23.ディア・ニュー・ミー
【タイトル】ディア・ニュー・ミー
【作者】シン・ナス
【掲載サイト】ノベルアップ+
【URL】https://novelup.plus/story/804132607
ノベルアッププラスに連載中の異世界小説。Twitterの小説読むタグに応募があって来たもの。こういう機会がなければ読まない作品であるな。だが、そういう所から学びは得られるというわけだ。
今作もそう。僕の作品にはない魅力があった。情緒的というか、余韻の素晴らしさというか。美しい話だった。
ファンタジーと言っても魔法やおっかないモンスター要素は皆無で、異世界と言いつつも我々の世界の19世紀くらいを舞台としている。
唯一現実世界と異なる点が、物語の主題である「転生病」という奇妙な病だ。
徐々に記憶を無くしていき、体に新たな人格が宿るというその病にかかった若い政治家の物語。新たに宿る人格に宛てた手紙とも言えるかもしれない。
物語の背景として国同士の戦争などという血なまぐさい話題もありつつ、それを回避した女性が主人公ということもあって、全体的には穏やかな印象の作品。
失われる記憶の中でも何かを残そうと、多くの人に会い交流を深めていく。淡々とした文体で、人との関わりと変化が書かれていく。人間ドラマというジャンル付けが正しいだろうか。
優しく、美しい話だった。基本的に登場人物は善人で、人間くささゆえにすれ違ったりすることもありつつ、主人公によって少しずつ一歩踏み出していく。それを見つめる主人公はいずれいなくなるけれど、残るものは確かにある。
生きていた証というべきか。決まっている死との対比が好きだ。
一方で外伝として挿入されている、別作者の短編はなかなかエグい話で、全体の中で浮いているというか、主要人物にこんなこをさせて良いのかって心配になってしまったけれど。美しい話の裏側という意味では、意味のある話だったのかな。
全体的には、優しい世界の良い話でおすすめだった。雰囲気の出し方とかがうまくて、参考になる。




