第四の下僕登場・シロスケの驚愕の事実
Q太郎が亡くなる前の話です。
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すっかり書く機会を逃してしまったが、今年の春からたまに新しい下僕が遊びに来るようになった。
私の息子“タック”である。
事情が在って離れ離れ暮らしていたのだが、たまたまこっちで仕事していたので「遊びに来い」と云ったら来てくれるようになった。
私の猫好き(と云うか猫バカ)の血を受け継ぎ、彼もまた猫好きだ。
もちろん、生前のQ太郎にも会っているし、クロぶっちゃんにもムチャクチャ気に入られてしまった。
しかし、そんな生粋の猫好きと云うか下僕エリートと云うか、第四下僕・タックのお気に入りはQ太郎でもクロぶっちゃんでもなく“シロスケ”らしい。
彼曰く「シロスケは金目銀目が珍しいし威厳が在ってカッコイイ」そうだ。
……うーん。
威厳と云うか、ふてぶてしいだけだと思うのだが、物は言い様である。
さて、そんな訳で(どんな訳だ?)ゴールデンウィークのある日、BBQなどをやることになった。
肉を焼く訳である。
猫達は大騒ぎ……と思いきや、魚(特にマグロ)には目がないくせに、肉にはあまり積極的で無いQ太郎は側に寝そべってるだけだしクロぶっちゃんはテンションが上がりすぎて自分の家と我が家を行ったり来たりしていた。
唯一、シロスケだけが熱い視線を(肉に)注いでいる。そして、風体に似合わぬカワイイ声でねだるので、タックはあまり具材としては人気のないウィンナーを与えていた。
が、シロスケがウィンナーと間違えてタックの指に噛みついた。
食おうと思って噛みついた訳だから最悪、かなりの深手を負うとタックもヒャッとしたらしい。
だが
「シロスケ、歯が無い!」
「えっ?」
「本当だよ、歯茎に挟まれただけだった」
前々からシロスケの物の食べ方がオカシイので一本か二本は歯が無いのだろうな。とは思っていたが、前歯が全部無いと云う。
犬歯は在るが、前歯が無い。
それでもタックから貰ったウィンナーを旨そうに平らげていた。
次から次へとウィンナーをくれるタックを、シロスケも気に入ったようだ。
そして、時々ウィンナーと間違えて指を噛む……というか歯茎ではさむ。
気が付いた時にはお徳用大袋のウィンナーがすべて無くなっていた。
Q太郎やクロぶっちゃんも少しは食べたようだが、人間でさえ一人で食うのは無理っぽいお徳用大袋のウィンナーを殆ど一匹で食らうとは……
しかも歯が無いのに。
固くは無いが、歯が無いとなかなか食べるのが困難だろうに。
なんとも気の毒な歯無し……いや、話である。




