Vol.1「少し変な幼馴染」
【もくじ】
「プロローグ」
Ep.1「幼馴染は心配性!!」
Ep.2「幼馴染はお誘いを受ける」
【プロローグ】
「ふわぁ……眠いぃ……。」
僕は眠くて重い身体をなんとか起こし、制服に着替えて朝食を済まし、靴を履いた僕は玄関の扉を開け、
カツン、カツンと学校に向かって歩き出す。
「ついに今日から始まるのか……僕の高校生活……!」
そう、今日は僕の高校の入学式。
僕の名は朝霞 璃空。今年の春から笠倉高校に通うことになった、普通の高校1年生だ。
だが、そんな僕には少し変な仲の良い幼馴染の女子がいる。
それは——。
通学路を歩いていた僕は、「とある女子」を見つける。
(同じ制服だ……。長髪で黒髪だし、綺麗な髪だ……あれ……?あの後ろ姿って、もしかして……)
そう思った僕は、その女子に声をかける。
「……やっぱり。おはよ、志乃。」
「……!あ……璃空か、おはよ。」
その女子の正体は、僕の小学生の時の幼馴染であり、同じく笠倉高校に通うことになった、羽桜 志乃だった。
「あ……ってなんだよ、期待外れみたいじゃん」
「……いやちょっとびっくりしちゃってさ、ごめんね?」
志乃は綺麗な肌をしている両手を合わせ、そう謝ってくる。
「全然大丈夫だ。」
僕はちゃんと謝ってくれる志乃を見て、朗らかに笑って許す。
そしてそんな志乃を見た僕は、こんな提案を志乃にする。
「……一緒に行くか?学校」
「……あっ、えーと……」
そう言って、志乃は黙り込む。
始まったか、と僕は察知する——。
——(……さてと、どういう返答が一番良いんだろう……。)
私は頭をフル回転させて思考する。
私の名前は羽桜志乃。実は今、小学生の時の幼馴染である璃空から、二人で登校しようと言われたのだ……!
(どうしよう……嬉しいけど……、)
(話続かなかったら流石に幼馴染の璃空だとしても退屈して嫌だろうし、だからと言って私が話すとしても、その話が璃空にとっては面白い話じゃないかもだし……。ああどうしようううう……!)
そう、私は——。
そう、僕の幼馴染の女子である羽桜志乃は——。
自分に自信が無くて、相手のことを考えすぎちゃう、重度の——、
——『『心配性!!』』
【Ep.1 幼馴染は心配性!!】
——志乃が黙り込んでもう2分は経っただろうか。
僕はその志乃の黙り込みを見て、学校に遅刻しそうな勢いと感じたため、こう声をかけることにした。
「……返答しにくい誘いだったならすまん。誰かと待ち合わせてたりしてたか?それとも1人で登校したかったか……?」
すると、
「あっ、いやそうじゃなくて……」
と、志乃は言う。
志乃の答えに僕は、「なら、どうして……?」と思い、ますます悩む。
考えた結果、僕は一つの答えに辿り着く。
「……幼馴染とはいえ、異性だもんな。しかも高校生にもなって、一緒に登校しよとか気持ち悪かっ——」
僕が言い終わる前に遮るように志乃がこう言う。
「ち、違う……!わ、私と登校したら璃空が退屈しちゃうかもしれないからさ……!」
志乃の答えを聞いた僕は大きなため息をつく。
「……なんか前より酷くなってないか……?」
「ま、前って?」
「いやさ、僕と志乃がよく遊んでた小学生の頃よりも、より心配性になってる気がするぞ?」
「うっ……そ、そうかなぁ……?って、あっ!もう学校行かないとやばいよ!?璃空!」
そう言って志乃は僕の手を引っ張って走り出す。
「あっ、ちょ、一緒に行くのはいいのー!?」
そんな僕の言葉には耳を貸さず、志乃はそのまま学校に向かって走っていくのだった——。
——「ふぅ……、なんとか間に合ったぁ……。」
「ふぅ……、危なかったな……。」
全力で走ったせいで息が上がっているが、僕と志乃は互いに目を合わせて笑顔でそう話す。
そう、なんとか僕たちは入学式の始まる時間までに学校へ着くことができた。
すると。
「早く体育館に向かえ〜、もう式始まるぞ〜!」
見知らぬ高校の先生がそう僕たちに言う。
「わわっ……!早く体育館向かおっか、璃空」
「そうだな……!」
