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『半分だけ閉じたカーテン』他

・『半分だけ閉じたカーテン』

陽だまりが見えるわ。私達の天敵の日の光の塊。半分だけ閉じたカーテンから漏れる陽だけでも、私達の身体には害だというのに。メイドのハンナはまだこの邸の勝手が解っていない。昼はこうして怯え隠れる身だけれど、夜は私たちの世界。吸血の一族は月光を殊に愛でる。今夜はどんな獲物に逢えるかしら?


・『背もたれのない椅子』

母は穏やかに逝ってしまった。春の晴れた日。母の部屋には机と背もたれのない椅子だけが遺された。京都の老舗の一人娘に生まれ、厳しく躾けられた母は、椅子の背にもたれるという事を生涯しなかった。けれど私には笑って言った。〝好きなだけもたれなさい〟母の人生と私のそれとは違うのだから、と。


・『お弁当』

私が作るあの子のお弁当は、段々大きくなっていった。最初は掌に乗る位のサイズだったのに。食べ盛りには大きな物になり、夫と変わらぬ程になった。そしてあの子のお弁当を作るのは、今はお嫁さんの役割。その内お嫁さんも、あの子のお弁当と一緒に、掌サイズのお弁当を作るようになるのだろう。


・九藤 朋へのお題は〔最悪の雨〕です。 〔モノローグ禁止〕かつ〔「ベッド」の描写必須〕で書いてみましょう。


好きだった同級生に振られ雨にも降られた少女は、ベッドに潜り込んでいた。最悪の雨が外界にも心にも降りしきっている。泣きじゃくる少女のベッドの横には幼馴染。ココアを飲んでいる。その呑気さが少女には恨めしかった。彼女は知らない。幼馴染が自分を好いている事も。数秒後に告白される事も。



・九藤 朋は『黎明』と『歌』を使って140字SSを書きましょう!


さあ、時は晴れやかな黎明。うすら明るく陽が大地を染める。空は紫から鈍色、薄水色、やがて金に。言祝ぎの歌を歌えよ。この世界の始まりを歓迎せよ。やがて暗く重く、肩に食い込む程の荷が掛かるとも、こらえ地を踏みしめよ。黎明の今を思い出し、苦渋を耐え忍べよ。


・貴方は九藤 朋で『愛されるのに臆病すぎて、』をお題にして140文字SSを書いてください。


真紅の長いドレスの裾をしゅっと捌き、彼女は舞踏会の中を練り歩く。衆目を十分に集めていると知りながら。彼女の心は固い鎧に覆われ何者にも触れることは出来ない。美しい笑顔は武装。愛されるのに臆病すぎて、彼女の心はどんな賛美にも溶けることはない。彼女の目前に、一輪の花が差し出された。


・九藤 朋は『それでいいの?』を最初に使ってSSを書いてください。


「それでいいの?」僕に尋ねた妻。末期癌の初恋の人に、もう二度と逢いに来ないで欲しいと言われた。「良いんだ」琥珀色のウィスキーを、喉に流し込む。「良いんだ」僕は繰り返した。妻と親友だった彼女に僕は恋をした。結果的に妻と結ばれたけれど、妻こそが彼女に今逢いたがっていると知っていた。



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