持ち家を手に入れて 10
「良さ気なクエストあった?」
「うむ、距離が徒歩1時間位で150万のクエストを受けたぞい」
「おお〜、それは良さげだねぇ!よぉし、頑張るぞ〜」
「ぴにゅーるするのでぇぇす」
余程の敵でも無い限りまず大丈夫だろうという感覚になったのか、詳細などは聞かずにやる気の二人。
まあヤバいのだったら桁が変わるだろうから大丈夫だろう
しばらく歩いて
「あそこが良き」
始まりました、まゆもさんの魔法のお時間が
「今回は何かな〜?」
この行動にすっかり慣れたクリス
「沼」
なんと?それは一体
「え?も、もしかしてこの辺全部沼化してるの?」
「ちょ、ちょっと大きめの石投げてみるわ」
大きめの石を投げたら沈んで行った。どうなってるのこれ?
「ま、まゆもちゃん…これはどういう感じなの?」
「うにゅ、これはじゃな…沼!なのじゃぞい」
「そ、そうなんだね。相変わらずとんでもないね、まゆもちゃんは」
クリスがやや引いてるのと同様に俺も同じ気持ちだ。
重力的なものか?そう言えばぐらびとぅーんが得意だとしてるからこのタイプの魔法は得意なのかも知れない
そんなこんなであと5分もすれば着くかという所でクリスが突然立ち止まった
「あ、あのさ…もしかしてだけど…そうか!そうだよ、みーくんはこの世界の新人だったんだ。分からないのも無理はないか」
何やらクリスがブツブツ言い出したぞ
「どうしたクリス?何かあるのか」
「この依頼ってもしかしてだけど害獣等の駆除とか書いてなかった?等が重要だよ」
確かにそんなふうに書いてあったけど…それがどうしたというのか?
「書いてあったけど、カマウサギがメインっぽく書いてあったと記憶してるぜ」
「やっぱりだぁ!!やっちゃったよぅ、油断したぁぁ。あ、あのさ、このクエスト…私は報酬いらないから辞退していいかな?」
どういうことだ?基本的には好戦的というかやるのは楽しんでるクリスが
「どうしたのぴょ?体調でも悪いナリか?」
「いやぁ、多分だけど…十中八九そうなんだろうけど…これ、ぽるもんの駆除がメインだと思われるよ」
「にゃ、にゃんと!?そんな事が?あ、アチキもアレはちょっと苦手ぼぅぅん。遠くからやれば大丈夫だろうからいいぽんだけど」
ぽるもん?なんじゃそら?
「私は大の苦手なんだよね。小さい頃にやられて、その後冒険者として対峙してみようと試みたらやっぱり駄目で…いや、もしかしたら微かな可能性だけどぽるもんとは限らないから行くだけ行っては見るけどね」
クリスが死んだ目でブツブツと呟いている。そんなにダメなヤツなのか
「なあ、ぽるもんってなんなのさ?」
「ぽるもんっていうのはね、うにゅうにゅした触手的な物を何本も生やした魔物さ。ハッキリ言って雑魚なんだけど粘液とか移動方法とかが面倒で色、だけじゃなく全体的にキモいから受け付けないんだよ。私みたく根本から嫌ってる人が多くて依頼で出しても誰もやりたがらないからいつしかクエストには直接表記はしなくなったんだよね。田舎から来た疎い初心者狙いでギルドもクエストを出してるんだよ。この辺で暮らしてる人なら冒険者じゃなくたってその辺のことは知ってるからね」
なんと!?この世界でも広告詐欺的な事が?
