持ち家を手に入れて 8
オープニングの手伝いはとりあえず一旦終了と言うことで翌日クリスとまゆもに不動産屋と話した件について伝える事にした。
二人共部屋に籠もってるな、もう朝って時間でもないが今日は休みモードなのか?朝から音沙汰が無く感じる。
まさかもう出てたりする?とりあえずクリスの部屋に行ってみよう
「おはようクリス。居るかい?」
物音がした、普通に居るようだ
「おはよーみーくん。もう手伝いはいいのかな?」
心無しか元気がないように見受けるが
「ああ、もう大丈夫ぞ。それより昨日の午前中に例の不動産屋に行ったんだよ、その件について話をね」
「おお、話して来たんだね!聞くよ聞くよ、まゆもちゃんも呼ばないと」
一転して元気になりよった。どういう事なのか?まゆもの部屋に行ってそのまままゆもの部屋で会議が始まった。
まゆもの部屋には謎のぬいぐるみが何個かあってそれは本来可愛らしいのだが明らかに雑というか攻撃でも加えたかのような感じでボロっとしてたりしている…この子は大丈夫なのだろうか?
「おそらく今後売れる見込みが無いのだろうと踏んでの事だと思われるけど、リフォーム無しで最低限の掃除はしてもらいたいとした上で2300万にまで安くなっちゃいました」
「おおー!もう買いだね、買っちゃおうよ!早くここから出たいよ、私は」
「うにゅぅぅぅ!買うーぼん、買うぅぅぅぼぅぅん!早くここからアチキを連出してぇえ〜」
ちょっと待て、何があった?
「ええっと、俺も賛成なので今日早速皆で買いに行こうと思うんですが…何かあったのか?」
確かにここはあのクソ女がうるさいとかたまに言って来るし嫌ではあるけど、あの女は殆どここには居ないのでそれなりに慣れたはず。
ここまで嫌がる程ではなかったと思われるが…少なくとも数日前までは
「クリス……」
「うん、私から言うよ。実はね」
俺の居ないこの数日にあの女、シオーニがクリスとまゆもを連れて勝手にクエストに行ってたそうだ。
クエスト内容としては事情を説明してクリスもまゆももクセが強いから軽めのでという事でそれは了承を得たのだが、何とかクエストをこなした後にシオーニはこの二人に色々説教しだしたそうなのだ。
それですっかり落ち込んでしまった二人、というのが今の状態らしい
「何の権限を持ってあの女はクリスとまゆもに意見してるんだ?腹ただしい。そうだな、とっとと出てって縁を切ればもう関わる必要もないから早く引っ越すか」
「そうして貰うと助かるよ。私あの人嫌だよ」
「アチキも嫌ーぼん」
本当、どういうつもりなんだろうか?訳がわからん。
この二人の落ち込みっぷりから察するに説教の内容は二人共濁してたけど相応に酷いものだったと想像できる。
ムカつくがクリスがキレて喧嘩してないのを見るとここは変に遺恨を残すよりとっとと縁を切る方がいいだろう。今日はあのクソ女を見掛けてないしこのまま引っ越しても俺は別にいいまであるし。
こうして俺達は不動産屋へ行き、クリーニングを頼んだ上であの物件を買った。引き渡しは1週間後になるそうだ。
アレだな、良い機会だから旅行でも…しかしまだ例の店がオープンしたばかりだから今ここを離れるのはちょっと心配…なので宿生活でもしちゃうか?クリスはそもそも実家に帰れば…なんて思ってたら
「2人共、1週間ならウチ来るかい?ちょっと狭くなるけど生活出来ない事はないと思うよ」
「クリス家行くーぼん、でもそんなお邪魔しちゃっていいなのか?」
「大丈夫だよ、お金も入れたし期間限定なら問題ないよ」
俺はクリス家に2回くらい泊まってるから知ってるが部屋数は足りなくなるな。 それに女の家に泊まり込むというのもちょっとよろしくない気がするし
「流石リーダー、でも部屋的に足りなくなるだろ?俺は最後まであそこに居座っとくから大丈夫だよ」
今住んでるここの方がこれから引っ越す物件から近いので荷物はまだ置いとくという事から俺だけ残る事にした。
ちょっと不服そうにしてた二人も納得してくれたようだ
「荷物の事考えれば誰か残った方が確かにいいかもね、それにみーくんも…」
「俺も?」
「ううん、なんでもないよ。それじゃあ家に行こうか、夜ご飯作るから晩御飯は一緒に食べようよ。じいさんもみーくんに会いたがってたし」
そうなの?確かにギターフレンドではあるが…仕方ない。いい機会だからまゆもにも弾き語りを披露するか
「みー弾き語り聞くのでぇぇす。まゆももなんか歌うぽん」
まゆもの歌…聞いてみたいけどそう言えばこの世界の定番的音楽とかろくに知らないな
「んじゃ夜にはクリスの家で晩御飯という事で、それまでは…魚行っちゃう?」
「おおー、それは歩き?それとも」
「海行くなのでぇぇす!海が…呼んてるんじゃァァァ」
言い出してみたものの急にあの距離を徒歩はちょっとなぁ
