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『ブドウ糖90%』他

・『ブドウ糖90%』

天秤に乗っかっているような恋だった。彼と私との関係は、恋人同士ではあるけれど。さしずめブドウ糖90%の恋。あと10%が欲しくて、私は彼に熱い視線を送る。もっと欲しいと。私の意を察した彼は笑って言った。「糖尿病になるよ」失礼しちゃう。でもそう言いながら、私の首筋に伸ばすこの手は何?


・貴方は九藤 朋で『おいていかないで』をお題にして140文字SSを書いてください。


山林に遠く鳥の鳴き声が谺する。舞い散る落ち葉。赤、黄、緑。美しい山間の景色は悲しみを助長させるばかり。九藤は「おいていかないで」とか細く呟いた。車のエンジン音が遠ざかる。九藤の両目から涙が溢れ出る。それは目の前の湖のように透明で。九藤は一歩、その湖水の輝きに足を踏み出した。


・貴方は間宮小路 晶で『噂の二人』をお題にして140文字SSを書いてください。


少年と少女が広い邸宅に二人住まいでいる事を、近所の住人達が好奇の目で見ていると晶は知っていた。自分達が密やかで甘い推測の噂となっている事を。それも仕方ないと晶は思う。衆目を介しない晶は出汁巻き卵を作る。やがて華夜理が起きてくる。「おはよう」笑顔でかわすこの挨拶が、何より大事。


               『礼装の小箱』より間宮小路晶、出演


・貴方は音ノ瀬 ことで『届かない本当』をお題にして140文字SSを書いてください。


真実は置いてきた。嘗て両親が旅立った日に。私は私の恋心を凍結させた。だから聖に言える事は何もない。届けたくても届かない。私の本当の心は。今日も紅玉のような目の彼は微笑む。微笑み返す事が出来ない私に。真実の想いは揺れる小舟のように不安定で、けれど私たちの間に今も確かに存在している。


                『コトノハ薬局』より音ノ瀬こと、出演


・貴方は『一緒にいた影響』をお題にして140文字SSを書いてください。


私と貴方。貴方と私。どこに行くにも一緒だったね。茜色の空の下、自転車に乗って並んで帰った。花火大会も一緒に行った。貴方は私の浴衣姿を見て、目を細めて褒めてくれた。一緒にいた影響は大き過ぎて、貴方がいなくなった後の私は抜け殻。ねえ、お兄ちゃん。私もそっちに行って良い?


・九藤 朋さんは、「早朝のバー」で登場人物が「感じる」、「風」という単語を使ったお話を考えて下さい。


飴色に磨かれたカウンター。早朝のバーに朝の風と光が入り込む。結局、夜通しで飲んだせいで、吐き気を感じていた。失恋なんてざらにある事だ。けれど今回こそは彼女が運命の女神だと思った。そう思ったのは自分だけだった。俯いた男の視界に、赤いハイヒールが映った。「馬鹿な人ね」女が微笑んだ。


・九藤 朋は『全部ください』を最初に使ってSSを書いてください。


「全部ください」貴方の眼差し、貴方の指先、貴方の優しさ、貴方の愛、貴方の怯懦、全て私にください。それは私にとって天を彩るオーロラ、君臨する満月、眩しい太陽、さんざめく花畑。だから全部ください。もう動かなくなった冷たい貴方に、それでも私は懇願し続ける。血塗れの手をその身体に添えて。



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