「で、でも命の危険はないんだろ?雑魚だって言うし」
「確かに雑魚だよ、一般人でもまず問題ないし命の危険はないと言えるよ」
いったい何がそんなに悪いのか気になる。見てみたい気もするが俺もこれはやめておこうかなって気になって来た。
しかしもうすぐ現場に到着しそう、というか見えて来た。
確かになんか見かけない植物?なのかわからないけど変なのがたくさん生えてるように見える。どうやらこの世界特有の農作物とかではないようだ
「やっぱりだぁぁぁ!!アレだよ、アレがぽるもんだよ!私は辞退でお願い。でも…そんなに居ないね、これなら大丈夫かも知れないなぁ」
そうなのか?そこそこ居る気もするけど気のせいか?てかサイズは人間と同じ位なんだ。思ったよりデカい
「アチキの魔法だと農作物を同時にやってしまうから難しいぽぅん。何か…らいとらさんなら行けるかのぅ?」
普通にスルーしそうだったけどまゆもの魔法ってもしかして魔法そのものが自立してるのか?
「もうちょっと近くまで行ってみようかな。大丈夫そうなら私もかつての復讐をするんだからね」
なんとなーくだけど、報酬とか普通に渡すんでクリスは大人しく観戦してた方がいい気がするの
「コイツは植物なのか?それとも虫?確かにかなり気持ち悪いな。緑色の粘液垂らしてるのがまた」
近くで見ると確かにキモい。イソギンチャクに口のようなものがあってそこからさらに触手的なものが。口のような箇所のトゲトゲとかもうエグいわ。
でも見た感じコイツ動けないんじゃないか?
「あの口みたいな所のトゲトゲって実はそんな固くなくてぽるもんで刺されたり切られたりすることはないんだけど…とにかく見た目がもう、匂いも青臭いし色とかもう本当無理!何で足的な箇所だけバッタみたく角々した感じなんだよ、本当ゾワッてする。でもこれだけなら私が倒しちゃうよ!コイツは弱いんだ、刃物でそこそこ切れば後は勝手に朽ちてくのさ。一日も待たずに干乾びて勝手に消えてくからね」
そんなふうに説明がてら息巻いてるクリスさん、それとなく距離を置くまゆも。
いよいよ戦闘かと思われた時、目の前に10前後位しか居なかったぽるもんは一瞬にして何倍にも増えた
「きゃぁぁぁぁ!!みーくん助けてぇぇぇ!!」
まだ何もしてないしされてないのに助けを求めるクリスさん。そんなにトラウマなら大人しく引いとくべきかと
「お、落ち着けクリス様。まだ何もしてないしされてもないぜ。ここは一旦引こうか?」
「う、うん。そうだね…言い忘れてたけどコイツ等って殆ど自力では動けないんだけどある程度テリトリーみたいなのがあってその中だと自由に場所を行き来するんだよ。多分転身みたいなの使ってるんだよね、もしかしたらまだ沢山」
そういった瞬間クリス様の真後ろにぽるもんが。そして吸い取った?飲まれた?何にせよクリスが丸呑みされてしまった
「クリスくぅーーん!!今助け……!?」
咄嗟に助けようと手を伸ばすとクリスが手を掴んできた。どうやら大丈夫そうだ
「よ、よーし。引っ張るぞ?」
どうしてしまったのか?やけにおとなしい
「ぽるもんはね、草木とか、農作物しか食べないし飲み込んでじっと消化するだけだから消化力もそんなに強くないし、飲まれたところでまあ大丈夫なのだよ」
なのだよってアンタ?何を語りだしてるのか。あまりのショックにおかしくなってしまったのかも知れない
「分かったからとっとと出ようぜ、引っ張るよ」
「いやいや、大丈夫だよ。そんな訳だから過去にぽるもんが出した人的被害は本当に小さい子とか年寄位なもんなんだよ。何体ものぽるもるが重なった重量でね。でもある程度大人になればその気になればこんな体、引き裂けるもん」
クリスはどうしちまったんだ?何がしたいのか?
「わかったよ、とりあえず…」
何だコイツ、引っ張って来やがった
「いつも私ばっかこんな目に合ってズルい。そろそろキミも一緒に味合わないかい?苦楽を共にするのも仲間だろぅ?」
コイツ、俺を巻き込もうとしてるのか?だからあんな安全アピールを!?
