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MP10の落ちこぼれ魔道士、消費MPゼロスキル【尽きぬ泉】で無限に魔法が撃てたようです~元パーティーはもう知りません~  作者: 黒木菫


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魔術学校に着くと、場は騒然としていた。


(なにがあったんだ!)


「アカシ先生、カグラのやつが反省室の壁を爆破しまして!」


先生たちが慌てふためいている。


「カグラ君!もうこれ以上罪を重ねるのはやめなさい!」


キトウ教頭が必死に説得を続けている。


「うるせえ!オレはこのままじゃ殺されるんだ!道をあけろ!」


遠くのほうで、赤い髪の学生が叫んでいる。


叫びながら、何かを投げた。


(何かが飛んでくる!)


ドカァン!


爆発が起きる。


(まともに受けたら大怪我、下手したら死ぬな。)


「ここは私達の出番ね。」


「だな。」


マチとクノが前に出た。


「大丈夫なんですか?」


キトウ先生が心配そうに声をかける。


「ずっと退屈してたのよ。まあ見てなさい。」


「ライト、サポート頼むぜ。」


マチとクノが駆け出す。


「わかった!」


オレは二人に「身体強化ドーピング」をかける。


「うわあああ!こっちに来るんじゃねえ!」


カグラが石を投げつける。


「クノよけて!」


「おう!」


二人は大きく石を回避する。


その瞬間、爆発がおこる。


「「うわああああ!」」


生徒たちからどよめきがあがる。


しかし、この程度の爆発でマチもクノも止まらない。


あっという間にカグラの近くに詰め寄る。


「なんだお前らは!」


カグラが叫び声をあげる。


「これだけ近けりゃ爆弾は作れないだろ?」


クノはそういうと、あっという間にカグラに足払いをかけ、マチが取り押さえる。


「いっちょあがりね。」


「「おおおおお!」」


「「すげえ……!」」


「「あれがプロの冒険者か!」」


生徒たちから歓声があがった。


「とりあえず、話を聞いてみようか。」


カグラは縛り上げられて連れていかれた。



「カグラ君、なぜあんなことをしたんだ。」


キトウ先生がカグラに話しかける。


オレとアカシも同席している。


万一に備えて、外にはクエスターの仲間たちも控えていた。


カグラは椅子に縛られたまま、床を見ている。


暴れていた時の勢いはもうない。


どこか疲れた、子供の顔をしていた。


「言ったけど、信じてくれなかったでしょうが。」


声が、少し掠れていた。


「そのデスゲームが行われているとかいう夢かい?」


アカシがいう。


「そうだよ。」


「なんだそれ?初めて聞くけど。」


オレはアカシとカグラに確認した。


「ところで、アンタ誰だ?」


カグラが怪訝な顔でオレを見る。


「ああ、このライトさんはプロの冒険者だよ。君を取り押さえた二人も仲間だ。」


アカシがオレたちを紹介してくれた。


「……プロの冒険者。モンスターハンター系の?」


カグラの目が、わずかに変わった。


「まあ、そういうところだよ。」


「そうか。」


少し間があった。


「……なりたいんだよな、オレも。」


ぼそりとつぶやくように言った。


さっきまで爆発を起こして暴れていた男と同一人物とは思えない、素直な声だった。


「モンスターハンターになりたいのか?」


「ああ。このスキルがあれば、モンスターの討伐とかで役に立てると思ってたんだよ。」


カグラは自分の手を見る。


「でも人を傷つけるのには使いたくなかった。今も使いたくなかった。でも……」


言いかけて、口をつぐんだ。


「話してみてくれるか。」


オレはカグラの目を見た。


嘘はついていないように見えた。


「ああ。」


カグラは静かに話し始めた。


「夢の中で、女の声がしたんだ。『お前たち11人に力を与えた。最後の一人になったものの願いを叶えてやろう。』そんなことを言っていた。最初は夢だと思って気にしなかった。でも、ある時また夢に女が出てきて言ったんだ。『よくやった。あと10人だ』って。」


「それで怖くなったのか?」


「ワータが溺れただろ。あの子が水使いのスキルを持ってることは知ってた。水を操れるやつが溺れるなんておかしいだろ。すぐに意味がわかったよ。」


カグラは低く言った。


「それで、イズに相談したんだ。あいつも最近妙なスキルを覚えたって言ってたから。」


「それで?」


「あいつも同じ夢を見たって言ったんだ。お互い気をつけようって別れた。それだけだよ。」


「なのになぜ、レイズに攻撃されたんだ?」


「わからない。次の日、急にあいつがオレを殺そうとしてきやがった。『あんたが私を殺そうとした』とか言ってさ。身に覚えがないのに。助かった理由もわからないけどな。」


カグラはため息をついた。


「それで、今日の騒ぎはなぜ起きたんだ?」


「反省室で勉強してたんだよ。」


「……勉強?」


「何が悪いんだよ。やることなかったんだから。」


カグラはむすっとした顔で言う。


(意外と真面目なんだな、この子。)


「そしたら、机の上の鏡に人が映ったんだよ。マスクを被ってたから誰かはわからなかったけど、体つきからして多分男だ。刃物みたいなものを持ってた。」


カグラは身振り手振りで説明する。


「椅子から咄嗟に逃げたからよかったけど、逃げてなかったらオレは殺されてた。だから手近なものを爆弾にして壁を破壊して逃げたんだよ。それだけだよ。」


「なるほど。相談する暇もなかったと。」


「そうだよ。部屋に急に現れるやつだぞ。防ぎようがねえ。」


カグラは疲れたように背もたれに頭を預けた。


「信じてもらえると思ってないけど。」


静かな声だった。


オレはその言葉を聞いて、不安を感じた。


「レイズは今も反省室にいるか?」


オレはアカシに確認する。


「すぐに確認しよう。」


アカシは慌てて部屋を出ていった。


しばらくして——


「みなさん来てください!カグラもだ!」


オレたちはアカシに呼ばれて、レイズの部屋に向かった。


そこにレイズはいなかった。


ついさっきまで本を読んでいた、とでも言うように机の上に本が開かれたまま、レイズの姿だけが忽然と消えていた。


カグラが、低くつぶやいた。


「だから言っただろ。」


そして、ついに犠牲者が出てしまう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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