最後のけじめ
国境を超えるさいに少々緊張したが、別に指名手配はされていなかったようだ。国境は大概森や川や崖に面した場所に多い。
そう言うへき地から市街地に向かうと、ちらほらと母国の噂が入ってくる。
王太子の交代問題で国はおおもめにもめているらしい。国民のほとんどが、現王太子を元王太子になってほしいと思っているらしいが現国王が粘っているらしい。
しかしそれも時間の問題らしいとか。
マルガリータが初めてはいる酒場という場所はそうした情報のるつぼだった。
マルガリータを女と見抜く目のいい男はなかなかおらず、マルガリータはなんとなく周囲に溶け込んでいた。
そして戻ってきた元王太子妃の行方も難なく知ることができた。というより、国中この話題でいっぱいで、聞かずに済ませるほうが難しい状況だった。
戻ってきた早々に、王妃の親族と結婚することになったらしい。
状況で言えば格落ちだが、彼女は公然と言い放ったらしい。
「あの王太子の妃でいるよりは伯爵夫人の方が百倍幸せですと」
マルガリータの母国にその言い分を非難する資格はまずない。
「とにかく、行く場所は分かった」
マルガリータはまず、彼女の嫁いだ伯爵領に向かうつもりだった。
「逃げたけじめはつけなければね」
父と兄弟を置いて逃げたマルガリータは。最後に、家族が迷惑をかけ倒した彼女に謝罪に行く。
たとえ自己満足でも、最後に一つだけできることをやっておこう。
そう決意したマルガリータは、それを最後に、家族のことを完全に忘れるつもりだった。
手に入れた地図と、街道の標識を確認する。
「さて、行くか」
マルガリータは馬を進めた。
そして最後は暁の星とともに閑話ある騎士の旅立ちに続きます。
書いているうちにふと気がついたことは、マルガリータとマルグリット姉妹。うちの愚弟どもだ。
似ているのに、片方は美形。片方はちょっと不細工をこじらせている。という設定はまんまうちの愚弟どもです。美形なほうがお馬鹿で、不細工気味が賢くて体格がいいのも。キャラの性格は違いますが。あそこまで空気読めないバカじゃないですよ愚弟その一は、そしてマルガリータさんよりはるかに不真面目で薄情ですよ愚弟その二は。
そんなことありえるのかと思われるかもしれませんが、鼻と唇の形は一緒なんです。目が二重瞼の杏型と、一重の糸目、細面と下膨れ、これで印象はかなり変わります。アイメイク用品が多いわけですね。