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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
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エクルの村と碧海の森 その1

ぼ~っと好きに物語を書いているうちに、お気に入り登録を60超していただいていました。

本当にありがとうございます。ご都合主義の物語ではありますが、少しでも気にしていただける物語になれば、嬉しいです。

 


「・・・ん」


 寝返りを打って、毛布をかきあげる。感触の違いに気づいて目を開けると、そこには枕元で丸くなっていたアンバーが気配に気づいてこちらを向き、足元の扉の内側に臥せっていたスピネルが、私の方に向かってやってきた。


 そっか、ここは神域じゃないのね。


 体を起こすと、対面のベッドにヴィオラが横になっており、まだ健やかな寝息を立てている。綺麗に仰向けで眠っているが、身体は痛くないんだろうか? 昨晩アンバーから受けた傷は、今だにヴィオラの顔に勲章のように残っている。治そうかとも思ったのだけど、


『過ぎたお酒を後悔するためにも、ご自分で確認されてからの方がよろしいかと存じます』


 という、アンバーの絶対零度の言葉に従うことにした。ツンデレは可愛いけど、他の人には容赦ない・・・。

 部屋の中はまだ薄暗がりだが、木戸を閉めた窓の隙間から柔らかく白い朝の気配が見えている。早そうだけど、朝だよね?


 起き上がってブーツを表示させた後、リュックの中からタオルとハミガキセットを取り出す。鼻を押し付けてきたスピネルの頭を軽く撫でて挨拶をしてから、アンバーに肩に乗るように促した。ベルトポーチにリュックをしまい込んで身に付けると(空間拡張・重量無視の機能があるので、出来る技)、ヴィオラを起こさぬように身支度をするべくこっそりと部屋を出る。


 あれから強かに酔っ払ったアランは、いくら呑んでも顔色が全く変わらないゴードンが介抱しつつ部屋まで連行されていた。

 ヴィオラは少しのお酒で幸せそうだったのだが、お酒が入って気が大きくなったのか隣に座った私に嬉しそうにベタベタと触り始める。それを気に入らないアンバーが猫パンチの攻撃を始めたが、ヴィオラにとってはどこ吹く風、傷だらけになりながらも今度はアンバーを羽交い絞めにし始めた。それには猛抗議を始め、結局ヴィオラの顔は今や傷だらけなのである。

 あのままでは抱き枕になりかねなかったのだが、アンバーを羽交い絞めにしたまま寝入ってしまったので、再度訪れたゴードンに部屋に運んでもらい(細身の体に似合わず、軽そうにヴィオラをお姫様抱っこしていた)、アンバーもスピネルも監視してくれて私は安らかな眠りを得ることができたのであった。ヴィオラはアンバーに天敵認定されたのだけどね・・・。



 ゆっくりと階下に降りていくと、薄暗い食堂の奥にある厨房に明かりがついていた。

 店主兼調理人のベイクと女将のターナが朝食の準備をしているのだろう。

 昨晩部屋に戻る時にターナに教えてもらったのだが、宿屋は素泊まりもできるが、基本朝夕食付きなのだそうだ。今『森のかまど亭』の宿泊客は私達だけだったが、村の者でも独り身の者なども食事に訪れるので、この店は宿屋兼食堂といった店ということらしい。

 階段を下りてきた私に気づいたのか、ターナがテーブルを拭きつつそっと挨拶をしてくる。


「おや、おはようジーナ、随分と早いじゃない。どうしたんだい? 枕が代わって眠れなかった?」

「ううん、すごく眠れたの。でも目が覚めちゃったから、顔洗ったらお散歩してくる」


 私の言葉に手を拭きつつ近づいてきたターナは、少し眉を潜める。


「そんなに広い村じゃないから迷わないとは思うけど、一人で大丈夫? ついていってあげたいけど、あたしは朝食の準備をしなきゃいけないし・・・」

「大丈夫、スピネルやアンバーもいるから」

「そうか、随分と勇敢なボディーガードだったしねぇ」


 昨晩ヴィオラから私を守っていたアンバーの活躍を見ていたので、ターナは苦笑しながらアンバーに目をやる。アンバーは聞こえないふりをしてそっぽを向いた。私のサラサラの髪を撫でながら、ターナはとびきりの笑顔を見せる。


「もう2刻半程したら朝食は食べられるから、それまでには戻っておいでね? あんた達の分も用意しておくからさ」


 ターナはスピネルにも笑顔を向けてから、作業を続けるべく戻っていった。 

 何が出てくるんだろう? 昨夜の鶏肉のトマト煮込みは素朴ながら素材の味わいがとっても美味しかった。ポテトサラダもジャガイモの食感を残しつつもねっとりとした舌触りがとても私好みだったし。但しマヨネーズで和えていなかったところが現代のポテトサラダと違っている。もしかしたら、マヨネーズ自体がないのかもしれない。油や砂糖の精製技術もそんなに発展している時期ではないし、そこまで求めてはだめだろう。むしろ塩や素材の出汁を活かして調理されていたベイクの腕を賞賛したかった。

 そのうち薬だけじゃなくて、調味料も普及させるべきだよね。いっそどこかの街でお店でもしようかな?


