◆ひとりぼっちな写真部の日常12
「あんた!何したのよ!」
そう怒鳴りながら、ずかずかと部室に入ってきたのは女子生徒。顰め面の彼女は、横で結い垂らした髪を揺らしながら木次川くんの方へ真っ直ぐ向かった。
「なんか言いなさいよ!あんた!」
「・・・」
木次川くんは圧倒されて何も言えないようだった。
「なんで何も言わないのよ!木次川!」
彼女は彼の名前を知っていた。
「ご、誤解だってば・・・」
ひょっこり廊下から覗いて、彼女を必死に止めようとしているのは石田さんだった。
木次川くんはどうしたらいいのか分からず、彼女とにらめっこを続ける。
「どういう状況か教えて頂けますか?」
とりあえず、状況説明を求めた。
顰め面のまま話し始めた。
「私は新谷胡桃っていいます。親友であるすみれちゃんが、写真部に顔を出した後から様子がおかしかったから問い詰めたら、木次川の名前が出たの!」
「そうなんですか・・・でも、石田さんも言ってるように、誤解ですよ・・・」
早とちりであると伝えるが、彼女は聞く耳を持たない。
「そっけない態度を取ったのは認める。でも、俺は石田さんに何もしてない!」
ようやく口を開いた木次川くんは、複雑な表情で懸命に釈明した。
「でも、あなたの言動ですみれちゃんは怖がって、部活に参加できなくなったんだからね!」
一歩も譲らない構えだ。
「それはすまなかった」
素直に謝罪した。反省しているようだ。
「あんたが写真部に居続けるつもりなら、私も入部するわ!次、すみれちゃんを怖がらせたら先生に言いつけるから!」
いわゆる監視役ということだ。
「するつもりはねぇよ」とうんざりしながら言った。
彼女の一方的な押し付けに参ったようだ。
「ということで、よろしく!」
新谷さんはころっと表情を変えて、私に入部届を差し出した。
入部してくれるなら、どんな理由であれ嬉しい。だが、ますます肩身が狭い思いをすることになる木次川くんのことが気がかりだった。
部長としてフォローしなければならないのだが、私はただの創部者。成り行きで部長を務めているだけで、リーダーとしての素質も具体的な活動方針もない。
もう誰でもいいから、リーダーに相応しい人が来てくれないかと願った。




