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24話 聖剣『星斬り』

近づいてくるカフを視界に入れながら、剣を見つめる。未だに剣からは水があふれているが、先ほどより水量が減っている。カフは剣の近くで、俺の姿を発見し驚いているようだ。カフは剣をよく見ると俺が持っていた剣と理解できたのか、緊張した表情で話しかけてくる。俺はいつもの無表情だ。


「ディルじゃないか…この剣は君のものか?」


「ああ、俺のだが…」


「この剣を譲ってもらえないか?…金ならいくらでも出そう!そうだ!この村にいるということは君も学園の生徒になるのだろう?なら、私が入学試験を免除してやってもいい!どうだ?」


どうだ!と言わんばかりに胸を張り、俺を見下ろしてくる。なんかうぜえー…

てか、入学試験?なにそれ…初耳なんだけど…まあ、シリウスが学園長だしなんとかして入れてくれるだろ。それにこの剣を譲る気はさらさらないしな。

俺が黙っていることに、心配になったのかカフが答えを催促してくる。


「ど、どうだ?」


「とてもいい条件だと思う。」


「な、なら…」


「だが、譲れない。」


「た、確かに君なら試験は余裕だろうな!なら、我が父上に話を通し私の屋敷に騎士として雇ってもいい!」


「すまない。」


「く、私の家は公爵家だぞ!」


顔を真っ赤にして叫ぶカフ。公爵…うーん。正直、日本育ちの俺からすればそういう爵位とかわかんないんだよね…

まあ、関係ないし?てか、ローズって姫だったよな?その息子の俺は王子なんじゃないか?まあ、親の権力を使うってなんか嫌だし言う気はないな…


「それでもだ…すまないな」


「くっ…はぁ…わかった。」


カフはため息をつくと、来た道を戻っていく。俺はその小さな背中を見送りながら、剣を引き抜こうと柄を握る。すると、剣から流れる水が止まった。ゆっくりと、引き抜くと独特の匂いが鼻腔を刺激した。アルコール独特のツーンとした匂いだ。

なぜ、剣から匂いがするんだ?…

俺はそっと、剣から出ていた水を指につけ飲んでみる。


「酒だ…ふっ!」


俺が指を舐めた瞬間に、後ろから何かの気配がし振り向きざまに剣で切り裂く。飛んできたのは火でできた球だ…確か火魔法の『ファイヤーボール』だったか?よくありげな、魔法だよな…てか、切れたぞ!?

火の玉は、空で2つに分かれると、その場で小さく爆発した。俺はすぐに飛んできた方を見ると、カフと同じくらいの身長の女の子が立っていた。明るい金髪を短く揃え、まだ幼さい顔は少し苛立ちも見える。来ている服もかなりいいものようだ。そして、手には銀色に光る杖を持ち、俺に向けられていた。


「何故です!何故、私の魔法が斬られたのですか!ありえませんわ!いつもなら炭になるまで燃えるというのに!」


「ひ、姫様!後ろからの魔法は、いけません!」


「何を言っていうるのですか!私がいつ魔法を使おうが勝手でしょう!」


「し、しかし…相手が悪いです。やめましょう、姫様!使いの者に、王都まで走らせ一番いい剣を持ってこさせましょう!」


「嫌です!私はあの剣が欲しいのです!さあ、もう一度…ひっ…!」


姫と呼ばれた女の子はカフの制止を振り切り、再び俺に魔法を撃ってこようとする。俺も身構えるが女の子は俺を見ると固まってしまった。俺は女の子の視線の先を目で追ってみると俺の右手…右手に持つ剣らしく、見てみると剣は轟々と赤い炎を纏っていた。やべ、酒に引火した!あ、あれ?でも熱くないぞ…


『説明します。水瓶に入っていた神酒(ネクター)に炎が引火しました。『星斬り 神酒の水瓶(アクエリアス)』から『星斬り 天慶の炎火瓶(フレム)』に変化しました』


剣を軽く薙いで見ると、ゴォと大きな音を立てる。陽炎なのか、視界が揺らぐ。


『一定以上のポイントが貯まりました。スキル『火魔剣士』を入手しました。』


は!?スキルを入手!?スキルって手に入るものなのか…いや、剣が燃えたのは魔法だったから火の魔剣?いや、わからん…

女の子は未だ俺を真っ直ぐ見てくる。その目はまるで、化け物でも見るかの様な目だった。


「おい、あれ燃えてるんじゃないか!」

「でも、消えないぞ?あれってもしかして…」

「初めて見たわ…あれって」


すると、通りかかった通行人がだんだんと集まり始めた。ガヤガヤと野次馬の話し声が聞こえて来る。視線がいたのですぐに立ち去りたい…俺はすぐに剣を鞘に戻し…鞘がない!


「っち…」


仕方がないので、すぐに剣を黒の吃驚ブラックボックスに入れ「疾走」を使って周りの野次馬に紛れこみその場を離れた。そして、すぐに路地に入り込むと黒の吃驚ブラックボックスから先ほどの剣星斬り 炎火瓶フレムだったか?を取り出す。すると、剣は鞘に入ったままの状態で取り出すことができた…

どういうことだ?…


『説明します。聖剣【星斬り】は大昔、12の大天星座を守るために作られた剣です。この剣には守る12の星座の力が込められています。先ほど力は、水瓶座のガニメデスの神器『神酒の水瓶(アクエリアス)』です。先ほどの像はガニメデスの伝説のモチーフだったので、剣が呼応したのでしょう』


12の星座…か。ってことは、他にもあるってことか…星座を守るための剣か…かなりかっこいいじゃないか!

俺は剣をそっと抜き、刀身を見る。すると、うっすら発光する刀身に何やら青白い文字が見える。wの文字が2つずつ二列になっているようなマークだ。どこかで…ああ!星座のマークか。確か波を表しているんだっけか?


『説明します。その印は発動可能な神器を表したものです。先ほどガニメデスの像の近くで戦闘を行ったので、剣が星座を守る騎士だと判断しガニメデスの神器『神酒の水瓶(アクエリアス)』が使用可能になったのでしょう』


うーん…よくわからんが、魔剣なのだろう…?それにしてもカッコイイな…12星座あるって言ったいた

しかし、今から大通りに戻ると、顔がばれて厄介なことになりそうだし、裏道をいくか…それにしてもカフが公爵の長男だったとして、そのカフに姫様と呼ばれるってことは…カフと同等…または、その上の立場か…態度もかなりワガママっぽかったし…はぁ…

剣を腰に差し直し、裏通りを疾走を使って駆け抜ける。なぜスキルを使うかというと『疾走』の検証をしたかったのもある。疾走はかなり使い勝手のいいスキルだと思う。最初に走っていなければ発動できないが、発動すると自信が止まろうしなければ止まらないし、今までスキルを使った中で息切れを起こしたことはない…いや、疲れてないのだ。これは戦闘時にかなり役に立つ。もし走った直後に戦闘になったとする。その時、走った疲れで100%のパフォーマンスはできないだろう。それにこのスキルは走りながらも他のスキルを併用できるらしい。それは相手を追い、その後ろから攻撃も可能というわけだ。検証する内容として今のスキルレベルの時点での「持久力」と「スピード」だ。


「はぁはぁはぁ…」


スキル『疾走』が切れたのは、自身の足が持たなくなった時だった。身体強化のスキルでも、持たないということはかなりだな。速さでいうと、MAXで馬車を追い越す程、距離でいうと


「着いた…」


村から、冒険者学園の門までの距離だ。


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