持ち家を手に入れて 11
大したクエストでもないと思っていた俺は転身用の魔石や魔符は持って来てない。
粘液を体に纏わせながら3人でトボトボと歩いていた時、閃いた
「なあ、季節的に結構暖かくなって来たからまゆもの水龍さんでこれ洗い流せないかな?」
驚きとともに名案だと言う顔をしてきたまゆも、対してクリスは
「え?でもアレ人が喰らって大丈夫なのかなぁ?見た感じは水だけど…実は凄い威力とかあるんじゃないの?」
それは確かにそうだ。まゆもが敵を倒す気で魔法を打って食らわせた魔物が倒せなかった事がない所を見ると実は水龍さんも凄い攻撃力があるやも
「大丈夫ぽん」
有無を言わせず撃ちやがった、早計だったか?と思ったがちゃんと優しく纏わりつくように来た水龍さんはそれはもう気持ちよくさっぱりさせてくれた。
やっぱりアレですよね、この子の魔法って自立してるよね?
「ふわぁぁ、さっぱりしたよぉ〜流石まゆもちゃんだね!大魔法使い様々だよ」
テンションが上がったクリスに褒められてニマニマしてるまゆも。よし、俺もここで秘密魔法の披露だ…でも上手く出来るか?
「では俺も秘密魔法で乾かす事に貢献しよう」
そう言って出したのはねばのーる君でプロペラ的な物を作り出してそれを回転させる、土台も作ってるので言うなれば扇風機だな。
俺の秘密魔法…それは回転だ。それが物であれ何であれ回転させる。まゆもがそれっぽい事を村の子供にやってたのを見て真似してみたら出来そうだったのだが、それよりねばのーる君とキャイオウケンの研鑽に持ってかれてたので実用化が遅くなっただけでわりと初期から構想はあった。
そしてこの作戦は無事成功してそれなりな風を吹かせられた。
回転をかなり強めてるので燃費はあまり良くないけど…風を吹かすような魔法も撃てない事ないんだけど持続はしてくれないので乾かす目的ならこれがいいと思う
「おおー!みーくんやるぼん、いつの間にそんな魔法をぴぴょ?」
「まゆもが村の子供をどうこうしてたのを真似しようとしてた時にきっかけは出来てたのさ。その後しばらく放置して最近形になったのです」
「キミってば何か便利に使えそうな魔法ばかり編み出すねぇ〜、良いなぁ、私も何か便利なの出来ると良いなぁ」
すっかり忘れてた
「クリス様はクリアって魔法あるだろ?あれ俺にも教えてよ。多分だけど凄く良い魔法な気がするんだよね」
毒消し系かは分からないけど前世で、歳を経ていた俺からするとクリアの効能はとても有用性が高いと理解出来ている。ヤマト村の女子は総出で食い付いてたし
「あれか〜、そうだなぁ…説明が難しいからちょっと手を貸してよ」
そう言って手を握ってる所にクリアを唱えた。だが俺には何も変化はない
「今、唱えた?」
「唱えたよ、何か分かったかな?」
「いや全く、何も変らんですけど」
「うーん…やっぱり人には無理なのかなぁ。クリアっていうのはこう、浄化するイメージではあるんだけどね。体外には全く放出されないっぽいんだよ」
これでは会得は難しいか?
「こればかりは仕方無いか、ねばのーる君の再現も現状では誰も出来ないからこういうのは簡単な話ではないんだろうな」
そんな話をしているとまゆもが凄く重要な事を言ってきた
「みーくんもしかして魔法浮かせてにゃいなのか?」
そんな発想自体考えて無かったです
「浮か…せる?」
「ええっ?キミって魔法浮かせられないの?」
そう言って魔法の基礎たる魔力玉をクリスが出して来た。
物凄い盲点ではあったが俺は魔法を浮かせてなかったらしい。
適性を見るための時は無意識に浮かせていたが他の魔法は一切浮かせてなかったのだ
「ということは」
今扇風機的なものを作りはしたがこの土台の部分とか不要でやれるって事だ。
確かに浮く、位置をその場に固定させた上でやる事は出来る。なんてことだ、こんな事で良かったのかと言いたい所だけど意外と位置のどうこうが難しい…俺はそれを端折ってたのか
「みーくんは現状でも充分に強いからこの辺はあまり気にしなくても良い気がするにょ」
「確かにそうだね、むしろそのキャイオウケン以外の魔法は無くてもいい位じゃないかな」
何か今、色々見えて来た気がする。もしかしたらこれ転身使えるようになるかも
「今日のぽるもん狩りは思わぬ収穫だったかもな。実はこの回転の実用化以外にもキャイオウケンが新たな領域に進化してたりする訳だが…遂に転身のきっかけを掴む事に…」
