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ファインダー  作者: 福山直木
ポートレート〜それぞれの明日〜
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▲ついてないサラリーマンの苦悩11

「例の件なんですけど、今週末大丈夫すか?」

「大丈夫だ。わざわざすまないな……」

「みんな呑みたいだけですから、いいんっすよ」

「ありがとう」


送別会の日程が決まったらしい。


すべての仕事を片付け、雑務を行っていると、忙しくしている同僚が合間を見計らって日程を知らせにきてくれた。


「再来週から新しい仕事場っすね。頑張ってくださいっす!」

「あぁ、頑張るよ。お前も頑張れよ」

「言われなくても頑張りますよ。次の仕事が一段落したら、編集長補佐にしてくれるみたいなんで、そこまで全力っす!」

「おぉ、良かったな!全力投球はいいが身体には気をつけろよ」

「わかってますよ!」

彼も徐々に置かれる環境が変わりつつある。自分もこれから変わるのだと言い聞かせ気を引き締めた。


週末がやってきた。なにかしらの区切りがあると日々の流れは早い。

親しい同僚と直近の上司も来ていた。しかも、酒好きばかり。

みんな送別会という目的を忘れて、飲みまくっていた。いつもの忘年会やら懇親会と大差ない。


「また顔、出せよ~」

今まで業務連絡でしか会話をしたことがない上司が言う。

「わかりました」

適当に返事を返す。

「しゅうちゃん、頑張ってね!」

今度は飲み会の席でしか会話をしたことのない異性の同僚が激励してきた。

あとは好き勝手に個々が話を交わす。


これがノミニケーションというやつなのかと改めて思う。

酔いの勢いに任せて、平たい会話を交わし続けるだけの宴席は、酔いの浅い俺にとって何の面白みもなく収穫のない時間に感じる。

少なくとも、このメンバーでは理想的なノミニケーションを行えないだろう。


そんな冷めた考えを巡らせながらも、特に親しい同僚たちと会話をして時間を潰した。


休日はゆっくりしたい。頃合いを見計らい、先に帰ると告げた。

「また、絶対呑みましょう!絶対っすよ!……あと明日はよろしくっす!」

この会を企画した彼が念押しする。そして、明日は彼との飲み納めだ。

「分かってるよ」

そう約束を交わし、宴が続く店を後にした。


夜風が気持ちいい。

酔いのせいもあるが、何も解決していない癖に達成感に浸る俺がいる。

これでは駄目だと気合いを入れ直したため、帰宅する頃には酔いから覚めていた。

そのおかげで寝つきが悪い。

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