61.魔眼推理の見つめる先に。 ~夢の館の二重密室《ダブルロック》
【タイトル】魔眼推理の見つめる先に。 ~夢の館の二重密室
【作者】よるか
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817330653994835586
RT小説読む企画で応募があった、カクヨムの作品。十万字程度で完結しているもの。小説はこの程度が一番読みやすい。数十万字とか百万字に届くような超大作も好きだし僕もそういうのを書いているけれど、読みやすさで言うなら十万字くらいでまとまった作品がいいな。長いと読み応えあって楽しいけど、同時に疲れる。
というわけで、読んだ。魔眼という特殊な能力を持つ盲目の少女と、その相棒である少年のバディが殺人事件に挑む。
ジャンルはミステリーだ。ファンタジーな能力と背景設定はありつつ、推理パートは重厚な印象で楽しめた。
ヒロインの実家が、魔眼の秘密を代々受け継ぎ行使する強大な闇の一族みたいな設定。彼女はその一族と縁を絶ったという微妙な立場であり、主人公である少年は一年より前の記憶を無くしている。割と複雑な設定を導入部として端的に説明し、本編の殺人事件につなげていく構成がうまい。
起こる殺人事件も、魔眼の一族に関わるもの。闇の深い一族と力に翻弄される人々を書きつつ、自分のなすべきことをやると決心する少年の成長の真っ直ぐさを主題に置いている構成が好き。
事件パートもかなりよかった。速やかにクローズドサークルを作って、容疑者たちを山奥の洋館に集めて事件を起こす。魔眼だけではどうしようもできない密室殺人をいかに遂行するのか。ファンタジー作品だけど、ちゃんと推理小説もできているのがいい。
登場人物の名前が個性的なのも、ありだと思う。一歩間違えればギャグになりかねないけど、本編の雰囲気が重厚だから問題なかった。
ビジュアルを説明するのが難しい小説だから、登場人物を印象づけるのにはうまい方法。それぞれの個性を表していて面白い。
背景の設定が複雑で、もっと壮大で長い話を書くことだってできるかもしれないけど、主題をミステリーに絞って書くことで独特の雰囲気を出せている。
魔眼の一族の闇は晴れずとも、作品内で提示された謎は全て解かれていてとても綺麗なお話だった。




