〜テンの羽化〜
研究室へ向かう道すがら、俺は白氷様の側仕えに少し話を聞いた。
「あの・・会議からずっと白氷様についてこなかったようですが・・なんか有ったのですか?」
『・・・・あの・・ニック様・・余り言うなと申しつかっておりまして・・詳しくはお話が・・その・・』
「ああ・・そういうことか・・やっぱり最初から狙ってた感じなんでしょ?」
『まぁ・・私からは・・何も言えませんが・・・』
「大丈夫大丈夫・・その態度で解るから・・まぁ気にしてないよ」
『そうですか・・・ニック様・・白氷様のことよろしくお願いいたします。」
「ああ、分かってる・・・。 ってかなんか側仕えさん?・・・もしかしてさ?役目が終わったみたいな気でいるんじゃないの?」
『!・・いえ・・そのような・・』
「まだまだ、これからだからそんなに落ち込まないでよ・・むしろこれからが面白いと思うぞw」
『・・・・わ・・わかりました。・・心得ます・・』
そんな話をしながら研究室へつく。
外からでも騒がしいのが解るな・・・・またお祭りに成ってると・・こまるんだがなぁ・・
「おーい。ナンバーズいるかー?」
『お頭!』『ニック様!』
「おお・・ゼロと7か・・どうした?損傷した手足はもどったの?」
『ええ・・おかげさまで・・治りやした・・』
『と言うか・・ニック様・・治療にもあの薬使うんですね・・2時間位の蛹になりました・・』
「まぁ・・しかたないだろ?・・欠損したら脱皮で損傷を修復するのは当然だと思うけど?」
『・・・お頭・・そりゃ・・蜘蛛とかならそうでしょうが・・・アッシ等蜂なんですぜ?』
『そうそう・・若干・・もう蜂に見えないけど・・あたし等蜂なんですよ?』
「そーいわれてもなー・・・まぁいいじゃん・・・損傷なおったんだしさ・・」
『確かに・・アッシ等が言うことじゃなかったですね・・・すいやせん。』
『そうね・・治してもらって文句言うなんて・・すみません。』
「いいよ。お前達はちゃんと天狗が治ったみたいだし・・むしろそっちが治らんと始末に追えないからな・・損傷程度なんでもないさ。」
「それよりも・・・だ・・あそこのあれ・・誰?」
『あの・・アッシ等が全く知らない者が一匹混じっていやして・・・』
『そうそう・・ウチの蜂だろうけど・・・あれ・・誰?』
・・・・・ふむ・・つまり・・10か・・・
「わかった声かけてみる」
もう、蜂ともアームズとも全く違った・・若干胴が長くなり・・ムカデ感がむき出しに成っている蜂に声をかける。
「10か?」
『ニック様・・・オレどうなってます?・・・なんか怖いんですけど・・・』
・・・10さん?・・・・凄いことに成ってます・・ナナフシの要素・・きっと溶け込んでますよ?