「何御乱心してるんだよ?なんで俺まで!ってええぃ離さんか」
無駄に握力が強い。しかしまさか巻き込もうとしてくるとは、何とかクリスを引き摺り出しつつ一旦引きたい所
「さっき一気に増えた時、こんな事になるんじゃないかなぁ〜って少し思っちゃったら案の定だよ。なんで私ばっかこんな目に合うのさ!そんな可哀想なクリスちゃんのためにキミも一緒にこの苦痛を味わおうよ。ねぇ?仲間だろぉ」
「お前ふざけるなよ!なんでわざわざそんな目に合わなきゃなんねーんだよ、こんな時ばっか仲間の絆強調しよって!って離せ、何だその握力は?」
本当に強い、何この子?
「ふふふ、私の必殺技はある程度の段階まで来たら早すぎてダガーがすぐすっぽ抜けるようになっちゃって以来、握力は昔っから鍛えているのさ」
そんな特技をこんな事で活かさないで欲しい
「くっ、仕方ない。秘技、合気」
秘技を使いクリスをぽるもんから引っこ抜いた。地面に落ちないように腕で抑えたから腕が粘液まみれに。
うわぁ~みどりくさいしネッチョリだし色がキモいしもう嫌
「おおー、みーくんが合気を使いよった。でも前とちょっとちがぽんよ?」
そう、合気は生前会得出来てなかったのでこっちの世界来てまゆもと暇してた時に付き合って貰ってなんとか会得に至ったのだが、ここに俺の秘密魔法の回転を加える事により魔物だろうと何だろうと使用可能な実用的技に昇華したのだ
「俺も日々進化しているのさ」
「このぉ〜、何か変な特技ばっか持っちゃって〜!でも腕は粘液まみれ」
そういうクリスにぽるもんは粘液を吐き出した。そして触手を伸ばしまた飲み込もうと試みようとしている。なるほど、こいつは本当嫌だわ
「うわぁぁぁん、もういやぁぁ〜!!みーくん何とかしてよぉ〜」
クリスが投げやりになってしまった
「確かそれなりに切れば片付けられるんだよな?」
目に入る限りのぽるもんをクリスのダガーを借りてダッシュで切り刻んで行った。のだが…どういう習性かはわからないが他の所に居たぽるもんがどんどん現れる。
これは面倒くさいな、こうなったら…とそう思った時まゆもが動いた。
因みに俺の駄目なところなのだが剣は忘れて来ました
「アチキがやるのでぇぇぇす。風クマしゃん」
新たなのが来たぞ?風クマ?どんなのかと思うと柔らかな風が吹いた。
不発か?と思った矢先眼前に居るぽるもん達が徐々に切れていく…決して派手にではないが確実に削られてるのがわかる。
ぽるもんだからイマイチわかりにくいがこれが普通の生物だったらと思うとかなりエグい魔法なんじゃないか?相変わらず恐ろしいな。
こうしてぽるもん達が動きを見せなくなったところを見ると全滅したっぽい
「うぅ…私ってば何でこういう目に合いやすいんだろぅ」
口ぶりから察するに俺と出会う前から割とこんな目に合ってるのが伺える。
変なとばっちりはゴメンだから弄らないでおこう
「よ、よぉし!戻りまするか、ねばのーる君出すから拭くのですぞ」
ねばのーる君に吸水性は無いので役立つか分からんけど
「風くましゃんで吹き飛ばそうにももしかしたら切り刻んじゃうしぴゅーるなのじゃ」
大丈夫だよね?好奇心でそんなの仲間に向けたりはしないよね?
「…………………クエストは完了だね、これは祝わないとイケないよね、リーダーとして祝わないとだよね」
クリスさんがまたブツブツ言い出した。今度は何を…ってアレ?こっちにじわじわ来てないか?
