合掌
命は消えた。知らぬ間に。
同じ空気を 吸ってたはずなのに
急いでいっても 間に合わない。
『もう一度』と悔やんだって戻らない
それなのに 読経は進んでく
残された物は記憶に代わり
なんにも知らないくせに
私の手から奪ってく
あれだけのことをやったのに
神は終わりを伝えるようだ
私に隠した
あいつの想いは
命は消えた。目の前で。
同じ空気に 叫んでいたはずなのに
私の名前は呼ばれない。
祈っても届くことは二度とない
それなのに向き合えず逃げてしまう
確かに在ったものを消さなければ
哀しみだけに染まってく
暗い世界で生きていく
生み続けるしかないかもしれない
暮らしの中で笑えるような
隣に座るあなたへ
救いの唄を。
今回この詩には繊細で、深くて、壮大な仕掛けを用意しました。
前作の『遺言』と同じ枠でこの詩を書きましたが、仕掛けは微妙に違います。ぜひお時間がある方、探してみてください。
今回、初めて二部作を作ってみました。『遺言』には死者の気持ちや声を込め、『合掌』には生者の絶望と行き着いてほしい場所を書きました。
どうしようもない『遺言』に対し、この『合掌』には希望を込めたいなと思いました。制作当初は希望に満ちた生者の詩にしようと思っていたのですが、結局生まれたものは希望ではなく、生者への皮肉になってしまいました。
何作書いてもどうしようもない絶望や、自分自身への皮肉しか表現できない私ですがこの作品はなにかの機転になると考えています。作品内で希望を添えることができたので。
遺された者に寄り添い、一緒にうたってくれる誰かが1人ひとりに居ますように。生きているうちに一言でも会話するきっかけになれば嬉しいです。




