94.海の罪人
【タイトル】海の罪人
【作者】ひびき遊
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16818093089635821271
これが、2024年のなろう外作品評論の最後の投稿になる。今年も一年、ありがとうございました。
今年投稿した作品評論の本数は、今作含めて28作。昨年よりも増えている。短編作品多めというのもあるかなと自分でも思っている。来年どうなるかは予想がつかないけれど、より多くの作品、そして長めの作品を読めればと思います。
とはいえ。今作は短編作品だ。来年から本気出すということで。
1000字に満たない短い作品。どうやら海をテーマにしてこの文字数の短編を集めた作品集があるらしく、その中の一遍らしい。作者はプロの作家さんで、その技量が良く出ていると思える、素直にすごいって感じる作品だった。
日本人なら誰もが知っているヒロインについて書いた話だと、カクヨムのキャッチフレーズ的なので語られてきた。
それを聞けば、たぶん童話のお姫様的なのだろうなと思うものだ。海が関係するなら、あの姫かなって思いながら読んで、途中までは予想通りなのだろうなと考えていた。作中に散りばめられたワードでそう思わされるんだな。
その予想が違うと明かされる瞬間が気持ちよかった。ミスリード込みで、この分量に話を収めているっていうのが見事だ。
題材自体は、誰もが知っているあのお姫様だ。彼女のことをこうやって表現するんだ。そのお姫様が誰なのかを最後に明かす構成が本当にうまい。
別に、話の密度をギチギチに詰めているってわけではない。乙女の独白の自然な語り口で、話を展開している。
もちろん、読者がみんな姫様のことを知っているという信頼込みで出来る技なんだけど、それが上手いんだよね。
あの童話の結末まで話を持っていきつつ、その先に想像を膨らませる終わり方がいい。悲恋で、幸せな終わり方ではないかもしれないけれど、語り口は美しいし、オチもそういう視点もあるんだなって思えるもので、短時間でものすごく楽しめる満足度の高い短編だった。
美しかった。
来年もこんな感じで、小説を読んでいきたい。どうかお付き合い、よろしくお願いします。




