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持ち家を手に入れて 9


 まゆもは相変わらずギルドには顔出したくないという事で今日は俺一人でクエストを見に行きた。

 ちょうど手頃そうなクエストを見つけたので受ける事にしよう。

 それにしても相変わらず俺への態度は辛辣なものだがまゆもが居たらまたスカウトされまくるんだろうなぁなんて思っていると冒険者パーティーに絡まれた





「お前まだ生きてるのか?あのヤマト村のお嬢さんは余程の魔法使いだってことだな。いい加減場違いだって理解しろよ。あの子が可哀想だろ?お前みたいなのに足引っ張られていい存在じゃねーんだよ。俺達と組んでればB級だって現実的なんだ、もう充分美味しい思いしただろ?そこはもう許してやるから早く消えろ。でないとそろそろ本気で潰す事になるぞ!俺だけじゃない、皆言ってるぜ。ハッタリでやってける程甘い稼業じゃねーんだよ」



「分相応に生きろやカスが!お前みたいなのが冒険者やってるとこっちまで変な目で見られるだろーが」



「調子乗ってると五体満足じゃ済まねーからな?雑魚のくせにここに来るなよ」



「ヤマト村の人と仲良いからって調子乗ってんじゃねーよ。居るよね〜そういう寄生虫みたいなゴミ」




 随分な言われようで、クリスが居たら怒ってくれたかな。

 さてどうするか…やはり生前と一緒だ、こんな馬鹿にされてるのに然程腹立たない。どうせ後で怒りがぶり返す癖に俺ってやつはこういう所は変わってくれないのよね。

 まあスイッチ入ったら殺しかねなくなるからここはそのままやり過ごそうか



「話は終わったかい?もう少し修行してから出直すんだな、坊や」



見た目はともかく俺から見たらコイツ等は坊やなんです



「まあいい、ここじゃやらねぇ。だが近いうち後悔する事になるぜ」



一応俺も警告はしてあげようか、優しさは大事



「受付のお姉さんさ、確認だけどああいう脅しは許されてるのかい?」



「さあ」



よし、受付のお姉さんも巻き込めた。地味にコイツもムカつくから該当させとく



「対話って大事だよな?なので一応俺側の視点で意見を言っておく。どう捉えても構わないけど一方的に言うばかりではつまらんだろ?聞くだけ聞いとけ。俺の見解としては取るに足らんガキ共相手にムキになるのはアレだし、俺から見ると君達は人混みですれ違った見ず知らずの人とか草木に居る昆虫とかと大差ないから何言われたとしてもスルーしてたけど、今回はちょっと気に障ったから…覚えておくよ、君等のこと。そんで俺に言った事をよく覚えておくように。悪いが俺にとってはお前等もこの稼業も殆どがオマケだからな、何かやるとしたら申し訳ないが躊躇ったり気遣ったりはしないぜ」



 何言われてるのか半分も分かってないだろうが今はそれでいい。そして何もしてこなければこのままでも別にいい。

 ただ人をこんな扱いしといて後で手の平返しとかしても遅いからな



「何言ってるんだコイツ?頭おかしいんじゃねーの?」



「ほっとけよ、こういう変な奴って無駄に運だけは良かったりするからな、関わるとこっちが変な迷惑被るぜ」



 ほう、俺の運がいいとか笑わせる。ってもういいや、クエストは見つけたし行くか。

 クエスト達成時だけはクリスにも同行してもらおう。このままだと受付にも無視されそうだし。  

 でもどうだろう、俺は…自分贔屓な話になってしまうけどやはり人に目の敵にされやすいな、生前からなんら変わらん。

 でも生前はそれ相応に俺もまたクソだったというのは歳を重ねるにつれ分かったから折り合いというか収まりは付く部分はある。

 なんというか一度死んだのもありそういう精神の柵は解けてる気がするんだよね。何より第二の人生が魔法も使える異世界、オマケというか何処か他人事みたいな感覚が拭えないのも正直な所なので元がおっさんだからってだけでなく何処か達観してるという感じだったりする。

 でもそこを無断着にして俺が受けるようなある種の迫害とでも言おうか、それにクリスやまゆも、仲間が巻き込まれるのは嫌なんだよ。その辺の事はちゃんと考えなくてはならない。

 あまりに敵視されるくらいなら根本的な立ち回りも考えないといけないな、だってこの世界で生を受けてからは別にクソみたいな事はしてないのだから。割り切れる話かは俺が決める事ではないかもだけど少なくとも仲間にはこんな迷惑をかけたくはない。

 この辺のことはキチンと肝に銘じておこう。





 では気を取り直して今回のクエストは…農作物を荒らす害獣、カマウサギ等の討伐及び駆除だそうだ、150万と値段がかなりおいしい気がするぜ。

 カマウサギって確か風系の魔法を放ってくるから注意は必要だけど初心者でもやれる程度の雑魚だったと記憶してるし良いでしょうよ。早速皆を迎えに行きつつクエストやるか。

 幸い場所もそう遠くなく徒歩1時間位の場所だ。徒歩1時間が遠くないと感じるようになったのは異世界生活にだいぶ慣れたという事だろう。

 新たに買った剣を念の為持って行こうと思ったらアパートに忘れたので取りに行くとクリスのじいさんが居た。何故ここに?



