第09話 異世界の街と冒険者登録②
「こちらです。中に入りお待ちください。」
そう言うと受付の人は部屋から出て行った。
能力測定として連れてこられた部屋、あまり大きくない部屋の中にはギリギリ3人入るか?というサイズの建物が1つ、いわゆる懺悔室と呼ばれる物だ。
言われた通り懺悔室の中に入り待つ。なんか変に緊張するな…
しばらくすると対面の部屋に誰かが入ってくる音が聞こえガンッ!ゴトッ!!明らかに転けた音が聞こえてきたけど大丈夫か!?
すると対面の部屋から声が聞こえてくる。
「いや〜お待たせしてすみませんね。今回測定を行う測定士のヨモギです。」
「…あぁ、アウルです。よろしくお願いします」
受付の人と違いえらく気の抜けた声が聞こえてきたたため少し呆けてしまった。
「測定は5分程度で終わります、能力を紙に書いて渡しますのでそれを持ってさっきの受付に行ってください。」
「わかりました」
特に俺がなにかすることはないのか?
そんな事を考えつつ2分ほど経った頃、ヨモギさんから声をかけられた。
「えーとアウルさん、であってるよね?君別世界の人だったりする?」
「えっ?」
「いや〜測定してて今まで見てきた魂の質とど〜も噛み合わなくてね、唯一噛み合ったのが異世界から転移してきた子なのよ。」
「ま〜だからなんだって話なんだけどね。ほれ測定終わったぞ、これがお前さんの能力だ。あとオマケで魔法適性と今の種族も書いといたぞ」
いつの間にか測定は終わり足元から確実に手で破いたであろう紙が出てくる。
手に取ってみるとその能力が書かれていた。
―――――――――――――――
種族:ヒューマノイド |
魔法適性:低級 |
属性:水 |
固有能力:耐性【完全防腐】 /
創出【素敵な糸】 /
能力:熱耐性IV /
冷耐性Ⅲ /
打撃抵抗Ⅱ―――/
撥水Ⅰ /
――――――/
俺はこの紙を見て固まっていた。
使ってたからわかってたけど本当に能力がある…それもなんか色々、種族もヒューマノイドってやっぱりもう人間じゃないんだな……それよりもこの世界魔法あるの!?低級だけど俺も使えるのかな?
「それがお前さんの能力と種族だ。にしても残念だったな、魔法適性はせいぜいコップ1杯の水を出すのがせいぜいだろう」
「能力の名前は魂に刻まれてる物だから変更はできない、覚えとけよ?」
「ほれ行った行った、次が来たらつっかえちまうだろ」
「ハッ!!確かにそうですね、ありがとうございました」
俺はそう言って懺悔室を出た。
アウルに聞こえない程度の声でヨモギはあることを呟いていた。
「にしてもあいつの称号と魔法の詳細は見れなかったな、一応アイツに連絡しとくか」
その呟きはアウルの耳には届かず一人きりの懺悔室に響いた。
―――――――――
俺は受付で貰った紙から能力や魔法、さっきは書けなかった種族名に名前を書き記した。
「書類を確認しました。こちらが冒険者ライセンスとなります。紛失の場合は受付にて再発行の手続きを踏む必要がございます。紛失しないようお願いします。」
「ライセンスをお渡しする前に300爪のお支払いをお願いします。」
【ライセンス】自身の所属や階級を表す免許証みたいな、というかモロ免許証、サイズも免許証と同じくらい
【爪】この世界の単価、だいたい1爪12円から15円くらい、お金はあの荷車で拾ったやつだ。
「300爪…これでお願いします」
「はい、300爪ちょうどです。ではこちらライセンスになります。森林協会は貴方様の参加を歓迎します。」
―――――――――
思っていたよりスムーズに冒険者登録が終わり、置いてあったソファーに座ってレオンさん達を待つ。
待ってる間この世界の新聞的なやつを眺めて待っている。これが意外と面白い。
《コーレンベルグヴェルクにて新しいダンジョン発見!!》《イドロニス王国のマフィア集団『ガチャガチャ派』一斉検挙》《『大鹿』活発化、大桜国への進入規制》などパッと見よく分からないが世界について知るには結構便利である。
「待たせたなアウル」
そんな風に時間を潰してるとレオンさんが戻ってきたのか声をかけきた。
「登録できたようだな良かった。協会長が俺たちを呼んでてな、着いてきてくれ」
「俺はレオンさんのパーティじゃ無いんですけどいいんですか?」
「協会長、アウル呼んでる、話があるって」
協会長が話?なんで?転生者だからか?
