●とある写真家の憂鬱4
向かった場所は寂れ具合が目立つデパートの4階。明らかに空きテナントだと分かる不自然なスペースが仕事場になる。
スペースを貸してくれたデパートの広報の人が待っていた。
「すみません。遅れてしまって・・・」
「いいですよ。さて、今回はハンドメイドのグループと、学校の発表展示との共催です。どのように配置しますか?」
「この一角が使えれば、いいですよ」
一角というのは、コの字に壁と面する長方形のスペースの端。L字に壁が面した部分。
隣とは仕切り板で分け、壁や仕切り板に一つずつ作品を展示していく。
写真展の看板を設置して終了。入り口に置いた長机にポストカードサイズの作品を並べ、搬入口から運ばれてきた腰あたりまである大きな段ボールを机の後ろに並べた。
「他の方はまだなんですね」
段ボールの中身を確認しながら、広報の人に尋ねた。
「そろそろ、来ると思いますよ。ハンドメイドグループの方々は明日来るみたいです」
作品が傾いていないか確認しながら答えた。
忙しいはずなのに、毎回手伝ってくれる。私が頼りなく見えるのだろうか?
「それでは、私はこれで」
一通りの準備を終え、広報の人はペコリと頭を下げた。
「手伝ってくださって、ありがとうございます」
「御用の際はいつでも声を掛けてください」
「いつも、ありがとうございます」
「いえいえ、これが私の仕事ですから」と言いながら去っていった。
実はこのデパート、私の個展の聖地とも言える場所なのだ。2ヵ月に一度はここで個展を開いている。常連客も多い。
ここで何度も行う理由は、定期的にできる場所はここしかないから。
大きな決め手は使用料が安いこと。販売を行うので営利目的となるのだが一日500円で借りれる。営利目的でなければ無料。他の場所では考えられない。
賞を取ったことで少しでも知名度が上がれば、この状況も打破できるかもしれない。しかし、見通しは立っていない。