「おおー、それは一体どんな感じなのさ?」
俺もテンション上がって来た
「アレだよ、クリスはかえでさんに魔力が固形化してるみたいな話されただろ?それをキャイオウケンに応用してどーのこーのしたわけだけどその固形化ってのと浮かせるとかを全部合わせると何となく転身の理屈が見えて来てる私だよ」
転身が使えればもうウキウキだぜ
「みーくんも覚醒ぼぅぅん、キャイオウケンも進化するなのか?」
「今度強敵が現れたら、披露する事になるで、アロー」
ギルドに立ち寄り報酬を問題無く得られたので絡まれる前にとっととスウィーツでも、と思ったがまだ服がかんぜんには乾いてないのでちょっと公園的な所で日向ぼっこをしていたらリリィさんが現れた
「こんにちは、今日は何をしてるんですか?」
「リリィさん、こんにちは。私達はクエスト行ってた帰りです。あの忌まわしいぽるもんを私の活躍で蹴散らして来たんですよ」
「アチキの風くましゃんも大活躍だったのじゃ」
「あのぽるもんを狩ってきたんですね。私も苦手なんですよ〜、なのでコストは高くなるんですけど駆除剤も作ってあるんです。それとぽるもん駆除の魔法も」
なんと、ここにぽるもん駆除のスペシャリストが居た。
というかチラッとは聞いていたけどこの三人はすっかり仲良しになっているようだ。
俺達は大体一緒に居ることが多いけど俺が居ない時とか一緒に行動してない時なんかは二人でリリィさんの薬屋に遊び行ったりスウィーツ食べ行ったりしてるらしい。
ぽるもん駆除の話に食い付く二人、コストが本当に見合わない駆除剤と然程広くない範囲の駆除魔法の話で盛り上がってる所にリリィさんが当然のように身に覚えのない話をしてきた
「明日楽しみにしてますよ。みーさんの手作り弁当ですよね、私も何か作ってくので」
何の話をしているの?
「ええっと…初耳何ですけど、何の話ですかね?」
大体読めてきた俺はクリスの方を見ると目を逸らしていた。まゆももクリスを見ている
「ええっと…言い忘れてたんだけど、明日ピクニックするんだよね。みー様の手作り弁当でって話を前にリリィさんの薬屋に遊び行った時にしました。ので明日弁当お願いします!」
別にいいんです、明日なにか予定があるわけでもないので。
でもこれ予定あったら無理だったというのが問題なのです。
昨日一昨日の話ではなさそうなところを見ると事前に連絡してないクリス様には仕置きが必要だ
「ええっと…クリス様?」
「分かってる、分かってるから」
そう言って目を閉じてほぺを引っぱって下さいと言わんばかりに顔を向けてくるクリス様
「そういうのは事前にちゃんと伝えましょうね〜、これで俺に予定あったら色々話が変わっちゃうじゃないですかぁ。そんな楽しそうなイベントを俺一人だけハブられちゃう事になっちゃったら泣いちゃうみーくんです。まゆもくぅぅん!こちょこちょだよ」
「ほいきた!」
と言いながらほぺを上下左右に引っ張る俺
「ひゃっ、やめ、やめてぇぇ〜ご、ごめんなふぁい〜ぽるもんに捕食されてかふぁいそうなわたひをもうゆるしてあげへぇ〜」
こんなもんで許されると思うなよ〜と思ってたらリリィさんが笑い出した
「ふふふ、相変わらず楽しそうですね、みーさんのパーティーは。羨ましいです。弁当はまた別の機会でも大丈夫ですよ?」
楽しそうに見えるか、まあ楽しいですけど
「いや、作りますぞ!では今から食材を買いに行きましょう」
「うわーい、賛成」
「肉と肉ぼぅぅん」
お仕置きからしれっと開放されたとしてるクリスだが…下手にやると思わぬ反撃を受けそうなのでやめとこう
翌日、ピクニックといえばクリスのオススメの場所になる訳だがじいさんから話を聞いた後だと改めて色々見たくなるな、うっかり何か言わないように気を付けよう。
俺は口が硬いというか秘密を喋ったりする気は全く無い、無いのだがそれを分かってなかったり忘れてたりするとボロが出てしまうというのを生前やってしまった記憶がある。ここはいつも通りに振る舞うです
「あら、美味しそうですね〜私はサンドウィッチを作って来たのですが皆さんのお口に合うかどうか」
リリィさんは薬にあれだけ凝る性格だけあって料理もかなりお上手です
「リリィさんの作った物ならまず間違いないでしょうよ。サンドウィッチ、良いですねぇ〜」