「とりあえず行くぞ、協会長を待たせたくないしな」
そうやって少々強引にレオンさんに引っ張られ俺は協会長の部屋に行くこととなり、レオンさんが扉を開ける。
「ブラベさん、話してた人連れてきましたよ」
「ありがとうレオンくん」
扉を抜けた先、レオンさんがブラベさんと呼んでいる人が目に入った。
180はある身長に細身だががっしりした身体、アップバングヘアにメガネをかけた40代くらいの人だ。
「自己紹介がまだだね。僕は森林協会イドロニス王国支部南部下巣協会長ブラベだ、よろしくね」
「本日新たに森林協会に所属したアウルです。」
「僕が君を呼んだのは今回レオンくん達を助けたことだ。」
「レオンくんが今回受けていた護衛任務、その護衛対象は僕の妻と子だったのだよ。だから君には本当に感謝している、ありがとう」
なんと、マキさんとモカちゃんはブラベさんの妻と子供だったのか。
「いえいえ、森を彷徨っていた時にたまたま見つけただけなので」
「それでも恩人である事は変わらないよ」
その後、軽い話し合いと少しの雑談をした後、レオンさん達は次の依頼があるためここで分けれるとの事だ。
「アウル、俺はまだ恩を返したと思ってない。依頼が終わったらまた恩返しの機会をくれよ」
「ん、何かあれば呼んで、直ぐに行く、レオンが」
「レオンさん…ヤンさん……ありがとうございました」
2人が退出したあと、俺は自分が転生?憑依?してこの世界に来た事をブラベさんに話した。
「異世界から転生…転移者は何度かお会いしたことはありますが君のような形は初めてだ、直ぐには力になれそうにないよ、すまないね。」
「謝らなくて結構ですよ、俺だってなんでここに来たのかもさっぱりわからないので」
「そうか、ところで君は今晩どうするつもりだい?行き場がないのなら協会の部屋を1つ貸すのだが」
「いいのですか?でしたらお言葉に甘えます」
アウル は 今日の寝床を確保したぞ。
その後、借りた部屋で荷物を整理してるとモカちゃんが突撃してきて一緒に夕飯を食べる事となったりした。
夜も更けて来た頃、扉がノックされブラベさんがやってきた。
「こんな夜にすまないね、少しいいかい?」
「ブラベさん、大丈夫ですよ。何か用ですか?」
「いや今回はこうやって部屋を貸せたけど協会的にはあまり宜しくなくてね、長くても後2日くらいが限界なんだ。」
「だから君用に新しい部屋を借りれそうな物件を何個かピックアップしたから見てほしいんだ」
「物件をピックアップって、そこまでしてもらう訳には」
「いや今回のは協会長としてだけどこれは僕個人としての恩返しだよ。僕にとって彼女達は生きて行く理由なんだ、それを守ってくれたんだ、これくらいはさせて欲しい」
そう言い切ったブラベさんはどこまでも真っ直ぐな目をしていた。不純な考えの一切ない澄んだ瞳。
「ブラベさん…それはちょっと卑怯だと思いますよ?わかりました。その恩返しを受けさせてもらいます」
「そうかい?これがその資料、急かすようになっちゃうけど2日以内に頼むよ?それじゃおやすみ」
「はい、おやすみなさい」
全くブラベさんは卑怯だ、あんな風に言われたら断れるわけないじゃないか。
それにしてもどれもこれも立地が良いし部屋も広い、おかしいなブラベさんと会ってから5時間も経ってないのにどうやってここまで調べあげたんだ…
ひらり…
その時、資料の束から1つ、小さな封筒が落ちる。
「これも物件?いや違うな、なんだこれ」
封筒を拾い上げて中身を見てみる。
中にはライセンスくらいのサイズのカードが入っている。そのカードには
「『フィクサーのアトリエ』利用可能招待状?」
そう書かれていた。
――――――――――――――――――――――――
ステータス
名前:アウル ■■ ■■■
種族:ヒューマノイド
属性:水
称号:【閲覧不可】
所属:森林協会所属冒険者[種 1級]
魔法:未習得
固有能力:耐性【完全防腐】
創出【素敵な糸】
能力:熱耐性IV
冷耐性Ⅲ
打撃抵抗Ⅱ
撥水Ⅰ
ここまで書いといてあれだけど出てきてるキャラ、主人公とアイン、認識できない男?を覗いて全員その場で作った即興キャラだったりする。