「あ・・ああ・・・大したこと・・ない・・とおもう・・・よ?」
『・・・随分言いづらそうですけど・・・そんなにヤバイ感じですか?』
「な!なにいってんだ!・・そそそ・そんなこと・・ナイヨ?」
『其の様子から言うと・・かなりのものなんですね・・・・・』
「落ち込むなよ! 想定内だ!想定内! 大丈夫うんうん。大丈夫!気にするな!」
『・・ニック様・・必死ですね・・・』
「まぁ・・強くはなってるとおもうよ?・・それでいいじゃん・・・・」
『・・・そうですか?・・・・そう言う問題でしょうか・・・』
「それよりさ・・ほら、ナナフシ!そうそうナナフシ!・・使えるの?」
『・・やってみます・・・・・・』
10が・・・何やら力むと・・前脚と中脚の間が「バコン」と開き、そこからデカイナナフシ型の触手がゾロッっと出てくる・・・
『ニック様・・これ・・オレの意思で・・・いや・・まるでもう一本腕がついてるような感覚です・・』
「ほう・・・そりゃすごい・・・前はナナフシが背中のほうから出てきて勝手に目標を検査したよね?」
『ええ・・なぜか・・出来る感じがします・・。 取り敢えずなにかやってみますか?』
「そうだな・・・そうだ!まだ蛹に成ってるやつを検査してみてよ。体長とかさ?わかるかもよ?」
『やってみましょう・・』
近くにいた蛹にデッカイ触手が蛹に近づく。
・・どう見てもナナフシというか・・ムカデみたいな節が沢山ついてる感じだが・・・グネグネとしてるな・・・
『ニック様・・この蛹・・栄養足りていませんよ。早めに働き蜂にいって補給剤を投与したほうが良いです。』
「・・・そんなこともわかっちゃうの?・・凄いな・・」
『構成やなんでしょうか?・・完成予想まで解るようですね・・・前より性能が上がっている気がします』
「ふむ・・まぁ・・ほかの機能もあるかもな・・・。」
「そうだ!・・”時の記憶”に設置されてる触手は触覚接続もできたよな?・・あとは・・簡単な治療も行えたはずだ・・・」
『・・・出来るかもしれません・・・なぜかわかりませんが・・・』
「やってみるか」
そういって、俺はナナフシの先っぽに触覚を近づける・・すると・・
「おおおおおこれ・・バーチャル空間じゃんか!」
「ニック様!・・オレの中に入ってきてますね・・なんか不思議な感覚です・・」
「お前の声も普通に聞こえる・・すごい・・・しかし・・他に何が出来るだろうか?・・」
「・・・わかりません・・」
「ヘキサならたしか書庫の情報を読み出したりできたはずだ・・・」
「10はできるか?」
「・・・・・・書庫へ繋がっていないので・・・できないですね・・・」
「ふむ・・じゃぁ・・さっき蛹調べたんだし・・その情報見せて?」
すると、画面っぽい感じの物が俺の目の前に現れる・・文字が書かれているようだが・・理解らない・・・見たこと無い文字だ・・
「なぁ・・この文字・・俺は読めないんだが・・・」
「そ・・そうですか?・・・・・何故でしょうか?・・・・・」
「もしかしたら・・お前の認識している文字と俺らが認識しているが違うんじゃないかな?」
「・・そうかもしれませんね・・・」
「しかし、文字を学べばおれでも中身が其の場で見れるのか・・これはいい」
「良いんですか?・・・」
「そうだろ?調査現場で即時に結果が解るんだ・・タイムロスが少なくて助かるだろ?」
「そういうものでしょうか?」
「まぁ・・一旦表に戻ろうか・・取り敢えず他にも調べよう・・」
「はい。・・・で?どうやって戻るんでしょうか?」
「普通は・・接続を切るボタンがあるのだが・・見当たらない・・」
「・・オレのほうで・・やってみます」
「うん」
すると、バーチャル空間が一点に収束する感じに見えたかと思うといつの間にか現実へ戻る
「おおお!・・戻れたじゃん・・すごい・・」
『・・なんとか戻れましたね・・・』
「まぁ色々に使い勝手が出来るかもしれん・・・もしかしたら他のデバイスに接続して中身を再生することも・・な」
『オレ・・なんか大変なことに成ってるようですね・・・』
「・・まぁ・・良いじゃないか・・中々優秀だ・・」
『はぁ・・』
『ママー!おみまいー!したいー!』
「ああ・・そうだったな・・王次郎はどんな御見舞したいの?」
『んー・・・・?わかんなーい』
「そうか・・わかんないで来ちゃったか・・まぁ王次郎らしいからいいか・・取り敢えず怪我は皆治ってるし、何かする必要はなさそうだな・・」
・・しかし、・・ゼロと7の王次郎へ向ける目が怖い・・ってか恐怖に染まってるんだけど・・・大丈夫か?
