〜絶対!!生き延びてやる!〜
読みやすい長さがわからない
数日間、巣の中をこっそりと探っていると色々と解ることが多かった。
まず、はじめに俺は出歩いていても王子扱いされるようだ。
そして、王子として蜂達に命令とかは出来ない。
なぜなら匂い(恐らくフェロモン)が出せないからだ。
因みに女王の思考力は極めて高いようだが、他の蜂達は女王ほどの思考力はない。
特に蜂達のヒエラルキーが低い蜂ほど思考力が低い。
逆にヒエラルキーの高い近衛兵ともなるとほぼ人間と同じくらいの思考力が有るようで、俺を見る視線がヤバイ。
近衛兵は完全に俺を人間だと思ってるに違いないが、女王の発言に対し盲目的に従うため、何もしないでいる。まぁ、そこが救いでは有る。
蜂達の蛹室は傾斜の緩い壁に六角状の穴が密集しておりマンションの様に階層を作っている。
蛹室は一様ドアみたいな膜が貼られているが恐らく、上層の幼虫が誤って這い出しても落下死をしないようにするためだろう。
蛹室マンションは全部で10塔ほどありそうだがまだぜんようが見えない。
俺が居る蛹室は下層にあり、他の蜂の幼虫用の部屋と比べ若干大きい。
ご近所さんは姫蜂の幼虫。其の周りは近衛兵や兵隊蜂の幼虫が集められている。
これも姫蜂や王子に幼虫の頃からなれさせるための処置なのだろう。
下層なのも下手に落下でもしないようにの対策とすぐに守りに入れるようにとの配慮だろう。
幼虫はノームの幼虫と違い立派に幼虫している。
決して顔が付いていたりしない。
ただ、ヒエラルキーの高い連中が集まっているためか・・・こう・・高級住宅というか
小市民まっしぐらだった俺にとっては住心地は良くない。
食べるものだが・・
やはりハチミツばかりが運び込まれる。
このハチミツも王子だけ特別なものが出されているらしい。
なぜ解るのかと言うと、こっそりと他の部屋のハチミツを少し舐めてみたからだ。
王子用のハチミツは甘さが極めて濃い、それは一口たべれば口が曲がるほど甘い。
甘すぎるすぎるのだ。
俺の好みは働き蜂用のやつだが・・・交換してもらえないだろうか・・?
それと、一日中ハチミツの中にいると、お肌がスベスベになる。
ってか、スベスベをとおりこして、ヌルヌルがずっと取れない。
頼むから風呂にいれてくれ!
ここ数日、体の至る所で結晶化した蜜がジャリジャリいってるんだが・・大丈夫か?
定住している蛹室だが、やはり作りはとても良い。
お隣の姫蜂と遜色ないというか若干大きめに作られている。
幅20メートル高さ7メートル奥行き20メートルほどか?
内装もどうやってつくったの?と思えるほど豪華だ。
しかも、原理はわからないが熱を感じさせない光源がちゃんと設置されている。
ただ・・・ハチミツを床にばらまくのはどうかと思う。
日々の生活にて大事なことが色々有ると思うが、やはり人間出すものは出すわけでソレの処理をどうするのか悩んでいたが、意外に簡単に解決した。
どうも、兵隊蜂以上の個体は普通に排泄をしているようだ。
要は、公衆トイレの様な施設がある。まぁ・・幼虫はどうも排泄はしないみたいなので、幼虫扱いの俺は変な目で見られるわけだが・・・蛹室を汚すわけにもいかんわけで・・排泄まみれのハチミツなんてまっぴらごめんだしな。
・・・まぁ、ハチミツばかり食べていると排泄とかは最初の2日しかしなくなったが・・・なぜか排泄しなくなってしまった・・・
この前、働き蜂の様子を見てみた。
この巣を構成している素材だが、そこらの岩などを丈夫な顎で噛み砕くと同時に口からタールの様な黒光りする液体をだして練り合わせたものが使われている。
