7話 異世界の現状 2
とにかく戦力の確立が最優先であった。
出来るだけ早急に、とにかくまずは数を。
そこから新地道の防衛は始まった。
民間販売されてるものの改造から始まり、それらでとにかく数を賄っていった。
同時に様々な事が行われていって。
当面は間に合わせの兵器でどうにかするしかなくても、この先もそのままというわけにはいかない。
戦闘を目的として作られた兵器が必要になる。
敵の攻撃を凌ぎ、敵を粉砕出来る戦闘力を持ったものが。
それらを作る為の研究開発が始まっていった。
とはいえ、全てを何もない所から作る事など出来るわけがない。
様々な基礎研究を土台として、それらを応用していかねばならない。
そんな事をしている時間などない。
その為、日本本土から賛同してくれる者達を少しずつ少しずつ新地道に招いていった。
現役の研究者などはさすがに無理だが、定年退職した者などに声をかけ、とにかく最低限の体制を作り上げていった。
同時に、後進の育成のために教育部門を確立していった。
今現在だけが良いだけではどうにもならない。
作り上げたものを受け継ぐ者が必要になる。
5年、10年と先を見据えれば、若者の教育は必要不可欠だった。
その為に教育者も可能な限り多く招聘した。
また、現時点でも精算出来るものはとにかく増産した。
歩兵銃に機関銃、機関砲。
ロケットランチャー(バスーカ)に無反動砲、迫撃砲。
これらには優先的に予算がまわされ、増産体制が作られていった。
市販されてる車輌に、鉄板を増設して作られる簡易戦闘車両も大量の揃えられていった。
空と海も同様に戦力拡充が求められていった。
こちらも当面は市販されてるものへの改造でまかなわれていった。
軽飛行機に機関銃を搭載しただけの戦闘機。
比較的小型な旅客船の船体に、武装を施しただけの戦闘艦艇。
レーダーもソナーも一応はついているが、それらの性能も高が知れている。
特にソナーは魚群探知機に毛の生えたもの、という有様だった。
使えないわけではないが、軍用のものと比べたら泣けてくるような代物であった。
ただ、異世界においては、海中を進む潜水艦はいない。
いるのは海に生息する巨大なモンスターで、それらを発見するならこれで充分であった。
だが、客室を大幅に削り、武装を搭載する場所を作ったとしても、所詮は民間船舶の改造である。
そんなものが本当に初期の新地道の戦力であった。
こういった状況を打開するために、とにかく研究開発が進められていった。
なのだが、兵器の研究開発には時間と金がかかる。
ものによるだろうが、早くても数年。
10年から20年とかかるものもある。
そんな時間をかける事など出来なかった。
なので、既存兵器の改良・現代化したものを用いていく事になった。
本土では既に退役したものの再生産である。
旧式兵器、と言っても良い。
旧式であっても、実際に使用されていたものである。
同じように作れば、同じように動いてくれる。
まっさらな所に新しいものを作るより確実であった。
もちろん、古くなってる部分をそのまま用いるつもりもない。
新地道の実情に合わせて改修をしていく事にもなる。
それに、技術が発展して、昔のままの部品を使うわけにもいかなくなってもいた。
特に電子的な部品は発展が著しい。
同じ性能の物を作れば、大幅に小型化出来てしまう。
こういった部分は積極的に改良改善していった。
部品が古すぎて新たに生産するのが手間だというのもある。
この結果、性能的には1世代も2世代も後退する事となった。
少なくとも土台となる兵器は旧式であるのは否めない。
だが、中身は現代に近づいたものであるので、相当な性能向上を果たす事にもなる。
総合的に見れば、それなりの性能に落ち着いてると言えた。
にも関わらず、比較的早く数も揃える事が出来たので、それなりの戦力の確保が出来た。
これらを使いこなす要員の育成の方が時間がかかったくらいである。
兵衛府に優先的に配備されたこれらは、敵に対して有効な攻撃を仕掛けていけるようになった。
その後も改善と改良を続け、現在の戦線を維持する役目を担っている。
これらの兵器に共通するのは、量産性と整備性であろう。
現時点で生産出来る部品で作る、という事が重視されていた。
それも、特注しなくてはならないようなものではない。
可能な限り一般的に出回ってるような製品の比率を上げて、部品の調達を容易にしていった。
日本本土に比べれば工業力が低い新地道にとって、容易に交換部品が手に入るというのは重要だった。
それに、人口が少ないために、生産に割ける労働力にも限界がある。
出来るだけ少ない人手で大量生産するためには、職人技が求められるような高度な部品など論外だった。
このため、必要な部品の量産が容易く、壊れてもすぐに交換できた方が都合がよかった。
ろくに訓練も受けてないような者が整備をしなくてはならないので、こういった兵器を作らねばならなかったとも言う。
これらの兵器の性能は、地球の最新鋭に劣る部分が多々ある。
それらともし戦えば、まず確実に負けるだろう。
元々が旧式兵器だったのもあり、性能向上にも限界があった。
しかし、異世界にあらわれた敵にはそれで充分な能力ではあった。
モンスターを相手にする時もそうであるが、人間が手に取る兵器の質の方が上回っている。
一対一で戦えば負ける事は無い。
人類にとって旧式兵器(の改修改良型)であっても、敵に対しては過剰な戦力となっている。
それだけに、下手に最新型を生産して金と手間をかける必要もなかった。
それに、何と言っても数が足りない。
下手に種類を増やして生産能力を圧迫するより、同一の道具を可能な限り多く作る事が求められている。
戦闘機、戦車、艦船の全てにおいてだ。
どんなに質が高くても、数の多い敵には負ける。
その数において、敵は圧倒的に凌駕している。
一度の攻撃で殲滅しても、すぐに補充がなされる。
その為、どうしても攻めあぐねていた。
それは敵も同じで、押し寄せても確実に殲滅される。
防衛拠点に立て籠もり、航空攻撃で援護された人類側も相当な粘り強さを誇る。
どちらも決め手を欠いたまま戦闘を続け、前線は硬直状態に陥っていた。
20:00に続きを出す予定