「今日は小指の調子悪いから魔石と魔符を利用しても良いかと思ってるんだ」
本当は歩きたいんだけどこればかりは仕方ない。冒険者稼業は体が資本、無理してはいかんのだ
「そうそう、私もまつ毛がちょっとアレだから今日は…ね?」
「まゆもも異時伝機構のクラストフが3カルノ超えてるから今日は念の為体力温存ぼぉん」
うむ、まゆもさんのはもう本当にヤバいからここは満場一致で貴重な魔石と魔符を使用することにした
釣果はそこそこにクリスがゴールデン鯛に旬の白ブリを釣り、俺はアジ、まゆもは黄昏タコを釣った。クリス様やっぱスゲー
「ここはやはりみーくんに料理してもらおうかなぁ〜」
「クリス様の手料理が食べたいので手伝う方向でお願いします」
「アチキも手伝うぅぅ」
「しょーがないなぁ〜」
こうして釣りはそこそこにクリスの家で晩御飯の支度をする事に。
魚の捌き的なのは俺、決して上手くは無いがやれないことはないので今ではすっかり担当になってしまった。クリスも出来る筈なのにすっとぼけてくるから仕方ない。そしてまゆもは片付けやら興味を示す事をやらせたりして無事完成。
久しぶりにクリスじいさんとばあさんに会ったけど前とは違い物凄く感謝というか歓待された。多分それなりの大金を入れた事が理由だろう
「ご馳走様でした。クリスご飯は美味しいねぇ〜それにしても魚は釣りたてに限りますなぁ〜、引っ越したらマジで生け簀作ろうぜ」
「クリス様の料理を食べれるなんてキミは幸せ者だよ。生け簀かぁ…そうだね、でも海水が無いとだよ?」
それもそうだ
「うーにゅ…魔法で海水が出せぬものか」
出せるのか?まゆもならやれそうな気もする
「対策を考えねばだね。それでは」
「出た、みーくんの弾き語りだね」
「みーくんの弾き語りぼぉぉん」
皆楽しみにし過ぎていたに違いない
「では…楽しみにし過ぎてたと思うので今日は20曲程」
「それはちょっと多いなぁ」
クリスめ、余計なチャチャ入れよって
「では」
こうして俺は8曲ほどやってみせた。セトリとしてはまずまず…と言いたい所なのだがそもそもこの人達は全曲知らないのでまずまずもクソもない。
俺がやる弾き語りは生前にファンだった国民的バンドの曲が殆どだ。そこにセトリとしての妙を楽しんだりもしたい所なのだけど、この曲はシングルで定番とかこの曲がレアとかも通じないのが残念ではあるがケチつけて来る割には楽しんでくれるクリスとじいさんばあさんもノリ良く聞いてくれてる。まゆももテンション上がってくれて俺としては万々歳なクリス家ライブだった。
俺は決して歌は上手くないし基本的には音痴だが生前弾き語りを趣味としてやったり音痴を克服すべく独自にではあるが頑張った事もあり、弾ける曲の範囲であれば最低限程度には音も外さずやれるようにはなってるのだ。
作曲自体は得意なので音痴を消す最終手段は自作曲だったりする。自作曲なら何とでも言えるからね
「良かったぼぅん、アチキは3曲目とラストの3曲のノリノリさが良かったぼぅん。またやってなのじゃ」
うんうん、まゆもさんはノリノリタイプが好きなのですな次回はアレをやろう
「私は前やったあの曲また聞きたかったなぁ〜今度やってよね」
前そんな事言わなかったよね?前の範囲次第では多分30曲くらいやってるからどれだかわからんです
「えっと…どんな曲?」
「アレじゃよ、クリスが家でよく口ずさんでいたやつじゃ。〇〇〜てやつじゃよ」
おお、アレか。何だクリス、バラードが気に入ってたのか
「ちょ、じいさん。口ずさんでたとか言わないでよぉ」
「クリスも素直じゃ、無いなぁ〜。気に入ってたなら言えば良いのにぃ〜何回だって、聞かせるんだぜぇ」
「別にいいからね!そりゃあんなに弾いたら口ずさむくらいするからね」
そりゃそうだがここはもう本当は私聞きたいんだからね!のキャラに仕立て上げてくれる
「アチキも聞いてみたいのでぇぇす」
まゆもさんも興味を持ちましたか、という事でアンコール
「…………」
まゆもさんから反応が無いです…駄目だったか
「こ、この曲は何ていうかねぇ…俺から見ても古い曲だったんだけどライブで見て感動して最初に覚えた曲だからちょっと特別感が俺の中であるしこのバンドの人達にとっても――」
「良かったぼぅぅん、何ていうかちょっと心に響いたぽん」
そ、そう言われるとちょっと照れる…やめて。なんか恥ずかしい
「特別感がある曲だったんだね、通りで」
だからあんまりバラードはやりたくない。因みにばあさんの方は別のバラードがお気に入りだったりする
そんなこんなで遊んでたらかなり遅くなってしまったので今晩はクリスの家に泊まる事になった。 クリスの部屋にまゆもが行き俺は空いてる部屋へ。
そして次の日3人で修行しつつ遊んだりしつつ過ごしてから俺はいつものアパートに戻った