「聞いたかい、まゆもくん。この男はどうやら既にリリィさんの手料理を食べた事があるようだよ。果たして何をやっているのだろうね?」
「うにゅ、聞いたぽよん。アチキらの知らぬところで果たして何が!?」
あらぬ疑いをかけようとしているな
「た、たまたま私が倉庫にご飯を持っていった時にご一緒しただけですからね」
リリィさん、そこは変に焦った対応をすると余計に怪しまれますぞ
「うーにゅ…名探偵まゆもは、ただならぬ事を感じるぽん」
「先生、やはりこれは綿密な調査が必要なのでは無いでしょうかね?」
コイツら…しかしまゆもの勘の良さは怖い。確かに俺達はただならぬ関係といえばその通りだったりする。
まさか巷を騒がすジェノサイダーズとは誰も思わないだろうし
「た、ただならぬなんて…そんな事ありませんよ〜」
「リリィさん、そこで狼狽えると余計に怪しい感じするので狼狽えないで下さい。お前等もあんまり煽るなよ、リリィさん困っちゃってるだろ」
リリィさんは物腰が低く人当たりが良い…様に見えるから弄りたくなるのもわかるがこの人もまあぶっ飛んでるので気を付けて貰わないと
「キミが優しいリリィさんにセクハラでもして困らせないように暗に釘さしてるのさ」
よし、ここは一つ
「クリス様…せっかくお弁当も作って楽しみにしてたこのピクニックも、そんな謂れのないセクハラ疑惑を掛けられたショックでもう僕は元気出ないです。もう…いいのです」
いじけてみよう
「みーくんがいじけみーくんに…ほら、カニだよぅ〜」
手で蟹を作ってあやしてくるまゆも。まゆもの中で俺は子供なのかも知れない
「じょ、冗談だからね?ホラホラ悪かったよ。昨日私の全身に纏わりつこうとした事ももう忘れるからね?元気出そうよ」
「みーさん?」
あらリリィさんの訝しむ顔、それも良い…ではなくクリスめ!また余計な事を
「ぽるもんに飲まれて俺にハグしようとして来たんだから当然のリスクだと思って貰いたいね」
「キミとはやはり決着を着けなきゃならないようだね」
俺とクリスのアホなやり取りを見て笑ってるリリィさんとまゆも。やられてばかりの俺を助けて下さい
「そう言えばヤマト村だとぽるもんはどうやって駆除するんですか?それともあの辺には出ないんですかね?」
リリィさんがまゆもにそんな疑問を投げかけた。確かにヤマト村の人達がどうしてるのかは気になる
「ヤマト村だと得意な人がやるのでぇす。何人か得意な人がおるのじゃ。アチキの同年代だとてと君という子が得意にしとるのです」
てと君か、確かまゆもと同い年で可愛い見た目をした少年で、性格がとても個性がない感じがするのでヤマト村では凄く貴重なキャラだという気がしたなぁ、あの子がそういうスペシャリストだったのか。
まゆもを苦手な感じにしててあまり絡まなかったけど俺には何となく懐いてくれた気がすると思わせる所が何とも特筆される性質の子だと思ったよ
「そうなんですね?具体的にはどんな駆除するんですか?」
「単純に切り裂くか死の影に触れさせるか畳むかする人達がおるぴょん。てと君は結界が得意で結界を張り存在しづらくしてやるのじゃ。一番安全だから最近はてとまかせという単語が生まれてるにょだ」
恐ろしい言葉が幾つがあるのはどうすればいいかな。聞けばいい?スルー?心なしか引き気味のリリィさんとがっつり恐れ慄くクリス様
「ええっと、まゆもさん?死の影というのと畳むっていうパワーワードが僕達は気になってるのだけど教えて頂いても大丈夫ですかね?」
そう聞くとリリィさんもクリス様もコクコクと頷いていた
「うにゅ。死の影は触れるとぴょってなる黒い魔法をぽるもんに触れさせるのでぇす。自分より弱い敵ならぴょってなるのじゃ。畳むのは畳むなのです。多分空間とかを畳んでるから巻き込まれぬ様に要注意ぼぅん」
ヤマト村おっかねー、この世界の歴史とか全然知らんけど日に日にヤマト村の人に対する色んな人の対応の理由がわかって来る気がする。
俺はなんか親しくなってるけど何か間違ってぴょってされたりしないかな…気を付けよっと
「ヤマト村の人はおっかないねぇ、死の影とか畳むとかもう私の頭が追い付かない魔法ばかりだよ」
「私も沢山魔法は作りましたがそんなゾッとする魔法は…流石です」
リリィさんは別のベクトルでヤバいから気が合うと思いますよ。
この日は夜も一緒にご飯を食べたりとリリィさんと遊ぶ1日となった




