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76話

誤字脱字、矛盾があったら教えてください!

よろしくお願いします!

影からどんどん出て行く。そこはすでに屋敷の敷地内だ。ふと視線を視野に向けると白いタオルを持ったじぃが立っていた。俺はすぐに黒馬から降り、じぃからタオルを受け取る。汗をかいているわけではないが、若干カフの血が付いていたり戦闘で顔が汚れていたのでふき取りながら、『闇触力得』を発動させギリギリだった魔力を回復させる。スキルレベル自体が上がっているので、魔力の回復速も早いが、ステータス自体が上がっているので結局、全快するには多少時間がかかる。ある程度回復してから『闇魔剣士』を発動させ、真っ黒い魔力を纏い姿をデュークの姿にする。

魔界に入ると黒馬もどこか力強くなっている気がする。とりあえず、屋敷にそのまま入りっていく。

半歩後ろを歩くじぃが俺に問いてくる


「何かあったのですか?…」


「少しな…じぃ。バクという悪魔を知っているか?…」


「バ、バク…ですか…」


いつも冷静であまり表情が変わらないじぃが目を見開いて固まっている。どうやら何か知っているようだな…それと反応から良い話ではないか…

俺はその場で立ち止まり、じぃの方を見る。俺が真っ直ぐじぃを見ると、じぃは手を顔に当て考える素振りをする。一瞬の光景が懐かしく思えた…デュークの考える時の癖って、父親譲りなんだな…


「ふふ…」


「何がおかしいのですか?」


「いや、気にするな。それで知っているか?」


「ええ…バクは元々ドラキュース家に仕えている兵士でした。肉体を失ったワイトでしたが、生前から持っていたスキル『移躰』を使い死体に乗り移って戦っていました。かなり有能ですた…乗り移った肉体のステータスをそのまま使え、脳にある記憶を使いスキルを再現する事も出来ました。デュークが継いでから、デュークと継承権でもめたカーミラ側につき、この屋敷を出て行きました。」


「そうだったのか…話は聞いていたが、デューク兄ということは俺の叔父にあたるのか…」


「ええ…デュークと違い冷酷なやつで…他の領域に攻めこもうと考えていたようで…領域に攻め込み領地を拡大させるカーミラ側と、このまま人間の地と魔族の地を分けるデューク側と別れました。」


「カーミラの考えはわかる。領地が多ければその分生活も豊かになる…なぜ、デュークは…吸血鬼は人間の地と魔族の地の境界線にいる?…」


「それは…いつかお話いたします。今はまだ、ディル様若い…」


じぃの目線は鋭くなる。アステリオスと戦った際、じぃが若返った時の目と似ている…


「ちっ…まあ、いい。話を戻すがバクの居場所はどこかわからないのか?…」


「おそらくですが…リリアンナの所だと思われます…」


今度は苦虫を潰したような、怒りの混じった表情で吐きすてるように答える。相当嫌な相手なのだろう。しかし、名前的に女か?…


「すまない、リリアンナというのが誰だかわからないんだが…」


「申し訳ありません…リリアンナは『傾国のリリス』と呼ばれている女狐です。デュークの嫁だと勝手にほざく女です…」


「ほぉ…嫁というのに、敵対していた叔父を匿うのか。」


「奴は義理人情の欠片もない女狐で、自分の利益になること以外はしないのです…も、もしや…」


「どうかしたのか?…」


「これはあくまで想像ですが…いえ、まずはきちんと魔族の地を説明いたします。

 まず、リリアンナの領土は最も魔獣が多くドラゴンなど竜種も生息しています。攻めれば魔物が勝手に防衛してくれるような感じですが、リリアンナ率いるサキュバスやインキュバスなどの精神魔法や傀儡魔法、奴隷魔法が得意な魔族が魔物を使役しており、戦力はかなり上位です。

 次はアステリオスの領土ですが、我々と戦闘をしほとんどを殺したので戦力はないでしょう。アステリオスの領土は現在リリアンナが支配しています。アステリオスの領土は数十もの鉱山があり貴重な鉱石が取れたため鉱石を加工した、武器輸出で有名でした。

 次はサウロンという名のリッチですな。魔力量ではこの世にかなうものはいないと言われており、生前は冬の三賢者を育てあげたほどの魔術の天才です。しかし、生前多くのキメラ作成や人体実験などの禁忌を行い国から追放されましてその時、所属していた国から魔族の地までの道のりにあった街や村の住人を全てアンデッドに変え、大量のアンデッドを従え奥地でひっそり暮らしています。

 最後に元魔王であるサリバンの領地です。昔の魔族の地には多くの種族が点々と村などを作っており、争いも多かった中を一人で纏め上げ、今の領地があります。元天使らしく、曲がった事が嫌いな性格で多くの種族を差別する事なくまとめているのは尊敬できますね。そして、サリバンが最も戦力があります。」


「ほぉ…」


「ここからが私の考える最悪なパターンなのですが、リリアンナはカーミラと手を組んでいると思いますので、魔物を使役するリリアンナ軍とカーミラの軍を足して考えます。もしもここで、リリアンナがサウロンと手を組んでいたら…リリアンナの魅了魔法はかなり強力なものです。サウロンは所詮元人間、魔法にかかってもおかしくありません。そうなると、リリアンナはサリバンに匹敵するほどの戦力を持ち、かつアステリオスの領地も持っており武具などで必要な資源も確保できる。それにサウロンのアンデッド軍は不眠不休ですから鍛冶を作らせればかなりの速度で、武具が手に入ります…」


「それはまずいな…しかし、可能性は非常に高いだろう…サリバンは知っていると思うか?…」


「もうしにくいのですが、サリバンは脳き…ゴホン。少し知能が低く…気づかないかと…それに魔族の地ではほとんど交流を持ちません。情報が漏れることはほとんどありません…」


「バクのことを聞いたつもりだった…ここまで話がいくとはな…とにかく人間の地にはいかせるつもりはない。争うならいいだろう。迎えうつ覚悟はある。」


「何を言っているのですか!いくらディル様が強くても数が違います!私が集められて3万…です。さっき言った予想が当たった場合、数は数十倍…いや、数百倍になります!」


「そうか。だが、俺はデュークの息子だ。俺に兄弟がいない以上、俺が後を継ぐ。つまり、俺が父さんや吸血族の守ってきたものを俺が守るんだ。そうだろ?…じぃならどうする?」


「ふふふふ…はははははっ!全く、人間には見えないな!ディル様は。私なら戦いますよ。デュークも同じでしょう。攻めてくるものは殺す。」


「まあ、すぐではないだろう。じぃはすぐにサリバンってやつに連絡してくれ。さて、俺は風呂に入って装備を整えてからバクのいるというリリアンナの領地に向かうとするか。」


「招致致しました。」


笑顔でそう返すじぃに、笑顔で返す。そして、すぐ真顔になり歩き始める。それ以降話すことはなかった。

 

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