「黎明会」
人間たちが暮らす星ーーハルモニア。
そこはかつて、 人類が世界の頂点に立つ平和な星だった。
だがある満月の夜。
突然空が裂け、漆黒の闇の中から異形の存在が現れた。
紅い瞳。 鋭い牙。 人間を遥かに超えた身体能力。 どれだけ傷ついても再生する不死に近い生命力。
ヴァンパイア。
彼らは遥か彼方の星カルミナからやってきた、 人類とは異なる生命体だった。
カルミナでは動物の血を糧に生きていた彼らだったが、 長い年月の果てに星は滅び、 新たな血を求めてハルモニアへ辿り着いた。
そしてヴァンパイアたちは知る。
人間の血は、 どんな生物よりも強いエネルギーを持つことを。
ヴァンパイア達は人間を襲い始め、そんなヴァンパイアに人間は太刀打ちできず、多くの人間がヴァンパイアの餌になっていった。
人間とは力も速さも命の強さも違いすぎた。
人々は絶望し、恐怖に怯えていた。
もう平和な日々は訪れない、ハルモニアの明るい未来は途絶えた。
誰もがそう思っていた時ーー。
ある日眩い光を放ち、空から守護天使が舞い降りた。
純白の翼を持つ天使たちは、 人間へヴァンパイアを滅ぼす武器を授けた。
聖銀の刃。 祝福された銃弾。 天使の力を宿した杭。
それらは、 人間がヴァンパイアを殺す唯一の力だった。
守護天使から授かった武器を使い、人類はヴァンパイアに反撃を始めた。
ヴァンパイアに対抗するため、 人類は組織を作った。
その名は――黎明会。
守護天使への信仰を掲げ、 ヴァンパイアを狩る者たち。
彼らのおかげで、 人々は恐怖を抱えながらも平和に暮らしていた。
黎明会があるおかげで、ヴァンパイアは無闇に人を襲わなくなった。
けれど、それでも強いエネルギーを持つ人間の血を求めて、人間を襲おうとするヴァンパイアもいた。
黎明会は真の人類の平和を取り戻すべく、ハルモニアに住む全てのヴァンパイアの粛清を目指していた。
ヴァンパイアは人間の敵で、人間はヴァンパイアにとって上質な餌であった。
そして今日も、人間を襲うヴァンパイアをハンターである一人の少女は粛清していた。
黎明会でも凄腕のハンターである凛は、迷いなくヴァンパイアを狩っていく。
ヴァンパイアは人間の敵。人間を喰らう怪物。だから決して理解してはいけない存在。
そう思っていた。
ーーあの日までは。




