トムとジェリー?
◇
ずっと更新していない間にQ太郎は三才の誕生日を迎え、益々オヤジ臭さに磨きがかかっている。
クロぶっちゃんは、ほぼ毎日Q太郎のお下がりの“ねこじゃらし”で遊ぶ目的で我が家へ入り浸っている。
そしてシロスケはと云うと……
車にはねられたのか、猫同士の喧嘩で重症を負ったのか、はたまた病気か、数日姿を見せなかったのだ。
「ふん、奴は、故ぷー太郎の仇だから何処で垂れ死のうが関係ない」
などと思ってみても、いつもウチの車庫の角で金目銀目を光らせている無愛想な白ダヌキがいないと何だか物足りない。
隙在らば家に忍び込み、Q太郎の食べ残しのマグロを漁ったり、ゴミ箱を漁ったりしているのを私が「こらあー!」と、奇声を上げて追い出す手間も無くなって楽なのだが、楽過ぎて手持ち無沙汰なのも否めない。
保健所に捕獲されたのかとも思ったが、以前、Q太郎が居なくなって問い合わせた時“猫の捕獲はやっていない”と云っていたし、現在シロスケに負けず劣らず小汚ないQ太郎は無事なので、その線は考えにくい。
しかもあの風体だから、何処かの猫好きのお嬢さんが
「君、野良ちゃんなの?ウチにおいで♪」
などと連れ去ったなんて事はまず無いと断言出来る。
……やっぱり……歳も歳だから……
いくら愛猫の仇とは云え、猫が死ぬのを考えるのは猫の下僕として堪えられない。
「もう少し、何か食わせてやれば良かったかな……」
何だか今までシロスケを邪険に扱って来た自分が、酷い悪者のように思えてきて、天国にいるぷー太郎にさえ責められているような気がして悶々としていた。
しかし、シロスケは数日後、ひょっこり現れた。
いつもの定位置に何事もなかったように香箱を組んでいたシロスケだが、顔や体は物凄い状態になっていた。
カサブタだかアザだかで所々真っ黒になり、体のあちこちの毛がはげていた。
動き方も変で、“動かない”というよりは“動けない”と云った感じだ。
そして、食欲も無い。
カリカリを出してやっても、マグロの切れはしを出してやっても、口にしない。
顔に怪我が集中しているので、喧嘩の怪我のようだが、こんな満身創痍になる程の喧嘩とは……?
と、背筋が寒くなった。
以前、Q太郎も顔の形が変わる程の凄い喧嘩を経験したが、元気だったし、食欲も変わらず旺盛だったのだが……
傷にバイ菌でも入って、病気になったのかもしれない。
どっちにしてもこの様子だと長い事は無いだろう。
静かに最期を迎えさせてやろう。
そう思ったのだが。
それからさらに数日後、Q太郎とクロぶっちゃんが仲良く食事をしていると、のっそりとシロスケが現れた。
「ん?シロスケ、ゴハン食えるようになったのか?」
と、マグロの柔らかい所を与えてみたら食べた。
牛乳も飲んだ。
カリカリも食った。
そして、先ほどウチのゴミ箱を漁っていた。
「こらあー!」
私は再び奇声を上げてシロスケを追う生活を取り戻した。




