●とある写真家の憂鬱2
バイト先に貼られていたポスターに目を留めた。
「ラッキーフィルム フォトコンテスト 作品募集中」
大手メーカーが主催する大きなコンテストで、ここから多くのプロを生み出している。
興味が無いわけではないが、まだまだ経験不足の私では到底無理だと思った。
「マユちゃん、参加してみたら?」写真屋のおばちゃんはポスターにくぎづけになっている私に提案した。
「いえ…個展も控えてますし・・・」と遠慮した。
「でも、優秀賞20万よ」と真面目に言う。
「金に目が眩んでるじゃないか。まったく・・・」
会話を聞いていた写真屋のおじさんが呆れる。
その日はずっと、そのことばかり考えていた。賞金に目が眩んだわけではない。
もしかしたら、何かが変わるかもしれない。そんな気がするから。
バイトから帰宅し、コンテストのサイトを見てみた。いろいろな部門があることを知った。
プロへの登竜門であるプロフェッショナル部門に、人物、景色など被写体別に賞が設けられたアマチュア部門。そして、小中高の学生を対象としたスクール部門がある。
プロフェッショナル部門は、2つの受賞枠しかなく、相当な狭き門だ。
しかも、指定のテーマに沿った5枚の写真を提出しなければならない。
そうなるとアマチュア部門しかない。
受賞枠は10。応募も普通のコンテスト同様1枚でいい。
「悩むくらいなら、ダメ元で応募してみようかな」
勢いで応募フォームを開いていた。




