『龍災』間話“悲嘆の王”
(注意)前話よりも時系列はもっと前になります。後付けみたいな感じはしますが大体、前章の最後くらいです。
(注意!!)作者のもう一つの作品の多少のネタバレが入ってます。
見たく無い人は見ない方がいいと思います。ごめんなさい。
ーー『龍災』とは一体何だ?
その問いに答えるためにも、かなり昔のお話をしなければならない。
昔々、どこか分からない辺境の森でそれは生まれた。
最初はただの魔物。一匹の魔物から始まった。
それは数多の命を喰らい、同族すらも滅ぼしついには、確固たる意識を持ち始める。
ーーやがて姿すら変容し始める。
沢山の獲物を喰らうために口を大きく、他の魔物に負けないために体を大きく、絶対的な優位を持つために翼を持った。結果、やがてその魔物は『龍』と呼ばれた。
ほとんどの魔物を従えた後、その龍は獲物を求めて人間に襲いかかる。万を超える大群を引き連れて。
だがその目論見は、ある『魔人』によってあっけなく潰えた。
龍の命が消える寸前、心臓に剣を突き立てられ血液がとめどなく溢れていく。消えかかった命、残された時間で
ーー龍は考えた、“次”があると
『龍』は己の記憶の一部と力を次世代の『龍』に継がせようと思ったのだ……それが例え何千年かかろうと。
残された『龍』の意思によって、何千年周期で起こる災害。それが『龍災』なのである。
次、次、次、このように継がれていく『龍』の記憶とその力。それは代を重ねるごとに巨きく、強くなっていく、今回ので十四代目の『龍災』である。
それは最早国一つでは止められない程に育っていた。
だから有り得ないのだ、前回から数百年程度しか経ってはいないが、それでもれきっとした『龍災』。『龍』の継承は完了している。
「ーーもう良いよ、お前」
洞窟の最奥、『龍』本体が座するその場所で偉業が達せられていた。
国一つを挙げて行われる巨大魔法ですら、まともなダメージを与えられない鱗が木っ端微塵に。
あの『墓標剣』と呼ばれる五振りの剣ですら傷を付けるのが精一杯だった筈の体が弄ばれたかのようにバラバラにされている。
ーーたった二発その攻撃で既に絶命寸前までいったのだ。
目の前に立つ男は、ただの人間だった。本来ならば食われる立場の、餌として逃げ回るだけしか出来ない人間のはずだ。
昔、何処かの帝国が大量の『勇者』と呼ばれる人間。約二十五名を異界から召喚した。
その内の一人の少年は何も能力が無いとされ、迫害を受けついには殺されてしまった。
その後蘇った彼は、残りの『勇者』二十四名を抹殺。
全ての亜人種族を絶滅させ、『魔人乱戦』を引き起こした張本人。“虚飾の王”すらも撤退するしか無い人間。
今は知る人はいないが当時、彼はこう呼ばれていた。
ーー最も完成された王、『世界』に見初められた者、“悲嘆の王”ハルトと