「ゼロ、7・・なんかしてもらいたいことある?」
『・・・はっ!・・ニック様・・アッシはとくに・・』
『・・・ん?・・・ああ・・ニック様・・あたしも特にいいです・・』
・・ちょっとー・・そんなに王次郎を怖がらないでよ・・可哀想でしょ・・・
『あの・・ニック様・・』
『ニック様・・あたしたちは・・?』
・・ん?・・ミウとムウか・・そうか・・双子計画・・ファンクションとかまだ作ってないな・・このあと作るか・・
「ミウとムウ・・すまんが・・今、立て込んでてな・・お前らの実験はあとになりそうだ・・・すまん」
『いえいえ・・』
『しかし・・ものの見事に大きくなりましたね・・全員・・』
「ああ・・すごいだろ?」
『あたし達もこうなるんでしょうか?』
『うんうん』
「そうだな・・・たぶんもっと違う形には成るかもしれないけど・・強さだけなら皆よりは行けるだろう」
『そうですか・・じゃぁ・・離れ離れに成りにくそうですね。』
『うんうん・・離れたくないしね・・』
「まぁ・・離れないようにはするよ・・安心してね」
『『はい』』
『のう・・ニック殿・・これだけいるのじゃし・・アームズ共には対抗出来るのではないか?』
「んー・・・恐らくは・・まだ100%ではないでしょう・・」
『王次郎様!だめですよ! ニック様!王次郎様を止めてください!』
「ん?・・・・・あ・・・・」
王次郎は、初めて見るものが沢山有るようで、興味津々で色々と触ったりしている
・・・王次郎・・やっぱり子供だな・・・ってか・・それあんま触んないであげて・・まだ蛹なんだしさ・・・
「王次郎。 なんか面白いものでもあったの?」
『ママー!これーなあにー?』
「それはね。今兵隊蜂さんが蛹になってるんだよー?あまり触らないであげてねー?」
『うんー!』ゴチンゴチン。
・・・王次郎・・・ツメでコンコンしてるつもりだろうが・・かなりの威力だよ・・ゴチンゴチンいってんじゃん・・やめたげて・・
「・・・・・・」
「王次郎・・・それよりも働き蜂に皆の食事よういしてもらっていい?」
『うんー!まかせてー!』
王次郎が活きよい良く扉を出ていく、黄土様が背中に必死にしがみついてるけど・・
「さて・・残りは・・うまくすると今日中には羽化するのかな?」
『そうでやすね・・恐らくもうすぐでしょう・・』
『羽化したらまた騒がしくなりそうですけど・・・』
『ニック様・・オレどうすればいいですか?』
「取り敢えず、ここで待機してくれ、もしかしたらまた模擬戦闘でもしてもらうかもしれないけど・・・訓練ってことで」
『わかりやした。・・・・王次郎様は?・・参加しやせんよね?』
『うん・・次は負けないからねゼロ!・・・・・王次郎様は抜きでお願いします!』
『戦闘訓練ですか・・・・心得ました。』
・・・・トラウマか?・・ゼロと7・・鼻折るどころか、トラウマになってないか?・・・
まぁ・王次郎がこの場にいないから良いけどな・・・あまりハブるような発言は王次郎の前では控えてくれよ?・・・
・・さて、俺は一度”時の記憶”で続きの作業しなきゃな・・たぶんGPSやEMPもできてるだろうし。
『ママー!ただいまー!』
「おかえりー。 王次郎はどうする?俺は一度お仕事に行かないといけないんだけど」
『んー・・黄土ちゃんとお部屋であそんでるー』
「そっか、楽しく遊びなね。 黄土様、王次郎をよろしくお願いします。」
『はい。心得てます。』
「じゃぁ・・俺はこれから”時の記憶”へいって作業するけど・・・。白氷様はついてくる?」
『うむ、ついて行こう』
俺は、白氷様と白氷様の側仕えを連れて”時の記憶”へ向かった。




