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仕込み  作者: 真鍋
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 先生からグッグと苦悶の声が漏れた額には血管が浮き上がりその血管に沿って汗が流れ落ちると黒い袈裟により黒い斑点が浮出た、先生に付いて3年になるが先生がここまで苦戦している姿を初めて目にしている、私は正座の姿勢から腰を伸ばし両手を前につくと先生の傍に向かおうとした、すると先生は左手の掌を私に向け無言でそれを制止した。


 


 先生は真言宗僧侶、僧正(そうじょう)の僧階をお持ちのお方で今は高野山を離れ一人、怪異に苦しんでいる人々を密かにそして地道に救われている、私もその救済を受けた一人でそれ以来先生に付いて弟子志願を頼んでいる、と言うか付き纏っていると言った方正解だろう未だその許可は貰っていないのだから、報酬もあまりお受取りにならない先生は移動の足もなく背に腹はかえられぬとお考えになられて渋々随伴を許されてるのであろうと私は考えていた、実際先生は僧正、真言宗16段階僧階の上から3番目の位であり弟子はおろか真言宗僧侶全ての師僧にあたると言っても過言ではないのだが入門の許しは未だ叶ってはいなかった。


「君はまだ若い、こんな陰鬱な仕事などせずとも良い私だけで十分だ」


 いつもこんな具合にはぐらかされていた、本気でそう言われているのか将又(はたまた)見て学べと言う事なのか真意は定かではなかった、それでもあれから3年、某オカルト雑誌が喜んで飛び付きそうな怪異を数多(あまた)見てきた最初は腰を抜かし何度下半身を濡らした事か、映画やドラマで見る様な絶叫など真の怪異の前では出ない、ただアワアワと声にならない声が口から漏れ下半身から力は失せ自ずと尿道を閉める力も緩むのだ、仕事を終えた先生から肩を叩かれ我に返るそんな事が続いたものだった。


 3年と言う月日が長いのか短いのか知る由もないが最近では何となく理解できてきた先生は世で知られている除霊とは一線を画し清め鎮める事に特化していた霊を祓い除くと言うものではない、語弊のある言い方をすれば"︎︎︎︎更生"︎︎と"︎︎︎︎和解"︎︎だ、一度先生に聞いた事があるが怪異にも言い分はあるし怪異に至る原因があるのだと、だから先生はそれに耳を傾け思案し落し所を協議する、即ちそれが清め鎮めると言う事なのだ、ただ人間と同じく低俗で野蛮な奴もいる言葉など一切通じず本能のまま獣の如く行動するそれが今、先生と対峙してる怪異であった。

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