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夏祭りはヤマト村で 10


 翌朝、熟睡したお陰で体力は回復したのでいよいよ祭りを堪能するぞとウキウキしながら下へ降りると既に皆起きていて朝食を食べていた



「おはようございます、俺が最後だったんすね。朝食ありがとうございます。」



「おはようみーさんや。朝食はせいらが作ってくれたんじゃ、早起きして気合い入れておったぞ」



なんと、ここへ来て初めてのせいらさん手料理



「別に気合い入れてねーよ。たまたま早起きしたからテキトーに作ってやっただけだ、リリィ様もおられるしな」



「とても美味しかったです、ありがとうございます」



「んじゃ俺も早速、いただきま〜す」



本当に美味しいな、普段の性格とのギャップが凄い



「コイツにも作って貰った事あるからな、お返しみたいなもんさ」



「そういや作りましたね。にしても美味しい、流石姐御っす」



「おかわりまだあるからせっかくだから食っとけ」



「では遠慮なく」



 出汁の効き具合とかがまたなんとも…普通に俺より料理上手いな。流石ヤマト村の姐御、レベルが違う



「そういえばせいらさんはいつから冒険者をやりだしたんですか?」



 リリィさんがそれとなく聞いてるが確かにそうだな俺はせいらさんのその辺の事を実は全く知らないんだよな



「私は…そうだな、もう5年位になるか。正直マトモに冒険者やってる訳じゃないから全然意識して無かったが…確かランクはBにしてあったと思うぜ。リリィ様は最初はどんな感じだったんだ?」



 5年か〜そこそこな期間を…って少し気になる言葉が。

 Bにしてある、まるでこちらから指定してるかのような言い方…この人ならやれそうな気がする



「私は最初は薬の材料欲しさに冒険者となってクエストをこなしてた感じですかね。あの頃は周りなんて全く見てなかったので……今にして思えば色々恥ずかしかったなぁって思ってます」



 チラッと聞いて入るけど、その頃のリリィさんがどんなのだったのか見てみたい



「理由がオマケみたいな感じなのが強者感あって良いな。私もそんな感じで語ろうかな」



 そういやせいらさんはなんで冒険者やるってなったんだろうか?いつかそれとなく聞いてみようかな。



 朝食を食べ終え今日は皆で祭りを回る予定なので待ち合わせ場所に向かう事に。

 と言っても祭りは昼過ぎくらいから出店が稼働するのでまだ特に祭りを楽しむ段階では無いが10時には広場に集合する手筈になっていた。

 広場に行く途中、ライブが昨日の今日という事もありとても喜ばしい反応を頂いたのだが……


 

「あ、女呼んで揉んで抱いてるみーさんだ!昨日は良かったよ」



「お?女呼んで揉んでるみーだ、昨日は良かったぜ!また頼むな」



 まさかそこを突かれるとは…考えてみりゃファンからすると当たり前になってたがそうでない初見さんからするとこの歌詞インパクトデカいからなぁ。

 まさか子供にまで言われるとは…これは選曲ミスったか。

 そうこうしているうちに広場に着いた



「おはようみーくん。昨日の疲れは取れたかい?」



「バッチリですぜリーダー」



「おはーぼぅん、恒例の神社参拝行くぴょ?」



 そう、俺はヤマト村に来てから毎週神社参拝をしていたので今回も久し振りにしようと思っていた所だ。流石まゆも、よく分かっておられる



「行くつもり満載だけど良いかな?」



了承を得たので早速使う事に



「みーさんは神社とか参拝されるのですね、よろしければ今度王都の教会に連れていきますよ」



「教会かぁ、やっぱり聖歌とか歌ったりするの?」



「そうですね、私はそこまでガッツリでは無いですが一応聖職者にあたるので」



 そういやそんな事言ってたな。それっぽいっちゃそれっぽいけど聖人っぽくは無い、とか言ったら怒られるか?



「みーくんって意外にもこういうの好きだよね〜」



「俺の居た世界ではパワースポットってのがあったのさ。そこに行くだけで力が貰えるとか運が良くなるとか、最初はそれで回ってたりしたんだけどいつしか神社とかが好きになったって感じだよ。成り立ちとかそういうのは詳しくはないんだけどね」



この世界にもパワースポットとかあるのかな?



