『エビスビールとエビ』他
お題をくださった皆さま、ありがとうございます。
・エビスビールとエビを使って文章を書く。
外は雨。女にも雨にもふられた俺。若い部下に手を出して、妻にそれがバレて離婚。部下は可愛い栗鼠のような笑顔で俺に別れを告げた。諸々の事情で会社に疎んじられて子会社に出向。かっぱえびせんを食べながら、エビスビールを飲みつつ、グラビア雑誌をめくる。ああ、早く雨が上がらないかな。
・2つの世界(設定はご自由に)を行き来する少女のお話をお願いします。オチの勉強がしたいので、明確にオチをつけてくださると幸いです。
高い柱の聳え立つ水底にある神殿。そこで巫女として勤めるのがこの世界の私。他方の世界の私は彼氏とデートに明け暮れる日々を送る女子高校生だ。交際を清らかに保つのは、巫女としての心得ゆえ。ある日、神殿に水龍の神が降り、生贄を捧げよと命じた。選ばれたのは私。次のデートが、彼と逢う最後。
・ストームグラス、アルミホイル、金魚鉢を使って文章を書く。
リビングに、理系の父が置いた筒状のストームグラスの中。様々に混入された液体を見て、そうか、明日は晴れるのかと判じる。せめてもの餞にと思い、銀色のアルミホイルで包んだ金魚の死骸を、埋めに行こう。私の部屋を唯一彩る物だった金魚鉢は、今は寂しくぽつねんとしている。
そこは異界の入口。一度通れば戻れない。片道通行赤いべべ。門番は、口角静かに吊り上げて。底知れぬ瞳で世情を見晴かす。溜まった闇の凝りが真後ろにある。黒背負って赤纏う。赤は邪気払いになると言う。静穏の中に響く音色がある。声ともならぬ声。返してほしいと嘆いている。不可逆不可能、闇の掟。
蒼穹に映える緑樹。その松には仙人が住むというまことしやかな言い伝えがある。高砂の、幸を願う仙人は白髪白髭で、温和に白い杖をつくと言う。ある者は恋を実らせある者は身籠り、ある者は天寿を全うした。濃緑の葉は永久に繁り人々を穏やかに見守る。小鳥の囀りが聞こえる。今日も好日となりそうだ。
海の覇者。
天空をも統べる。
昔日の戦いで一つ目となる。
一つ目の青い竜は独り。
水を潜っても独り。
空を舞っても独り。
ある日現れた白い衣の少女。
黙して語らず竜の傍らに添う。
初めて知る温もり。
竜は歓喜して一つ目から涙を零した。
零した涙は甘い雨となり地と人心を潤した。
写真提供・空乃千尋さん
挿絵写真・九藤