 考えつつ宿の中庭にある井戸に行き、汲み上げた冷たい水で顔を洗って歯を磨く。

 洗浄(クリーニング)の生活魔法で昨晩綺麗にしてはいるけれど、やはりこういうものは気分の問題。それに洗った方が水の冷たさで目が覚めるしね。

 水鏡を出して髪を梳き終えると、道具をしまってマントを表示させる。

 さっきまではベッドで眠っていたので脱げないマントとブーツを非表示にしていたけど、さすがに薄暗い早朝の村を散策するのにチュニックとレギンスだけでは寒いだろう。

 そうしてそのまま裏口を出て、私は昨晩できなかったエルクの村の散策に出かけたのだった。



 村の大きさはターナが言っていたように、そんなには大きくなかった。

 30分(一刻)ぐらいで回れるぐらいの広さで、中心部に住宅がある程度集まっておりその周りを小さめの畑が取り囲んでいた。神域の畑ほどの種類はなかったがそれなりの野菜も育てられており、見た所宿屋兼食堂と雑貨店らしき建物以外店らしいものがなかった。つまりは各々の家は大なり小なり畑を持っており、外貨を稼ぎたい場合はターナ達や馬車でやってくる商人に売っているのではないかと想像される。物々交換かもしれないけど。

 住民はすでに起きているものが多いのか、それぞれの家の煙突から煙がたなびいていた。

 どんな物を食べているのか興味があったが、まさか一々「突撃お宅の朝ごはん!」をするわけにもいかない。スープらしい香りが漂ってはいるが、諦める。なんだか意地汚いな、私・・・。


 と、昨日村に来る途中で薬草を発見していたことを思い出す。あの時はアランに邪魔されたが、今なら眠っているし私は一人だ。朝食にはまだ1刻半あるので、マントとブーツの機能を活かせば行って帰ってくるには十分だろう。

 あ、フレイムウルフをインベントリーの中で放ったらかしにしている事も思い出した。・・・とりあえず、薬草を採取して朝食を食べてから考えよう。


『碧海の森』へ向かう村の境界線の塀まで行くと、辺りを伺って人の気配がない事を確認し、頭の中で地図を起動させる。地面を軽く蹴ると、まるで飛ぶように森に向かって突っ込んでいった。

 村人や冒険者が切り開いたのか獣道のような道を低空飛行で突っ切り、マーキングをチェックして目的の場所にはあっという間に着く。私の後を遜色ないスピードでついてきた二人が、魔物を警戒してくれている間にしゃがみこんで採取を始めた。

 神域ではまだ見たことがなかった薬草で、マジョラという植物らしい。丸く手のひらぐらいの大きさの葉っぱが特徴で、少し癖のある赤紫の鈴生りの実が毒消しに用いられる。

 この薬草の薬効なら、体力回復剤のようにみるみる傷を直して驚かれるという事もないだろう。

 毒消しなら本当に毒を消すだけでなく、食当たりや内蔵の改善にも役立つ。幸いな事に、この世界では現代のように内視鏡やMRIなんか使わないから、私の薬が特別(チート)でも良く効く薬で通るだろう。

 一本を根ごと丁寧に採取して、インベントリーに仕舞う。これは神域に持って帰って栽培する為の物で、神域の畑で少し増やしてみたいのだ。

 まだマジョラは群生しているので、取り過ぎないように少しずつ全体から採取して両手の平に一抱えほどになると、これもインベントリーに仕舞う。薬を作るのには少し少ないかもしれないが、私には新しいスキル【複製(コピー)】があるのだ。どんなに少しだって、あっという間にネズミ算に増えてゆく。

 という訳でインベントリーの中で山のように増やしたマジョラの実を、ある量再び取り出し、劣化精製(水球を使って煮出すバージョン)を始める。10本ぐらい出来上がった人差し指サイズのスピッツ(血液検査の時に使う採取用のケース)みたいなものを鑑定(みて)みると、


【名称:マジョラの水溶液 (level5 ランクB)  毒消し薬用水溶液  品質保証期間:3ヶ月】


 神域の植物ではないせいか、少々ランクが下がっている気がする。ともかく、味見。

 むぅ・・・。薄い出がらしのダージリン紅茶みたいな味と、どうしてだか渋いような苦味がする・・・。仕方がない、果物でも混ぜよう。

 インベントリーの中から林檎(アプル)の実を取り出す。紅茶っぽい味ならばアップルティーにすればよい!

 さっそく水溶液とアプルの実を調合(ミキシング)すると、


【名称:万能毒消し (level5 ランクA) 大体の種類の毒を消すことが出来、症状を改善させる 品質保証期間:6ヶ月】


 あれ? またランクが上がってる? 神域のアプル使ったからかな? まぁいっか。


 残ったマジョラの実やアプルの実を取り出し、全部調合させる。

 さすがに薬を複製(コピー)する気になれない。MPは無限にあるわけだし、製作者としては責任をもって薬を出したいからね。

 少し残しておいたマジョラの実を、再びインベントリーの中である程度増やしておいてから立ち上がる。そろそろ戻らないと、ターナやアラン達が心配するだろう。それにベイクさんの朝食が待っている♪


 帰り道にまた見つけたバワの実も収穫しつつ、私はエクルの村へと急いだ。

 私は時間通りに戻ったのだが案の定ターナが過剰に心配し、どうしてだか短いお説教をいただいた事を追記しておく。

 幼児って、保護欲が刺激されるのか動き辛いのね・・・。





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


すぐにでもオーキッドの街へ行こうと思っていたのですが、もう少しエクルの村でのお話を書いてみたいと思います。とっても大雑把なプロットなので、作者ですらどこへ向かうのか解りません・・・。

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