8.模擬戦
食事を終えて食器などの片付けを手伝っているとさっきのお風呂のお姉さんがペンギンの寝巻き?見たいのを着てリビングに来ていた。俺は咄嗟に
「さっきはお風呂で本当にすみませんでした!」
「あーいーのいーの、飲みすぎてあんまり覚えてないし」
謝った。
顔やルックスを見ると、本当に双子なんだなぁと実感する。服装は、ペンギンの着ぐるみなのはいちか姉さんとは真逆以上な気がするが。
「おかえり大山君、それじゃあ練習しましょ」
「INしとくから、片付けたらすぐ来なさいよ」
そう言って彼女は、どこかへ行った。
練習なんか聞いてないんですけどまぁいい。
そして俺は、自分の部屋(仮)に、荷物を置き、部屋にポツリとある椅子に座りテグニスを装着する。おっとっと、その前にフレンド登録しなくては、携帯に連動したアプリからフレンド登録をする。やはり彼女アバターは、男アバターだった。これも趣味が関係しているのだろうか、と考えながらテグニスの電源を入れ、リアル世界とおさらばする。
「キャロットさんから招待されました。」
「キャロットさんから招待されました。」
「キャロットさんから招待されました。」
怒涛の招待メッセージにビビりながらも承諾する。体は青い光に包まれ、転送された先はナ〇ック星だった。
「すげーこれ、コラボの時のだろ?俺ガチャじゃ出なくてさ...」
「遅いわよ!まぁいいわ」
「この壁紙のために課金したんだから!」
「そういえば、あなたのアバター女の子よね。あなたもミクシーズなのね。どうして?」
彼女に理由を説明した。
「なるほどねー、まぁ私もそんな感じよミクシーズになったきっかけは、やっぱり限定スキンは手放せないものよね笑」
「まぁ話はこの辺にして、今日はダブルVSダブルの練習をしたいと思いまーす」
「準備は、いい?」
「あっ、うんいいけど、相手は?」
「相手は、うちのお姉ちゃん達よ、半年くらい前まではバリバリランカーだったんだから」
「結構強いわよ」
「望むところです」
彼女の操作で、対戦前準備時間部屋に飛ばされる。
「残り時間は、5分です。」
いつものように機械がそう告げる。
「そういえば、さやか体力ほとんど降ってないよな、体力はちゃんと振れよー基礎値」
「えーやだ」
「だって一撃が重い方が楽しいじゃない」
「まあ...練習だしいいか」
「練習でも本気で行くわよ」
「でもただの練習じゃつまらないし賭けをしましょうか」
「賭けかー戦犯した方がなんでも言うことを聞くってのはどう?」
「スコアポイント差ってこと?」
「そういうこと」
「いいわ望むとこよ!」
CTCには、ダブル以上になると、スコアポイントがつく。ダメージ数や会心ダメージやスキル、相手の旗を奪うなどetc...。ランク戦では勝利後に貰える割合が変わったりするため結構重要である。
「じゃあ私準備済んだから」
「早くないすか?まだスキルすら選んでないんですけど」
「そんなのぴぴぴのぴよ」
スキルの相談とかも特になかったのでとりあえず前回と同じ形でやっていく。あの俊敏さを持つ彼女の事だきっと素晴らしい旗持ちをしてくれるだろう。
「早くしてよ!!試合とっても楽しみなんだから!!」
そんなんで勝てるのか不安な気持ちもあったがこれは模擬戦。俺は元々ソロプレイヤーだし、さやかが足引っ張らなければ勝てるだろう。
「いーぞー準備完了押して」
そう、彼女に告げるとすぐに機械ボイスが空間にひびき出す。
「メンバー全員の準備が完了しました。30秒後に試合を開始します。」
よし…首の皮一枚で繋がったプロの道第1歩としてサクッと勝利を収めるか。
30秒間俺たちは喋ることなく試合フィールドへと転送された。