6話 異世界の現状
戦況は決して良いものではなかった。
むしろ、少しずつ劣勢になってると言える。
別大陸にある大穴から出て来た敵。
それは数多く、大穴周辺はそれらの作る施設で覆われている。
数も膨大で、日本側(正確にはほぼ異世界の者達だけ)の繰り出す兵力だけではどうにもならなかった。
及び腰というか、この期に及んで反戦だのまずは意志の疎通をと繰り返す。
交渉の為に接触を試みた調査団が、いずれも全て虐殺されてるのを知ってもだ。
そんな日本政府など頼みとする事は出来なかった。
そもそもとして自衛隊の兵力が過小過ぎる。
地球側の本土防衛もままならない少数兵力を、更に異世界に展開出来るわけもない。
異世界の地方自治体である新地道と道民は、目の前に脅威に自分達だけで対処せざるえないと覚悟した。
そして新地道は独自に敵に対抗をしていく事になる。
所詮は地方自治体、出来る事は高が知れてはいる。
しかし、何もしないで脅威が増大するのを見てるわけにはいかなかった。
本国を無視した独自の経済・産業政策、軍備増強を開始していった。
もともと本国から遠く離れてる事と、モンスターという脅威があったので、これらは既にある程度確立はしていた。
それらを更に増強して事にあたっていった。
現地に駐留してる自衛隊も、可能であるなら吸収していった。
少なくとも、新地道の邪魔はしないよう協力を取り付けていった。
現地住民や企業にも事態を説明し、協力を仰いでいった。
資金や資本の供出まではいかなかったが、防衛にあたって必要な措置の邪魔だけはしてくれなと。
今後、どうしても軍備に手間も予算も割いていかねばならないので、経済・産業方面での援助などがしにくくなる。
それだけは納得してもらわねばならなかった。
これについてはやむを得ないという事で民間は承諾していった。
ただ、兵衛府とそこに至るまでの中継地建設などが、少し形を変えた開拓地建設にもなった。
人が入れる場所を作るという意味では、これらも効果があった。
それに、中継地となる別大陸での港などの建設は、新たな大陸への足がかりにもなる。
そちらでの開拓・開発のきっかけにもなったので、これはこれで成功と言えるかもしれなかった。
そうまでしても、展開出来る兵力に限りがある。
もともとが地方自治体である。
税収そのものに限りがある。
その中でのやりくりには自ずと限界が発生する。
産業も本国に比べれば小さなものである。
開拓中という事もあり、収益が見込めるほどに成長してないものも多い。
人口も、独自に行動するにはいささか少ない。
人口は1500万を超え、2000万に迫ろうとしているが、目の前にあらわれた脅威に対するには心許ない。
この数がそのまま兵力になるというわけではない。
無理なく動員できる兵力は、およそ10~20万といったところ。
これらの中から可能な限り前線に送り込んではいるが、それでも5万人余りを兵衛府に貼り付けるのが限界だった。
他の方面にも、モンスター対策としてある程度は配置しなくてはならないからだ。
この5万という兵力で相対するには、敵の数は余りにも多かった。
敵は自分達が出て来た大穴の周辺を覆うほどの巨大な施設を建造している。
それが出来る程の工業力を持っている。
また、それを成し遂げるだけの数を展開している。
衛星写真や航空写真などで確認したところ、動いてるのは機械だけである。
人間はもとより、生物らしきものの姿はない。
だが、機械はどんな指示を受けてるのかしらないが、ただひたすらに施設の拡大を行っていく。
そして、そこから大量の機械が増産されている。
広大な施設が何らかの生産設備であるのは間違いがない。
それが、直径10キロの大穴を更に取り囲むように展開していっている。
何もしないで放置すれば、生産力は更に跳ね上がり、対処出来ないほどになってしまうだろう。
今のうちにそれを少しでも削いでおかねばならなかった。
なのだが、思っていても簡単にできるわけもない。
広範囲に攻撃を行う為の兵器が全く無い。
大穴周辺の敵の施設を都市とみたてるならば、その都市そのものを破壊せねばならない。
その為の武器が存在しない。
自衛隊ですらそうそう揃えてるというわけではない。
敵の拠点である大穴周辺の施設を破壊するための手段がなかった。
何より、そこに到達する手段がない。
戦力といえるものは自衛隊だが、これは政府のものであり、地方自治体の新地道が動かせるものではない。
動かすにしても、あくまで防衛目的となる。
領土がおびやかされた時に出動を要請するだけだ。
それも、部隊の一部を動かしてもらうだけで終わってしまう。
もっとも、異世界に蔓延るモンスターなどの脅威を考慮し、新地道に限ってはこの範囲はかなり緩和されてはいる。
それでも、新地道が好き勝手に動かせるものではない。
企業の武装部隊も同じである。
これらは各起業が独自に創設・編成したものであり、新地道自治体が動かせるわけではない。
要請や依頼をして、企業が同意すれば協力はしてくれるだろう。
だが、新地道が好き勝手に出来ないというのは変わらない。
そもそもとして、これらはモンスター対策としての戦力であり、あらわれた敵に効果的かどうかは分からない。
武装も軍隊に比べれば軽装であり、戦力としては貧弱と言える。
戦闘車両でいうならば、戦車などはほとんどない。
一部に装甲車があるが、それほど普及はしていない。
野外走行が可能な一般車に機関銃を取り付けた程度のものがほとんどである。
そこそこの攻撃力はあるが、それがどれほど効果があるか分からない。
そして、防御力は皆無と言って良い。
敵が攻撃してきた時、どれほど防げるか分からない。
こうした無い無いづくしのところから、どうにか兵力と言えるものを構築せねばならなかった。
そこに加えて数の劣勢である。
ここ最近はそれなりに戦えるようにはなってきた。
しかし、いまだに戦力は不十分である。
劣勢はやむをえないものだった。
説明回。
今後もこういうのが発生するかと。
でないと話が進まない。
続きは明日の予定。
予定は未定で決定ではない事をご了承を。
誤字脱字の報告、感想などはメッセージにて。




