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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
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ローシェンナに向かって

やっと独り暮らし脱出しました。

 

 ついに、この日がやってきた! 今日人型の地に行きます!!



 エンデワースの様子もいい感じで、主導者の下安定した生活をしているようだった。

 三つの国同士で交流があるのかまでは分からないけれど、少なくとも領土争いはしていないし各領土は樹海のせいで狭まったとは言え広いので、もっと国として発展して人口が増えない限りは大丈夫に見える。まだ人型が入り込んでいない山や樹海もあるし、海だって広がっている。

 もしこの先問題が発生したとしたら、こっそり領土を広げるというのも手かもしれない。


 昨晩ベッドの中で『る○ぶ エンデワース <ver.5>』もチェックしたし(いつの間にかアップデートしてた)、持っていくものもインベントリーに入れた。

 万が一何かあっても、最悪リターンで戻ってくればいいのだ(あとのフォローが大変そうだけど・・・)。


 次に何を着ていくのか迷っていたのだが、女神様がいきなり街の近くには飛ばせないと言っていたのでやはり冒険者セットにしておく。

 普段着で狩りや採取には行かないだろうし、そういう格好の方が旅人?っぽいだろう。見た目にもそんなに派手な物でもないし、多分一般的な子どもに見えるはず・・・。

 裏?には部屋着よりは、落ち着いた感じの色の街着を見つけて身につけておく。これも『最新ファッションカタログ エンデワース版』を見て選んだ。上流階級の裕福な身分はそれなりのドレスみたいな格好だったけれど、普通の街の人はそんなにカラフルな服装ではなかった。それに中世ヨーロッパの街に、チェック柄や迷彩服やキャミソールといった格好で行ったら捕縛されるのがオチである・・・。

 いろいろ悩んだ末、普通の青のワンピースに生成り色のエプロンドレス、ワンピースとおそろいのリボンカチューシャ、キャメルのショートブーツといった格好にしてみた。

 気分はアリス・イン・ワンダーワールド。不思議の世界には既に来ているし、連れてきてくれたのは忙しいウサギではなかったけれど、ワクワクドキドキな世界は同じはず。

 何度も言うようだが、リアルの世界の私にはどう転んでも似合わなかったアリスの服が、この世界のニーナなら誂えたようにピッタリなのだ。これでダイナ(アリスの飼い猫)のぬいぐるみでも抱えていたら完璧だね。あ、アンバーがいるね。


 冒険者セットの方を表示させ、リュックとベルトポーチを身に付ける。

 リュックの中には、見える所に初心者冒険者セットの中身を入れておく(カムフラージュのため)。アクセサリーは今回もインベントリーの中に仕舞っている。能力をまだ検証できないのと、人型の地の治安がどれほどのものか分からないからだ。日本人が海外旅行に出かけて犯罪に巻き込まれるのはよくあることで、平和ボケしてしまっているせいで盗難や強盗に対応できないのが理由だろうけれど、自分から極力そういう目に遭わない努力はしておくべきだと思う。

 一応用心のために腰に普通の短剣を帯び(初心者冒険者セットの中に入っていたもの)、左腕の手甲(ガントレット)は非表示にしておく。狩りに出た時にしか使わないので、とりあえずは必要ないだろう。スピネルやアンバーもついてくるしね・・・。



 今回向かうのは、地人の地ローシェンナ。

 この神域からは大体西に位置するローシェンナは、周囲をのどかな田園風景囲まれた豊かな土地らしい。今の所大きな災害にも魔物の団体にも襲われておらず、順調に発展している。いくつかの都市が出来た時点で発展のスピードをリアルタイムに変更したので、これからはゆっくりと進むはずであった。

 ローシェンナは王政を敷いており、正確に言えばローシェンナ王国だね。世襲制で今収めているのはオーディル・ユタ・ローシェンナという人が王座についている、と『る○ぶ エンデワース』に書いてあった。

 文明的に言えば中性のヨーロッパか日本の江戸時代ぐらいのレベルで、ギルドなどもできているようである。

 予定としては、薬草とか水薬や軟膏を売りたいので、(あれば)薬師ギルドに登録したいものである。この世界では錬金術は胡散臭いものになってないといいのだけれど・・・。


 玄関を出ると二人が犬猫の姿で待っていた。

 人の姿でも良かったのだけれど、誰かに会ったり門番の人に聞かれた場合、私一人よりも面倒なことになるような気がしたので動物の姿になってもらっている。必要なら中に入ってから人の姿になればいいし、意思の疎通は念話で充分。普通に話すことも出来るけど、私が望んた通り犬猫での会話はどうやら他人からはワンワンニャーニャー鳴いているだけで(アンバー談)、幼女がペットに話しかけているようにしか見えず、問題ないのである。


