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猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
フリーの下僕日記
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シロスケ、ネズミを拐かす



 遊び盛りのクロぶっちゃんはウチに来ると、Q太郎のお下がりというか遺品の玩具で遊ぶのを日課としている。

 特にゴムヒモの先に本物の鳥の羽が付いた釣竿状の猫じゃらしがお気に入りだ。

 これはQ太郎も元気な頃、お気に入りだった一品だ。あまりに気に入って良く遊んだのですぐにボロボロになるので同じものが三本もある。どうやら先端に付いた鳥の羽が猫の狩猟本能を刺激するのではないかと思う。この猫じゃらしを開発した人物は天才である。


 先日の夕方も、その猫じゃらしでクロぶっちゃんと遊びに興じていると、シロスケが居間の引戸の陰からこちらを見ていた。

 視線を追うと、どうやら猫じゃらしが気になるらしい。

 クロぶっちゃんのようなワンパクな子猫ならともかく、こんな老猫がまさか猫じゃらしにじゃれつくとは思わなかったが、試しにシロスケの前に猫じゃらしの先端を垂らすと夢中になってじゃれついた。

 ……だけならまだ良かったのだが、何と、猫じゃらしの先端を咥えて外へ行こうとする。

「だー! まてまてまてまて!」

 何とか猫じゃらし(の先端)は救出したが、この行動から察するにシロスケは遊んでいた訳ではなく、本物の獲物だと思ったのだろう。

 

 気を取り直し、今度はリモコンで動くネズミのオモチャでクロぶっちゃんと遊んでいると、またもや居間の引戸の陰から視線を感じた。

 と、思った瞬間、リモコンネズミはシロスケに咥えられ、連れ拐われた。

 電光石火の早業である。

 いつものボーっとしているシロスケからは想像も付かない程の。

 しかし、シロスケの後を追うと、勝手口から出て私の車の下にネズミを置いたままガッカリしたような顔で何処かへ行った。

 車を動かさずとも手を伸ばせば届く位置に置いてあったので、難無く救出出来たが、見てみると犬歯で噛み砕こうとした跡がある。

 

 本物の鳥の羽が付いている猫じゃらしなら、鳥の匂いがするだろうから間違えても仕方無いが、完全無機物のリモコンネズミは生き物の匂いなどしない筈なのだが……


 しかも、犬歯しかない(※前話参照)シロスケが鳥だのネズミだのを捕まえたとしても、それを食えるのだろうか? 


 相変わらずよく解らないシロスケである。

 



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