「そ、そうだね。祝わないとだ、クリス様の活躍でクエストは無事完了したよ!おめでとう、さあ帰って美味しいスウィーツでも」
「どうせなら勝利のハグをしたいよね?ほら、君だって前にしたがってたよねぇ?」
コイツ、道連れにする気か?
「お、落ち着けクリス。祝うのは良いがハグして喜ぶほどの敵ではなかったと思うぞ?だから今回は、ねえ?」
「何言ってるのさ、せっかくこんな可愛いリーダーが勝利のハグを所望してるんだから遠慮する事ないよ」
コイツぅ……誰だこんな子を良い子だなんて言った奴は?だが
「コホン、そうだなぁ〜そんな可愛らしいリーダーに所望されては仕方が無い!仕方なく、遠慮なく、ハグしようじゃないか!どうせするならもう全身くまなくハグするぜ。それはもうにゅぐりもんさ。それで良いですね?クリス様」
俺はやる!やる男なのだ
「え!?いや、ちょっとまって?その…普通にハグだけで良いからね?そんな全身がって…てゆーかにゅぐりもんってなんなのさ?」
「説明しよう、アチキにもよく分からーぬなのだけれどアチキのぬいぐるみのモコフワ感が気に入ったみーくんは…そのぬいぐるみにスリスリしたりまみれてたのじゃ。その時みーくんはにゅぐりもんって言ってたので、アール」
さすがまゆもくぅん、よく観察してらっしゃる
「いやちょっと待って?それはもう度を超えたセクハラだと思うんだけど…冗談だよね?」
「いやいや、リーダー所望のハグですよ。遠慮はいりません!さあ、さあ!」
クリスににゅぐりもん…セクハラレベルがヤバイ。
だがここで引けばクリスは事あるごとに俺を巻き込むのを平気でやるようになるだろう。
これは仕方ないのだ、俺だってそんなセクハラはしたくないしそんな粘液にまみれたくはない。なので、仕方ないのだ!
「アレ?おかしいから?これってこんなキモい魔物の体液まみれの私を嫌がって断る流れじゃないの?それで結局軽くハグされて巻き添えになるって感じだと思ってたんだけど」
何を言ってるのか何一つわからない。クリスはいつから英語を喋るようになったのか?
「あれれぇ〜?もしかして自分で言っておいて引いちゃうんですかぁ〜?これはいわゆる、ティッキンってやつですね?あ、良いんですよ〜そういう事なら。別にそんな事でクリスヘタレとか言って弄ったりするほど子供じゃないですからね〜ボクは」
「くっ、言わせておけばこのオッサンは〜、やってやろうじゃないさ!でもってそんなにゅぐりもんってヤツをやったらいいさ!そのかわり以降会った皆にはありのままを伝えるんだからね、少し盛っちゃうかも知れないんだからね」
くっ…コイツ出来る。ある程度覚悟を決めた上でこちらにも確実にダメージを与える事を提案して来やがった。
常人ならここで折れるだろうが流石だ、こんな目に何度も合ってるのは伊達ではないという事か。
なんて膠着状態に陥ってたらまゆもが飛んできた
「おーふぇんす!」
何やってるのこの子?俺とクリスが膠着状態で近接して後ハグするだけの距離に居た所に突ってきた。そして皆まとめてハグする形に
「ま、まゆもちゃん?大丈夫?粘液付いちゃってるけど」
ハグを提案してたクリスが気を使う事態に
「ここで攻めたら面白い、と思ったアチキなのでぇす」
まゆもはこういう子だった。
これってアレだよね、いたずらに人を巻き込むためにハグしようとしたクリスと、自分の意志で面白そうだからハグしてきたまゆも。対する俺はあくまで抵抗の意味でハグを提案しただけであり丸く収まるなら何もする気はなかった。つまり、被害者は俺だけじゃないか
「これで皆仲間なのでぇぇす」
「そうだね、ぽるもん被害者の会結成だよ」
俺は勝手に巻き込まれただけなんですが