「二人共、よろしくね」

「私も神域(ここ)を出るのは初めてですが、ご主人様(マイ・ロード)に誠心誠意お仕えさせて頂きます」

「深く考えるのは得意じゃないけど、身体を動かすのなら僕に任せてね♪」


 頼もしく私の左側に立つスピネルと、その背に乗るアンバー。一人じゃないって言うだけで、勇気が出る。

 嬉しくて二人の頭を撫でると、肩に担いだリュックの紐を両手でぎゅっと握って門へと歩き出す。門の前に立ち止まると、蔦の絡まるアーチを見上げた。


「ローシェンナに向かいます!」


 白かった看板がくるりと回転し、(多分)こちらの文字で『ローシェンナ』と書かれたものに代わる。

 深呼吸をして門扉を見つめると、ゆっくりと開けて一歩を踏み出した。






 踏み出した先は、見知らぬ森の中だった。

 入口付近ではなく奥の方なのか、薄暗い木立の中で日の光があちこちから漏れて輝いている。ピチュピチュ、カカカと姿の見えない鳥の鳴き声も聞こえた。振り返ってみても、私が通ってきた門の姿形すらない。一方通行のどこでもドアをくぐったような気分だった。


 遠くでガサガサと木の枝を揺らす音は聞こえるけれど、その姿は未だに見えない。

 実を言えば、神域の中では鳥の姿どころか他の動物は蜜蜂達にしか会っていなかった。なので、もしこの森で出逢えば第一森動物発見?である。

 急に何かが現れた時に混乱しないためにも、頭の中でいくつかのアプリを同時に起動しておく。

『エンデワース国語辞典』『困らないための植物の見分け方』『分かりやすい動物・魔物図鑑』『エンデワース世界地図 最新版』『る○ぶ エンデワース vol.5』ぐらいかな?


 私の周りを警戒して展開していた二人が戻ってくる。


「周囲100m以内に危険な生き物はいないみたいだ。近くの街に向かう?」

「一番近いのがエクルの村ですね。村を超えて4日ほど歩けばオーキッドの街があります」

「んー、とりあえずエクルの村に向かおう。いきなり大きな街に行っても人型達の反応が分からないし、少しでも生の情報が仕入れられるならそれに越したことはないと思うの」


 私の答えに二人は頷くと、スピネルが先導するように左手の方向に歩き始めた。私も慌ててそれに着いていくとアンバーがタタタッと側に寄ってきて、私を守るように歩みを合わせる。

 アンバーの小さな身体では歩数がメチャメチャ多くなっていて必死そうに見えるので、しゃがんでその体をすくい上げる。申し訳なさそうに頭を垂れたあと、「失礼させて頂きます」と私が促した肩の上に乗った。


 途中アプリの図鑑に反応してマーキングされた果物を見つけ、少し収穫してみる。

 やっぱり神域とは違って再生(リポップ)しないのが、何だか新鮮に感じてしまった。特別(チート)に慣れてしまったみたいで、反省・・・。

 道中三人でその果物を齧りつつ道を進める。

 バワと言うその実はオレンジ色の果実で、中に大きめの種が幾つか入っている、拳より少し小さめの物だった。私の記憶を探ると、枇杷の実に似ている。熟した果肉が甘く、適度な歯ごたえがたまらない。種を取り出すのが面倒と言えば面倒だけど、でも美味しさには勝てないね。


 自分の分を食べてしまい顔を洗っていたアンバーが、不意に気配に反応して視線を先に向ける。スピネルも既に解っていたのか、進む足取りが慎重なものに変わっていた。

 私の頭の中で新しいウィンドウが右上に立ち上がり、簡易的な地図と方眼桝が表示されその中のしばらく進んだ前方で、三つの黄色い反応とそれを取り囲むかのように展開している赤い反応が幾つかある。

 これは黄色い反応が襲われてるっぽい? 黄色って何だろう? 敵? 味方?


 初めての警戒表示に心臓をバクバクさせながら、まだ見えない木と茂みの向こうを見つめる。


 どうしよう? どうしたらいい? 私達に対応出来るのかな? でも普通に弱肉強食の世界だったら、介入しない方がいいのかな?


 疑問符が乱れ飛ぶ中で、スピネルが体制を低くし始めた。


ご主人様(マイ・ロード)、人型が魔物に襲われてる。どうする?』


 警戒の為か、念話で話しかけてくる。人型が襲われてるの?! 「どうする?」って言われても?!


『ど、どうにか出来るの? 大丈夫?』


 まだ混乱しつつ答えると、スピネルは勿論というように頷いた。

 しばし躊躇してしまう。エンデワースに大きな影響を与える事は控えなければならない。でも目の前の事態を何とか出来るならば何とかしたいと良心が言ってる。大した事ではないと思っていても、将来それがどう転ぶか分からないので創造主としては慎重に行動しなければならないのは確かなんだけど。でも・・・。


「行くわ、助けよう!」


 その方向を見て決心すると、待っていたかの様にスピネルの姿があっという間に茂みの中へと消えてゆく。それを追うように私とアンバーも駆け出した。

 舗装された道路とは違い、凸凹した土の道なき道を走る。石や草の株があったり脇から伸びる低木の枝に遮られながら、それでも出来るだけ急いだ。幼女の足なので走った所でさほど変わらないはずなのだが、気のせいか体が少し浮いて飛んでいるような気もする。そんな魔法は覚えた事も使ってもいないのでおかしいのだが、もしかしたら女神様装備の特殊能力なのかもしれない。しかしそんなことを考える余裕もなく先を急いだ。

 と、向かう先で女性の悲鳴が聞こえる。


「スピネル!!」


 ウォーーン!!


 視界の遥か先で、唸るようなスピネルの咆哮が森の中に木霊した。





最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。


これからやっと、物語的には勧めていけると思っています。

拙い文章ですが、読んでいただけたら幸いです。

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