「良い事だと思いますよ、聖なる力が満ちてる場所は確かにありますからね」



 どうやらあるっぽい。でもその言い方だとこの世界のそれっぽい人達はそれを観測出来るって事か?今度連れてってもらおう。

 到着したので日本方式のマナーで挑む俺とそれを真似するようになったまゆも



「何やらしきたり的なのがあるんだね、どうやるのさ?」



鳥居前の挨拶と手水、二礼二拍手一礼を説明した



「こういうしきたりがあるんですね。私も今度からやるようにしてみますね」



 お気に召して頂いたらしい。リリィさんも結構こういう所行くらしいので仲間が増えたぜ。

 ただ、神社らしい神社は今の所ヤマト村でしか見たことが無い。

 クリスのお気に入りの場所も元社というがそれらしい石が祀ってあった痕跡があるくらいで鳥居なんかも無い。この世界を回ってればその内他にも出て来るかな



「神社っぽい所が他にあれば是非」




「みーが神社好きとは意外だったな。それにしちゃアレだが…」



「アレとはなんすか、アレとは……ってアレは!!?」




 な、なんと!?こんな所でこれが見れるとは……み、巫女服じゃないですか!!しかもあれはかえでさん!?



「あ、みーだ!おはよ、相変わらず神社はちゃんと来るんだね。それより昨日は凄く良かったよ!」



それはありがとう、でもそれより



「ありがとうございます。そ、そそ、それよりかえでさん!?まさか巫女さんだったんすか!?巫女服だーー!!うきょーー!!!」



俺の中の何かが壊れた。生前から巫女服大好きな訳だがかえでさんがまたよく似合う



「昨日のライブで使い果たしちゃったか…ついにみーくんの頭は終わっちゃったんだね」



何かクリスが酷い事言ってる気がするが置いといて



「な、なんだよ〜、アレか?これがクリスさんの言ってたセクハラ大魔王ってヤツか?」


何を言ってるのか全く意味がわからない


「いやぁかえで様、巫女服似合いますなぁ〜、うん、その……良いですなぁ」


 なんだろう、心無しか仲間達からの冷めきった視線を感じるが、うん。きのせい

  



「や、やめろよぉ、あんまり見んなよ!恥ずかしいだろ〜、後でゆっこちゃんとかも着る事になると思うけど気を付けるように言っておかないとだね」



「ゆっこさん達まで!?それは要チェックだ!まさか巫女服がこの世界にもあるなんて……感動ですぞい!」



「極回復」



おや、頭に回復魔法が…気持ちいい



「みーさん早く回復して下さいね。いくら好きな衣装が見られたからといってはしゃぎ過ぎです」



 至って冷静だと言いたい。そしてかえでさんの巫女服。

 よく見ておかなければ、と思ったら突然目の前が真っ暗に…目隠しでもされ…アレ?何やら手が拘束されとる…魔法か?こんな器用な魔法はリリィさんしか居ない、と思ってたら今度は引っ張られてる。この力強さはせいらさんか?



「すまねーなかえで、変態が邪魔したみてーだ。またな」



「あはは、みーはアホだなぁ〜、でも昨日はカッコよかったぞ〜」




 そんな照れくさい事言わないで下さい。と、無理やり退場させられる事になりました



「まったく、お前ってやつは欲望に忠実だなぁ!」



「みーさんはコスプレがお好きなんですか?」



嫌いな人いるの?って返したい



「ふっ、生前から巫女服はロマンなのさ」



「カッコつけながら言うな!キミってば昨日はライブでカッコ良く見えてたのに……まあ気のせいである意味安心したよ」



気のせいとはなんだ…てか



「気持ちはわかるが恥ずかしいのであんまりカッコいいとかストレートに言われるとみー困るです」 



「みーくんテレ屋なのでぇぇす」



アカン、まゆもが攻撃性を出してる時の目だ…落ち着けここは冷静に



「ちょっとはしゃぎ過ぎちゃって悪かったからもう良いだろ?こうして強制退場させられてる訳だし、ところでさっきの目隠しってリリィさんの魔法?」



「そうですよ、ヤミ雲って魔法です。視界を奪うんですよ。初期の頃は規模がデカくて皆視界が奪われて大変でしたけど」



 気軽に言うがなんて爆弾魔女だ。そりゃパーティーで一番強いままで居ないとってなるわ。

 それにしても…やっぱりせいらさんちょっと元気ないな、こんな弄りまくれるネタがあったのにスルーしてるよ。何かあったか?



「みーくん、まだ昼まで時間あるからあそこ行こうぼぅん」


「あそことはまさか……」


「え?もしかしてみーくんが生まれ育った場所??」


「うにゅ!」



それは良い、ただ、流石に何も無いからなぁ。皆それで良いか?