この練合わさった材質は、とても柔軟だが、砕石が練り込まれることで凄い強度を誇っているようで、兵隊蜂が頭の剣や顎で噛み砕ことしてもびくともしない程だ。
働き蜂の中には、どのように分化しているのかわからないが様々な用途別にものすごい数が居る。
例えば、
女王から始まり、女王の警護である近衛兵。
戦闘しか取り柄がないように見える兵隊。
食料の調達役の狩人。
狩りで取ってきた獲物を運ぶ係。
運ばれた獲物を解体する係。
解体した獲物を肉団子に加工する係。
肉団子をハシから食べて蜜を作る係。
肉団子を各成体へ運ぶ係。
其の蜜を貯める係。
貯めた蜜を各所へ運ぶ係。
他にも、
本能的にか巣ないを清潔に保つために常に床を這ってゴミや食べ残しなんかをかき集め蓄える係。特殊なものだと巣の増設に伴い古い壁を自爆して壊す係や兵士などの頭の剣をメンテナンスする係なんかもいる。
汚い話では有るが、公衆トイレの行き着く先にも掃除系の係がいて、常にソレを食べては分解して土を作り出している者もいる。
完全に分業化されているのだが、全部の蜂が完璧に統率されている。
ここ最近、頻繁に大量の緑肉団子を見ることが有るが、恐らくゴブリンが狩られまくっているのだろう。南無三・・・
さらに女王の部屋の方から毎日大量のグニュグニュしたピンポン玉くらいの卵らしき物を運ぶ運搬係を見ることが多い。
因みに運び役はピンポン玉より少し大きいくらいで一匹に付き一つの卵を丁寧に持っている。
・・チョコチョコ動く姿は意外にかわいいな・・・
恐らく、消費した兵隊や作業用の蜂の卵だろうが、区別が一切つかないため、卵の段階では分化していないのだろう・・・
つまり、王子も姫も近衛も兵隊も働き蜂達もみんな同じ卵から何かの条件で分化するに違いない。
ここまでの情報収集で俺は一つ考えついたことが有る。
・・・・王子・・・・・つくっちゃえばよくね?
俺の蛹室の前を横切る運搬係から卵を一個拝借してソレをうまく飼育してしまえば・・・?
そして、俺と王子をすり替えて逃げれば・・・・
ただ、王子に分化する条件がわからない。
だから、普通に分化させることは出来ないだろう。
・・でも俺には繁殖魔法がある!
繁殖魔法でうまいこと王子を作り出せれば分化の条件とか関係ないのでは?
ただ・・何時までこの状態が続けれるかも怪しい現状で、ソレが達成できるか不安だ。
繁殖魔法でやれる事といえば、ゲージ内の昆虫を雄雌関係なく繁殖させれること。
しかも、種の垣根がなくなる事くらいだ。
恐らく、やり様によっては王子はできるかもしれない・・若干蜂じゃなくなるかもだが・・
あとは、成虫になるまでの時間・・・いや・・俺くらいの大きさになるまで育つ時間か・・
成長促進的な魔法ができるかもわからないが、早急に開発をしなければダメそうだ。
取り敢えず、卵の奪取からだな・・・・
卵奪取の為、俺が部屋の前を通り過ぎる卵を眺めていると、
その列の中に主様が混ざっているのに気づいた・・あんた・・なにやってんの?
(主様・・なにやってんの?なんで、まじってんだよ・・)
(ん?居候だからお手伝い?)
(主様・・何気に偉いな・・俺なんかなにもしてないんだが・・)
(ってかさ、その卵、ウチの部屋に運んでくんない?)
(え?何のためにかだって?)
(俺が生き残る為だけど・・・・ダメ?)
(え?いいの?!やった!これで少し生き延びる芽がひらいたよ!)
(ん?・・・・・まだ、生き延びるつもりで居るのかだって?・・・)
・・・主様・・・代わりに死んでくんないかなぁ・・・ホントに!
取り敢えず、卵を俺の部屋に運び入れて、観察することにした。
さて・・・まずは、卵が孵るのをまつか・・
その間に他の室の幼虫を使って成長促進魔法の実験をしよう。




