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断片5
「先生・・・先生・・・起きて・・・」
その声で目覚めた。
防波堤を昇るための階段の途中に腰掛けて、うたた寝をしていた。
「あぁ・・・ありがとう。起こしてくれて」
彼女にお礼を言う。
「変なこと、呟いてたよ・・・」
「何か、言っていたかい?」
「うん・・・」
「何言ってたか知らないけど忘れてくれ」
「うん」
それ以上は何も言わなかった。
「ところで、何の用かな?」
「先生、カメラ貸して」
「最近、夢中だなぁ。今日は何を撮るんだい?」
なんて会話をしながら、ポケットからフィルムカメラを取り出した。
「撮り終わったら、持ってくるんだぞ。現像しないと見れないからな」
「わかった」
そう返事をして、港の方へと走っていった。
最近、彼女の口数も増えた。特訓の成果もあって表情も豊かになってきた。
ところで、何を呟いていたのだろうか。少し気になった。




