『請求書と花冠』他
お題をくださった皆さま、ありがとうございます。
・請求書と花冠を使い文章を書く
恋の請求書って何かしら。同じくらいの恋?でも恋って測れないじゃない?ねえ、笑ってないで貴方も考えてみなさいよ。あたりは一面の花畑。こんなロマンチックな事を考えるのにはうってつけ。恋の請求書、恋の対価、ぶつぶつ呟く私の頭上に、貴方は器用に花で作った花冠を載せた。「これでどう?」
・パンとスープを使い文章を書く
人はパンのみに生きるにあらず。そんな言葉があるけれど、飢え死にしたらどうしようもない。俺は今日も固いパンと、味の薄い、具なしのスープを食べて空腹を宥めている。通りすがりの女からひったくったバッグには結構な金が入っていた。でも一気に使う訳には行かない。少しずつ、少しずつだ。
・ストロベリームーンを使い文章を書く
今夜はストロベリームーン。赤い赤い、赤い酩酊。貴方に酔ってしまうわ、うふふ。ねえ? 貴方。あの子とはとっくに切れたと言ったのに、どうしてまだ彼女から連絡があるの? 携帯? 見たけど? ねえ、私、貴方のこと大好きよ。だから赤い月の下で、貴方の赤を見たいと思ってしまうくらいなの。
水がなくては生きられない緑のように。 心なくては人は生きられない。 緑潤す水、人を潤す心。 そのしっとりと湿った温もり。 時に厭わしく、けれどどこまでも愛おしい。 やわやわとした緑のようになれるだろうか。 やわやわとして人を包めるだろうか。 澄んだ清い水ばかりでは、生きていけない。
光が、降る。
私は目を閉じる。光を感じる。
神の恩寵。
皆に等しく降り注ぐ。美しいものを教える。
汚れてしまったと泣く人に、そんなことはないのだと告げる。
悔しくて俯く人の肩に添える手。
そんなことはないのだ。
貴方は在るだけで優しい。
この光は貴方に等しい。
どこまでも。
清かな光。
水仙はナルキッソスの化身だと言う。
見惚れるのも無理のない美しさ。
いつか心に押し込んだ
痛みや傷を溶かすよう。
凛として香り高く。
もう少しくらい自惚れてもいいんだよ。
そう言うようで。
ほんの少し力を抜いて
貴方も冬に咲く一輪の花。
ほらすぐそこの、春を呼んでくる。
あの子を知った時に初めて罪科に震えた。
アイアンメイデン、
アイアンメイデン、
俺の身体を刺し貫いて。赤い海に溺れるから。
その赤はきっと甘くって俺の黒を浄めてくれる。
だから神様、どうかあの子に黒が及ばぬように。
あの子が語りかけて俺が頷く。
そんな時間がずっと続けば良いのに。
写真提供:空乃千尋さん
画像写真:九藤




