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『ちろり』他

・ちろりという言葉を使って文章を書く。


ちろりってさ、こう、すぅっと伸びた、カーブのある円筒形の酒器があるだろう?錫の良い奴がうちにあるんだ。呑みに来ないか? 肴は家内に適当に見繕わせる。……どうした、顔色悪いぞ。お前、酒が好きだろう? え? 家内とお前が何だって……? 信じないぞ、そんな事、信じない、お前、酔ってるんだよ。


・九藤 朋さんに課す、今日のお題は…… 『怠惰』 『紫』 『緑』


「紫草のにほえる妹を憎くあらば」それはいけない恋の歌。貴方は口ずさんで、私を意味ありげに見ると、緩く口角を上げた。止めて。人妻の私に、そんな怠惰な秋波を送らないで。色気漂うと、自分でも承知の悪い人。密室の窓硝子を樹の緑が撫でる。いけないよと言うように。それでも陥落する、甘美な罠。


・#監禁という言葉を使わずに監禁を表してみる


所詮は玩具か。羽をもがれた鳥が空を恋うように、私は自由を恋うる。私の心が要らないのなら、いっそのこと壊して。たかが玩具。代わりは幾らでもいるでしょう?なのにそう言うと、決まって貴方は悲しげに微笑み、そしてまた部屋に鍵をかけるの。





挿絵(By みてみん)


小柄で色白な人だった。風に震える花のように、どこか頼りなげで心細げで。そんな一輪の花が楚々と僕の心に住みついた。挨拶を交わす時、白い喉が微動して、匂やかに目に映る。凝視して怯えさせないように、そっとそおっと、僕は彼女との距離を縮めて行った。僕の花は今、僕の隣で笑っている。





挿絵(By みてみん)


影絵みたいに見える樹の枝と枝の間。宝石が挟まるようにして朝日が光っていた。零れ出る輝きが、黒々とした樹に鷹揚として抱かれている。歳経た老人のようにも、壮年の男のようにも見える樹は、私を見ている。私が見ているのと等しくして。これが鏡写しだとしたら、どんなに素晴らしい事か。閑寂の中。



写真提供・空乃千尋さん

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