「じいさん、どーしたんすか?」



 何故じいさんというのか、それはクリスのじいさんとばあさんはクリスが小さい頃から互いがそう呼び合ってたのが関係している。所謂あだ名って事だろう、よって俺もそういう意味でじいさんとばあさんと呼んでる。

 なおクリスの両親に関しては深くは聞いてはないがどうやら居ないらしい。

 この二人の遠い親戚のどうこうと言ってたがあの様子だとクリスも深くは知らないのだろうし聞こうともしてないのだろう



「改めて礼を言おうと思いましてな。うちの娘を立派な冒険者にしてくれてありがとうございますじゃ」



そういうのはやめて欲しい、俺照れ屋なんだよ



「そんな、いいですからね。仲間なんですから。それに…深くは言いませんが俺個人的に思う所があっての事なんですよ。いや、はっきり言いましょう。ヤマト村の大人達には話してあるのですけど俺って実年齢は41とかなんすよ。んで生前クソだったから何ていうかこういうのをちゃんとしっかりやらせないとなって思っただけで…これクリスには秘密でお願いしますね」



 クリスのじいさんとばあさんもある程度は俺の経緯は知ってる。

 なんてったって同い年位の男がクリスが酔い潰れてたとはいえ家まで送ってその家に泊まりまでした訳ですから、ニ回も。そりゃ立ち入った話もするさ



「はっはっは、応対とか見て何となくは察してますじゃよ。安心して下さい、黙っておきますから。その秘密ついでにワシからも秘密を一つ話してもよろしいですかね?」



何か秘密があるのか?気になる



「長くなりそうでしたら上がりますか?」



「ではそうさせてもらいますかな」



マジで?長くなるほどの秘密があるのか?じいさんにか?それともクリスに?



「お茶です」



「どうも、秘密の話なのじゃが…クリスの事じゃ。クリスの両親の事は聞いてますかな?」



クリスの事のようだ



「ええ、何でもじいさんの遠い親戚の子らしいですけど何らかの事情で見れなくなりじいさん達が引き取ったと」



「そうじゃな。まあ、嘘なんじゃが…嘘でも亡くなるという言葉は使いたくなかったのでその辺濁したのじゃが多分クリスはそっちだと思っておる。ワシ等に気を使ってか物心ついてからは何も聞いてこなくなったのじゃよ」



 サラッと嘘って言いやがった。このじいさんはなんか軽いんだよな、初対面のときなんかボケじいさんを装ってたし。

 後からクリスに聞いたらクリスが喧嘩したり問題起こして家に誰かしらが来る事が重なる時期があって以来、すっとぼけ癖がついて気付くと初対面の人にはすっとぼけた感じになるようになったとか



「サラッと嘘って言わんで下さい、でも分かりました。それでクリスは亡くなってるとか思い込んでると予想されるけど実はそれも違うって事ですね?」



「そうじゃ、あの子は…捨て子だったのじゃ。いや、それも正しいかはわからぬ所もあるんじゃがな」



マジっすか?クリスさん…かなり壮絶な生い立ちしちゃってますぞ?本人全く自覚無さそうだけど



「捨て子、というのは?」



「前にピクニックに二人で行っておるじゃろ?元は社のあった場所じゃ。あそこに捨てられてたのじゃ。少し焦げたカゴがあって直ぐ側でクリスがタオルを下にして泣いておったんじゃ。紙にメリークリスマスと書いてあったので名前がメリークリスマスなのじゃよ」



そうそう、クリスは本名がメリークリスマスなんだよ。元の世界では有名な言葉です



「なるほど。確かに捨てられてたって見て間違いないか…あの場所はよく行くって行ってたからじいさんは何回も行ってたんだろ?」



「うむ、じゃが未だに気になるのは本当に捨てられてたのか?って事じゃ。捨てられてたにしては乱雑だったしあんな場所にわざわざ捨てに行くのも変な話じゃからのう」


 乱雑だったのか、でも捨てるなら丁寧には…いや難しいな。0〜1歳児をわざわざかごに入れて名前まで書いてある上で捨てるなら丁寧にするくらいは人情として当然だし。赤子を捨てるような人でなしにしてもだ



「どうしてそれを俺に?」



「――クリスは家だとみーさんの話ばっかするからのぅ、憎からず思ってるとは思うんじゃよ。今回そんな大金をキチンと分けて家にまで入れるように言ってくれる人なら信頼出来ると思っての。儂らはこの通りもう歳じゃ、クリスがこの先一人になったら…と心配でのぅ、あの子は良い子なんじゃ。子供びいきであれじゃが真っ直ぐだし優しい子じゃ。でもそれ故に心配だったりするんじゃよ。だからもし儂らに何かあっても見守ってやって欲しいんじゃ」



 クリスが俺の話ばかりって…なんか照れるな。まさか俺に恋を…ってよりはただ無駄に恋愛とは別の濃密な関係になったからってだけの気もするけど



「やたら喧嘩っ早いっすけどね。でもクリスが良い子だってのは分かりますから、同じパーティーなので恋愛的な話はアレですけど俺なりにはちゃんと守るつもりですよ」



「ばあさんは酔い潰れた若い女を若い男が何もせず送ってくれたってだけでもうOK出しとるよ」



何のOKですか?やめて下さい、意識しちまう



「じいさんも元冒険者なら分かるでしょ?そういう恋愛的な話はパーティーやってく上だとちょっと困っちゃんうだよね」



「分かっておる、なので先々の話じゃよ」



本当に分かってるのか?



「なら俺達が魔王倒すか冒険者引退するかまではじいさんとばあさんなは元気で居てもらわないとだ。まずそこですぜ」



「はっはっは、そうじゃのう。まだまだ儂らは大丈夫じゃが一応そういう話を知っといてくれたらって事じゃよ。みーさんのこの先の人生を縛ろうってんじゃないのでな」



それからしばし雑談をしてじいさんとクリス家に戻りクエストへ向うことにした

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