禁断の猫様
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ナナ嬢が姿を見せなくなった。
そのせいかQ太郎は引きこもっていたりと元気が無い日々が続き、元気が無い割りにはよく食べて体型がすっかり“某青色猫型ロボット”にそっくりになってしまった。
そんなQ太郎だが、最近新しい友達が出来て、やっと引きこもり生活から抜け出した。
友達と云っても、生後5ヶ月ぐらいの子猫だ。白黒の毛並みのとてもやんちゃで可愛い猫である。
ナナ嬢の子供なのか孫なのかハッキリしないのだが、ナナ嬢の家の猫であることは確かだ。
名前が解らないので“クロぶっちゃん”と呼んでいる。
たまに我が家に遊びに来て、Q太郎とかくれんぼなどをして遊んでいる。
しかし、クロぶっちゃんがQ太郎に遊んで貰ってると云うよりは、Q太郎がクロぶっちゃんに遊んで貰ってる感が否めない。
何日もクロぶっちゃんに会えない日はイライラしている様子だし、元々は猫の大家族で育ったQ太郎なので、余程クロぶっちゃんが大切な友達なのだろう。
そんなある日、クロぶっちゃんが久し振りにうちに遊びに来たのでカリカリなどを振る舞い、可愛らしく食べる様子を堪能していると……
Q太郎がチョッカイを出す。
クロぶっちゃんが怒る。
人間の年齢で云えば30歳になろうとしているQ太郎だが、いかんせん中身は子供だ。
見た目は大人、頭脳は子供だ。
だが、クロぶっちゃんの怒る様子も可愛らしいので、放っておいたらQ太郎はとんでもない行動に出た。
やおらクロぶっちゃんの首を噛み……
まあつまり“交尾の体勢”になった訳である。
たまに子猫同士が遊びでやることはあると聞くが、遊びでやってるとしてもかなりシツコイ。しかもQ太郎は本気モードだ。
早熟な雌猫は生後4ヶ月で発情期が来る事もあるらしいが、クロぶっちゃんが発情しているようには見えない。ワンパクで発情の“は”の字もない。
ロリコンなのか?
Q太郎はロリコンなのか?
前まで超歳上のナナ嬢に熱を上げていたと思ったのに、その反動でロリコンになってしまったのだろうか?
「Q太郎!クロぶっちゃんが嫌がってるだろう?しつこくするともう遊んで貰えないぞ!」
私がたまり兼ねてクロぶっちゃんを抱き上げると、手に何やらフニフニした丸いものが当たる。
これは……
「ええっ!?クロぶっちゃん、男の子なのか!」
そう、そこには黒くて丸いものが二つ並んでいる。
いわゆる“タマタマ”である。
当然、オスにしかタマタマは無い。
百歩譲って“ロリコン”だけならまだしも、ホ○?
いやいやいや、やはり遊んでいただけなのだ。Q太郎はバカだから加減が解らなかっただけだ。
……と、思いつつもショックを隠せない私であった。




