『背中がかゆい』他
お題をくださった皆さまに感謝します。
・背中がかゆいで文章を書く
時々、背中に彫った龍の入れ墨が動く気がする。ぞろりと蠢き、俺を思うままに動かそうとしてるんじゃないか。そんな疑念に取りつかれる。左甚五郎じゃあるまいし、そんなことは非現実的だと解っているのに。ほら、また。ぞろりと。動いたような気がして、背中がかゆくて堪らないんだ。
・苛め過ぎたバイキンマンを使い文章を書く。
ごめんよ、おれがわるかった。そういってうなだれるバイキンマン。そんなすがたはそうそうみられない。わるいやつといいやつのさかいめってなんだろう。ごめんよってあやまれるバイキンマン。いじめすぎたからあやまるきみ。ほんとうはきみは、どこにでもいる、ふつうのこころのもちぬしなんだ。
・『温泉』『フランス人形』『みかん箱』を使って文章を書く。
温泉街には淡く煙った白い空気が流れている。日本の情景。私はよくフランス人形に例えられるから、この場では浮いてるかもしれない。有給使って温泉巡りなんて、いかにも日本人だと思うんだけど。道の隅。みかん箱に入れて捨てられた仔猫。可哀そうだけどどうしようもなくて、そっとその場を後にした。
老兵は姫君の為に作戦立案をしました。
老兵は姫君の為に敵地を隈なく調べ上げました。
戦争に掛かる費用、兵站を調えました。
軍馬を調教し、兵士達に自ら稽古をつけました。
戦争は勝利に終わりました。
姫君は友好国の王子と婚姻を結びました。
老兵はそれを見届けて、静かに息を引き取りました。
おだやかにときがながれて
やがてあなたがわらえるように
やがてあなたがわらえるように
そんなひがきっとくることをねがう
やわらかにしめやかなはなびらが
いくまいもかさなりくうきをいろどる
あなたのこころがそんなふうに
いろどられるように
いろどられるように
かぜのやさしさ
写真上:九藤
写真下:空乃千尋さん提供




