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第29話 読唇術は緊急時に使う

王岳を止めたせいで、

皆の視線がまるでスポットライトのように私へ集まり直した。


あ、まぶしい!


もう本当に方法が思いつかない。時間も切迫している。


仕方なく、私は手に持っている普通の杖を真剣に観察した。

先端は拳よりも大きく、

粗い魔石がびっしりとはめ込まれている。

尾端は固い数珠のような形で、少し小さいが、

それでも半分ほどの拳サイズはある。


正直、どちらの端も、どんな人体にも入れたくない。

私は首を横に振り、曾宝の持っている杖へ視線を移した。


曾宝の杖は滑らかな棒状だが、

前後には拳より太い魔石の花飾りがついている。




花束のように集まった装飾で、どう見ても人の尻に対する難易度はさらに高そうだ。




それから隊長を見ると、表情がさらに険しくなっていることに気づいた。

口は粘液に塞がれて声が出せないが、何かを必死に言っているようだった。


「入れ!......るな……。」


魔物の能力で音が遮断される可能性を考えて、

私は少しだけ唇の動きを読む訓練をしていた。

上手くはないけれど、いくつかの言葉ならかろうじて分かる。


隊長の最後の語、はまさか「入れろ」だったの?


さっき私が見間違えたのかもしれない。「るな」と読んだはずなのに。


まさか……。

武僧らしい「勇敢で決断的な」性格を、ここで発揮しているの?


確かに、さっき一瞬だけ、隊長を助けるのを諦めようかと考えた。

それをあっさり見抜かれて、

私たちに直接命令を出した……ということ?


騎士がいつの間にか私たちの横に現れていた。


私の動きを見届けたあと、

重い表情のまま黙り込んでいる。どうやら彼も、

どう対処すべきか分からないらしい。


「隊長は『入れろ!』って言ってるみたい。

私……本当にごめんなさい。

助けるのを諦めようとしたなんて……!」


そう言って深く息を吸う。

毒が外側から広がり、

徐々に紫色へと変わっていく隊長の体。

彼は苦悶の表情を浮かべながら、

ゆっくりと手を持ち上げた。


その顔から、さらに強い「助けを求める意思」を読み取れた気がした。


私は杖を強く握り、真剣な顔で位置を定める。

角度を調整し、杖の尾端を隊長の尻へと向ける。


王岳は即座に警戒態勢へ移り、周囲の異変に目を光らせる。

騎士は青ざめた顔で固まり、曾宝は瞬きもせず私の動きを見つめていた。




「ぷすっ!」




私は恐怖に目を閉じ、すぐさま解毒術を発動する。

そして横目で隊長の顔を確認した。


隊長は驚愕に満ちた表情で、まるで死んだかのように硬直している。

皮膚は完全に紫色へと変色していた。


私ははっとする。

さっき躊躇したせいで、毒の侵食がかなり進んでいる。

きっと今、相当苦しいはずだ。


ここで迷ってはいけない。

魔石をもっと深く、接触面を増やせば、術の効果も高まるはず!




「ぷすっ! ぷすっ!」




騎士はその決断の勢いに圧倒されたのか、腰を抜かして座り込んだ。

曾宝は目を見開いたまま、私の処置を食い入るように見つめている。

まるで新たな魔法戦術を目撃したかのように。


私は勢いのまま解毒術と神聖安気術を重ねて発動した。


まばゆい光に包まれ、

隊長の体を覆っていた紫の毒がゆっくりと薄れていく。


やがて肌色は小麦色へと戻っていった。

慎重に杖を引き抜くと、隊長も紫の粘液の塊から這い出てくる。


だがすぐに自分の体を抱きしめ、震えながら横に倒れ込み、

すべてを悟ったような虚無の表情を浮かべていた。


「隊長!」


王岳が駆け寄り、心配そうに支える。

一方で曾宝の目は異様なほど輝いていた。

さっきの衝撃に怯えるどころか、何かを得たような顔だ。


ちらりと見ると、携帯しているノートに何かを書き留めている。

私はようやく息を吐いた。


騎士はすでに運搬用の魔獣を呼んだと言い、早く町へ戻ろうと告げる。

私たちは最終的に無事に任務を達成した。

あの冒険は本当に、危機一髪だった。


そして、あれ以来。

私たちの連携は明らかに良くなった。


そして私は、

曾広という武僧がどれほど特別な存在かを実感するようになった。

彼は任務中の探索で常に慎重さを失わない。


それどころか他職の補助技能まで学ぼうとする。

基礎回復術を習得するために時間を割き、

以前は自ら私に解毒術の詠唱手順を尋ねに来たこともある。


正直、心から感心した。

抗毒や抗呪の補助魔道具も惜しまず購入し、

その重量を自分が引き受けて持ち歩く。


それこそ、本当に信頼できる隊長だ。


仲間の役割を自ら分担し、知識を増やして隊の柔軟性を高めようとする。


私はそのぼんやりした回想から意識を戻す。


手にした杖を見下ろし、そして目の前で倒れている多義を見る。

この黎明女神の杖は、両端とも拳ほどの太さの魔石がついている。


……この計画、

やっぱり少し無理があるかもしれない。

皆さんの周りにも、勇敢でリーダー気質な人はいますか?

何か思わず笑ってしまうエピソードがあれば、ぜひ教えてください。(笑)

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