僕らはそんな言葉を交わしながら、入学式のある体育館へ、歩みを進めていった——。
——あれから2時間ほど経っただろうか。
「〜〜〜では、これで入学式を終わります。」
学校の教頭先生がそう言って、「長い長い」入学式は幕を閉じた。
「……ほんと長すぎだろ先生の話……、特に校長の話は長すぎるって……。」
僕は消え入りそうな声でそう呟く。
どの先生も長かったが、校長先生においては、冗談抜きで30分は喋っていたと思う。
「……さて、教室向かうためにクラス決めの表紙みるか——。」
僕はクラス決めの紙を見るため、紙の貼ってある職員室へ向かった。
——璃空が職員室に向かう少し前のこと。
私は人目の付かないところから、璃空の様子を伺っていた。
「どうしよう……、一緒にクラス決め見てくれるのなんて璃空しかいないのに……。」
私は小さな声でそう呟く。
私は、人と話すこともあんまり好きではないが、それ以上に独りでいることはもっと嫌なのだ。
だから唯一、一緒に居てくれる璃空と職員室に行きたいのだが……。
『あ?誰がお前と喋るんだよ』
『あんたの顔なんて見たくないから早く「消えて」くんない?』
私は何故か、「忘れたはず」過去の記憶をふいに思い出す。
「やっぱり、言えない……。」
私は人気のないところで独りそう呟いた——。
そして時は戻り……。
——僕はクラス決めの紙が貼ってある職員室に着いた。
「僕は何処かなっと……、ん?」
クラス1-3
1番 朝霞璃空
〜
〜
〜
16番 羽桜志乃
「……?」
「「い、一緒じゃん!?」」
あまりの衝撃で、いつの間にか近くで見に来ていた志乃と息ぴったりハモる。
志乃とならとりあえず1年間は安心して高校生活を送れるな……!と思っていた僕だが——、
——そんなことはなかった。
【Ep.2 幼馴染はお誘いを受ける】
すやーすやーと僕が教室の自分の机で寝ていると……
「いてっ」
僕は寝ぼけ眼で前を見ると、そこには入学式の終わりに話がよく合って仲良くなった男子友達の姿が。
「もう昼休みの時間だぞー」
「あーもうそんな時間か」
色々あった入学式の日から1週間。
僕は少しずつと、雑談が出来る友達が出来てきた。
だが……
……未だに志乃が僕以外の誰かと話せてるところを僕は、見たことがないのだ。
でも今日はついに……!志乃が……!
「……って大丈夫かあれ……?」
僕の目線の先には、金髪で制服のスカートの丈も超短い、いかにも陽キャな派手な女子とあたふたしている志乃の姿が。
「志乃ちゃんって何のスイーツが好き〜?」
「あ、えーっと……そのー……」
(いや、志乃にそういう話題は……。)
そう。志乃は昔から流行などに疎いのだ。
なんなら、僕らが最新型のゲーム機で遊んでいる時にも志乃は一世代前のレトロゲームを遊んでいたくらいだ。
そんな志乃が流行りのスイーツの話題なんて話せるわけが……
「い、苺の、ショート……ケーキ……。」
まずい。流行りとかの問題じゃないぞ……、それは……。
そう思い、どうしようかと頭を悩ませていた僕だが……、
「苺ショートケーキ!?わかるぅ〜!一番シンプルで美味しいよね〜!」
そう、陽キャの女子が言う。
「た、助かった……。」
その言葉を聞いた僕は安堵して心の声が漏れる。
「じゃあさ今週の日曜日、一緒にスイーツのお店行かない?絶品の苺ショートケーキが売りのところなんだよね〜!」
「い、苺ショート……!あっ、えっと……」
大好きな苺ショートが食べられるとはいえ、急な誘いに志乃は戸惑いを隠せない様子だ。
そんな戸惑っている様子であった志乃だが、ふと僕の方に視線を向けてくる。
「大丈夫かな……?」みたいな表情を浮かべた志乃に、僕は手でグッドサインを作って見せた。
「じゃ、じゃあ行こうかな。」
「OK〜!じゃ、詳細はまたLINEで〜!」
「えっあ、LINE……繋いでないよ……?」
そんな志乃の小さな声も虚しく、その陽キャの女子は去ってしまった。
「……これ、やばくね?」
僕は志乃の性格を考えると、そう感じることしかできなかった——。
【Vol.2へ続く】




