33話 探索と再会
ラスティを連れて食堂に向かう。食堂には上級生も多く混雑している。なんとか空いている一番はじの席に腰掛け、いつものように椅子に二回魔力を流しタダめしにする。それにしてもめえちゃくちゃ混んでるな…まあ、俺にはあんまり関係ないか…そういえばカフの質問に答えてなかったな…まあ、いいか。知りたいなら来ると思うし。
あまり食欲がわかないので目の前の料理を「黒い吃驚箱」に入れて自分はコップに注がれたジュースを飲む。それにしてもこの料理は誰が作ってるんだ?…
『お答えします。学園には家精霊のブラウニーがいるので、すべて任せています。』
ブラウニー…家精霊か。この世界にも精霊がいるのか…火の精霊とかいたらファンタジーだよな。
『お答えします。ブラウニーは精霊となっていますが本当は小人の一種です。姿を見れるものは魔法に長けた者のみです。火の精霊などの属性の精霊はおりますが、正式には小人です。人間は多くの属性の魔法を持ちますが、精霊は一つの属性のみなので、魔法に長けていると人間が勝手に思っているだけです」
確かに一つだけの属性しか使えないなら、その属性の魔法はどんどん増えて強くなっていくか…いつか見れたらいいな。これからどうするかな…部屋にいてもすることがないしな…村に行ってはいけないとか言ってけど森に入ってはいけないとは言われてなかったし。行ってみるか。
「ラスティはこの後どうするんだ?」
「私は…図書館に行きたい…」
「そうか。俺は少し用があるから図書館に行ってくれ。」
「わかった…」
▽
俺は今森に来ている。学園は司法が森に囲まれているので外に出ればすぐに入れる。校舎から賑やかな生徒たちの声が響くのを背中で聞きながら森に入っていく。確か、食堂があるのは中級生の校舎「右剣校舎」にあるので、少し強い森なのだろう…少し不安だが自分を試せるチャンスだと思うと、不安より好奇心が体を動かす。
森は少し薄暗く、少し顔を上げれば山が見える。さほど高くないようだが登りきるつもりはない。
しばらく歩いていると獣の鳴き声が聞こえるので、近づいていく。すると、灰色の毛並みの狼がオークを集団で襲っていた。鋭い牙で足や腿狙っていく。オークも反撃しようとするが、一匹に構うと他の狼に噛み付かれる。と上手い具合に連携していた。
そして、ついに右膝を食いちぎられ倒れこむオーク。狼はそれでも慎重なのか腕や足などを噛み付きオークを弱らせていく。数分後には歯型だらけの無残な肉塊が出来上がる。狼たちは器用に腹を噛み裂き、オークの内臓を食らっている。群れか…数は10頭弱…やってみるか。
俺は食事中の狼の群れに近づいていく。そっと近づいたつもりなのだが、さすがに野生動物はごまかせないようで
すぐに全てが俺を見てくる。一体が吠えると、すぐに近くにいた四頭が俺を取り囲んでくる。どうやら、あの先ほど吠えた狼がリダーのようだ。
俺を取り囲む狼はいつでも準備万端とでも言いたげに、俺を見てくる。俺の前の前の狼が吠えるので、俺も身構えるとすぐ後ろの狼が襲いかかってきた。囮か…しかし、噛みつこうとした狼を野生的格闘の「後ろ蹴り」で蹴り上げる。「キャインッ」と可愛らしく吠えながら飛んでいく狼に、仲間の狼が気をとられた瞬間に目の前の狼に斬りかかる。今度は吠える暇もなく前の狼を殺すと、自暴自棄なのか、周りの狼が一斉に襲いかかってきた。一匹は飛びかかりもう一匹は下から。俺はそっと剣を両手で持ち「剣術」を発動させると、一気に剣を振り下ろし二匹の狼を斬り殺し、後ろから来る狼には肘を入れ、顔を蹴り上げる。
「フゥ〜。」
汗など掻いてはいないが、額を拭う。剣を振って血を落とすと鞘にしまう。
殺した狼のスキルを奪っていく。死体は全て「黒い吃驚箱」に入れてさらに森の奥に向かう。
道などはなく適当に歩いていると、黄色い体色をした鹿がこちらにかけてくる。遅てくるのではなく、何かに逃げるように。鹿は俺の姿を見るが、逃げる素振りはなく俺の横を駆けていくので、通り過ぎざまに、首をはねる。
首は上に上がっていくが、勢いがあるのか数十メートルほど首なしの鹿が走っていく。あれを見たら恐怖だろ…
上に上がった鹿の首が地面に落下する。切った部分が、ちょうど地面に接している。なんか、貴族とかの部屋にある鹿の首の置物みたいだな。一応スキルを奪って、死体もしまうが鹿が何に恐れていたのか知りたくなった俺は、鹿が来た道を進む。なんか、左に行ってないか?…大丈夫か?…まあ、あまり奥まで行かなければ高級生の森にはいかないだろう。のんびりと歩いていると、巨大なカマキリや蜘蛛など出てきたが魔法の試運転として遊んでいたらすぐに死んだ。
鹿が何に怯えていたのかわからないが、そろそろ戻るかと思っていると茂みが突然揺れた。
「誰だ…」
獣じゃない。獣だったらすぐに飛びかかってくる。俺は意を決して、茂みに近づく。すると、大量のコウモリが俺の体を通り過ぎていく。コウモリ?…
「ディル坊ちゃま…お久しぶりでございます。大きくなりましたな…」




