!忌々しい下人も、醜いエルフもいなくなりクラスがやっとマシになりましたね!」
「すまない…少し疲れているから一人にしてくれ」
一瞬怒りが湧いたが、すぐに抑え込む。ディルは生きている…ラスティも…絶対に。
ケルは頬を引きつらせながらも、黙って他の貴族の同級生の元に向かった。そこでも貴族の息子や娘にゴマをすりまくってる。下心が見えすぎてケルは好きになれないな…
そう考えながらキャッキャと話している目の前の同級生にため息をつく。しばらく待っていると教室の扉が開き、誰かが入ってくる。一瞬担任のコルクかと期待したが、すぐに頭に中に死体となったコルクの姿浮かび吐き気がしてくる。
「席に着いてください〜は〜い。」
入ってきたのは黒いスーツを着たサラサラとした白い髪の男性だった。優しい笑みを浮かべながら教室に入ってくる。歳は上に見えるが、肌はツヤがあり若々しい…
男は教室に入ると持っていた教材を教卓に起き、教室を見渡す。生徒たちは戸惑いながらもすぐに席に着く。皆が席に着いたのを確認すると男がその口を開いた。
「初めまして。みなさん、私はフルークフーデと申します。魔族の襲来により、コルクさんが殉職されましたので…代わりに私がみなさんの担任になります。ベテルギウス様の学園で教鞭を振っていたので安心ください。私はフルークと呼んでください。私の担当は『土魔法』と『闇魔法の防衛術』です。コルクさんの『錬金術』をとった生徒は『闇魔法の防衛術』に変わります。以上です。これからよろしくお願いしますね」
皆バラバラに返事をする。まあ、当たり前のことか…しかし、ベテルギウスの学園といえば魔法がとても優れているんだよな…それに『闇魔法の防衛術』か‥悪魔に対してか…頑張ろう。
「さて、次は転入生ですね。それと…まあ、いいでょう。入ってきてください」
フルークがそう言って扉を見ると、そこから二人の少年少女が出てきた。質素だがかなり高い素材を使っている服を着た赤髪の少年と…
「ま、ま、まさか…」
少年の横には白い肌に緑の目をした少女が眠そうな目で立っていた。驚きで席を立ち上がる。椅子が後ろに音を立てて倒れるがそんなことは気にしない。目の前の光景が嘘でないように。瞬きすらももったいなく感じる。そんな私のことを少女はふと視線を向けてくるとそっと手を振ってくる
「ら、ラスティ!」
「カフ…おはよう…」
少女はそっと口を開き、笑顔を向けてくる。よかった…よかった…な、なら!で、ディルは!?
私はすぐに飛び出し、ラスティに近づく。ラスティの肩を握り少女の目を見る
「ディルは!ディルはどこ?」
「痛い…ディルは…いない…」
「なぜだ!どうして!詳しく話「カフ君ですね…席に着きなさい。」
教壇のフルークが注意をしてくるのでそっと、ラスティの方を離し振り返ると、全生徒が私を見いたことに気づき恥かしくなってくる。すぐに席に走り座る。
フルークはそっと喉を鳴らし、離し始める
「んんっ…では、こちらにいるのはベテルギウス様のお孫様のオリオン=ハーシェル様です。魔法い関して1000年に一人の逸材と言われております。」
「そ、そういうのは…好きじゃない。…です…」
青年が一瞬フルークを睨む。フルークは終始笑顔で勤める。中が良さそうな雰囲気だ。
フルークがオリオンを紹介をすると、多くの女生徒がキラキラとした目で見ている。まあ、顔立ちは確かにいい。綺麗な赤髪に黒い瞳。そしてベテルギウスの孫と、家柄も文句無し。
「皆さんもご存知かと思いますが、彼女はエルフのラスティ=ネイルさんです。魔族に連れ去られたと噂され心配されていましたが、無事救出されました。」
ラスティは面倒くさそうに頭を下げると、そのままいつもの角の席に着く。多くの生徒が小さな舌打ちが聞こえたが、ラスティは無視している。
「そうですね…オリオン君は…カフ君の隣でいいしょう。さっきこちらに出てきた子です。」
「わかった…じゃなくて、…わかりました…」
オリオンはゆっくりと私の近くにやってくる…どことなく変な雰囲気をまとう少年…
少年を観察していると、気付いたら目の前まで少年がやってきていた。
「隣を失礼する…」
「あ、ああ…」
「どうかしたか?…顔に何か着いているか?…」
「そんなことはない…」
「そうか。俺の名前はオリオンだ。よろしく頼む」
「私はカフ=B=カシオペアだ…よろしく頼む…」
ニヒルとオリオンが笑う。なぜ笑うのか理解できなかった。
それが彼との初めての会話だった。
△
「ラスティ!詳しく話を聞かせてくれ!」
「何の?…」
「ディルだ!」
「ディルは…魔界にいるよ…しばらくは会えないと思う…」
途切れ途切れにラスティが喋る。何かあったのか…ま、まさか…ディルの体をあの悪魔が乗っ取ったのか?…
そう考えると、どんどん身体中の血が沸騰しそうなくらい熱くなる。胸が痛い…
すると、突然背後から肩を叩かれた。
「肩に力が入っているな…どうかしたのか?」
「貴様には関係ない…どっかいけ…」
「そういうな。な?ラスティ」
「うん…いいんじゃない?」
ラスティがそういうと、『してやったり』といった顔で私を見てくる。癪にさわるやつだ…
まあ、話を聞いていてもどうせついては来れない。なぜなら、こいつはディルについて何も知らない。誰かすらも知らないのだから、聞かれても構いはしない…
私はじっと見てくるオリオンを無視して先の憶測をラスティに聞いてみる
「まさか…ディルは悪魔に体を乗っ取られたのか?…」
「…ぷ…ははは…そんなわけない…ディルだよ?…」
ラスティは本当に笑っているようだ。こんな真剣に聞いているのになぜ笑える?…ディルと仲良く見えていたのは嘘だったのか?…
「大丈夫…ディルだもん…」
「そうだが…私は学園で力をつけ、魔界に行く。そしてディルを助けに行く」
「大それた話だな。君が魔界に行く?…君は魔界の闇にどれだけ耐え切れるというんだ」
しばらく黙っていたオリオンが突然口を挟んでくる。しかも少し挑発的なその言い方に私はつい感情的になってしまい怒鳴ってしまう
「うるさい!だから学園で力をつけるといっているだろう!」
「『闇の魔法』や『魔族』に対してどれだけこの学園の教師が知っているか疑問だな」
「なら、貴様は知っているのか!」
「ああ…怖いくらい知っている。その強さと、その怖さもな」
ただトーンを下げた話し方に変わっただけなのに、どこか背筋がゾクゾクとしてくる。オリオンはまっすぐ私を見てくる。どこまでも黒い瞳…見ていて吸い込まれそうな…
「俺が教えてやろう…『魔族』そして『闇の魔法』についてな」
「ふん…貴様なんぞに誰が教わるか…」
「なら…私がお願いする…」
ラスティが手を上げてオリオンを見つめる。オリオンはニヤリと笑うと、ラスティに指をさす。
「よし。ラスティには教えてやろう…その身にな…」
「ま、待て!貴様…ラスティにエロい目を使ったろ!そういう目的か!」
「部外者は黙ってもらおう。さあ、ラスティ…行こうか?」
「うん…」
「ま、待て!わ、私も行ってやろう…この私が!」