「では今から俺が生まれ育ったではなく借宿にしていた小屋に行こうと思いますが……ハッキリ言って何にもないので興味のある方だけ御同行願えたらと思います」



 皆来ました。でも気持ちは分かる。ちょっと遠いけどここで別行動って形にした所で他にどこ行くか?ってなっても然程ピンと来ないのだ。

 絶景な所とか川とか色々あるにはあるがそこそこ歩くしそういう計画を綿密に練ったわけてはない、なので選択肢が多すぎる自由時間ってなってしまうのだ。

 なら初見限定ならスポットにもなる俺の小屋という選択肢もとりあえず程度にする気持ちは分かる。

 何より観光は行き先を決めてもらいそれについてくというのが楽だったりするのだ。

 そんな訳で長めの散歩、戻る時はせいらさんが転身してくれるそうだ



「それにしてもあれだね、キミってば女呼んで揉んでる人って子供にまで言われてたね」



「それを言うなよぉ、完全に想定外だったんだから。こんな呼ばれ方するなんてなんか思ってたのと違う」



「うふふ、最初から凄い事言ってるなって驚きましたよ」



 リリィさんが、え?みたいなリアクションしてたのバッチリ見てますぜ



「そういえばアンコールで最初にやったギターソロあるじゃないすか、アレがルピン3世のテーマ曲ですよ」



「まあ!そうなんですか、あんなオシャレな感じだったんですね。また今度是非聞かせて下さい」



「リリィさんの方見てこれだぜって目で訴えてたんだけどさすがに通じなかったね」



「何か凄い見られてるなって思ってましたがそういう事だったんですね」



 見てたのは分かってくれてたようだ。お気に召してもらえて何より



「事前に軽くは聞いてましたが水撒くのもそのバンドの方々のパフォーマンスだったんですよね、あんなに撒いてたんですか?」



メロニィに言った時は正気ですか?って突っ込まれたけど正気でした



「量的に言うと…そのバンドの人は昔は紙コップとか稀にバケツで撒いてて、近年は殆ど撒かなくなったけどホースで撒く事はあったかな」



 紙コップ欲しかったんですよ。手に入ることは無かったですが



「凄いパフォーマンスですね」



「全盛期の頃は暖かい所でやってたとはいえ真冬の年越しライブでも水撒いてたし、それを知ってるファンは最前席とかになると水着で来てたりもしてたからね」



「真冬に水着……聞いてて震えるぼぅん」



「歌詞とか曲名のエロさとかそういう変なのも含め愛されてたって事だな」



「そういう事です。なので国民的バンドではありましたが受け付けないって人も居ましたからね」



 なんてバンドの話をしていたら着きました、小屋に。ちょっと綺麗にされて…ってまゆもさん?


「あ、あの……コレって」


「アチキが書いたぼぅぅん」



小屋の側面にデカデカとみーの家って書かれてる



「まゆも、いつの間にそんなデカデカと書いたんだ?」



「最後にヤマト村の来た時ぼぅぅん」



 せいらさんも把握して無かった。なんというか行動力すげーな、この子



「どれどれ、中は……なるほど、本当にギリギリって感じだね。暮らせなくも無いけど的な」



「今住んだら虫とか凄そうですね」



 そうです、なので春とか夏じゃなくて良かったです。結界的なのくれたから大丈夫だったのだろうが



「なんやかんやと懐かしい気がするなぁ…ここで死にかけたのが昨日の事のようだ」



「正直アチキはもうダメなのかと思ってたぽぅん」



そうだったの!?



「そんなにヤバかったの?確かキミの魔力を自分で弄ったとかそんな話だよね?」



「そうそう、あの時まゆもが水を飲ませてくれなかったら多分アウトだったわ」



「そんなに酷い症状が出てたのですか?」



俺は当事者だから傍から見た感じはわからないんだけどね



「うにゅ、汗の水溜りが出来てて体がほっそりして、顔色はもうグレー寄りになっておったのじゃ。何度声をかけても目は開いてるのに反応は薄かったんやでぇ、怖かったぽん」



 そうだったの?確かに意識は朦朧としてたけど…俺の記憶に無いだけだったのか



「そんな状態からよく生還出来ましたね。私はこの職業柄色んな魔法に関する病的な症状は学んでますがそこまでのは聞いた事が無いですね」



「こわぽんだったからお母さんを呼ぼうと思ったのだけどみーくんはこれも修行の一環でここでやめたら全てが台無しになると、止めたのじゃ。

 ヤマト村の者としてそれは邪魔出来ぬと……我慢したアチキです」



 まゆもの判断が俺をここまで強くしたと言えるな。感謝しなくては



「まゆものその判断がこのパーティーの偉業につながったって事だね。まゆもくぅん偉いぞい」



 そう言ってまゆも撫でをするが……あまりやる事は無いがそもそも人前でやったりした事は無い。

 というかまゆもと合流してからやって無かったけど大丈夫かな?嫌がられたりしたらちょっとショックだな。

 なんていうか下心程の感情は無いけどちょっと頭撫でる事に興味を持ってついやっちゃったんだけどその時は問題無かったけど…少なくとも真顔で真面目にガチでやったりはしないから嫌だとしても軽く流す位で手を打って欲しいところだ



「うーにゅ」



良かった、御満悦のようだ



「後で兄貴にみーがまゆもの頭を撫で回してたって伝えとくぜ」



周りの視線の方がマズかった



「また面倒になるからやめてください」



 今度いい季節になったらここでまた泊まってみようなんて考えつつ、特に見る物もないので広場の方に戻った

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